かわら調査レポート4 |
北京かわら版編集部 関口美幸
四月一日、日本大使館公邸で、「北京働く女性の会」の討論会が開かれた。テーマは「一九九九年到来 私たちが語る時、私の問題、みんなの問題」である。北京で働く女性をバックアップしていきたいというのは、前編集長時代から受け継がれてきたかわら版の趣旨の一つである。幹事の方に取材を申し込んだところ、快くお引き受けくださったのはいいが、その替わりとうことで、事務局を仰せつかってしまった。というわけで、今回は申し込み、受付の手伝いからの参加となった。
当日は、予定の五〇名を一〇名以上上回る六一名の大盛況で、テーマに対する皆の関心の高さをうかがわせた。谷野大使夫人のご挨拶、バイキング形式の食事を楽しみながらの歓談の後、七時半から八時まで八テーブルに分かれて討論が行われた。八時からは各テーブルから選ばれたリーダーが討論の内容をまとめて発表し、大使夫人へのお礼、記念撮影と続き、予定時間がオーバーしての閉会となった。
全体としては、幹事の方の事前準備が効をなし、なごやかな雰囲気の中で内容の濃いディスカッションが行われ、この会始まって以来初の討論会形式は大成功だったと思う。くじ引きで席を決めたのも、とかく知り合いが固まりがちな日本人の気質を考慮した行き届いた措置で、これにより多くの初対面の人とも知り合いになれた。ただ惜しむらくは、討論の時間が三〇分と短く、解決方法を模索するというところまで行かずに、問題提起に終始してしまった感が否めないことである。最後にある会員が「今、私たちはようやく門を開いたところ、現状の問題が何かが見えてきたところ、それをどうやって変えていくか、どうやって動いていけばいいかということをこれから話し合っていきたい。」と発言したが、これが大方の参加者の気持ちを代弁していたと思う。
かわら版では、今後も当会の活躍に期待し、紙面で引き続きご紹介していきたい。
今回話し合われた働く女性が直面している問題とその解決案 @住宅、ビザ、保険、採用など ・中国人用アパートに合法的に住めない。 ・住居と勤務先が同じことから来るストレス(ホテル勤務等) ・住居が遠すぎて通勤に時間がかかりすぎる。 ・ビザを個人で解決しなくてはならない。(中国人と結婚している女性他) ・採用条件が厳しくなってきている(中国語ができるだけでは企業はもう採ってくれない) ・中国の制度、規則がよく変わり、その情報が入手できないため、適切な対応ができない。 解決案 ・情報交換の場を増やす(インターネットの活用等)。 ・どうせ、中国だからダメなんだというあきらめの態度ではなく、何事にもトライしてみる。(状況は日々変わる。昨日ダメだったことが今日もダメとは限らない)
A日中の文化、習慣、考え方の違いからくる問題 ・中国人のスタッフとコミュニケーションがうまく取れない。(中国語の問題というよりは、仕事に対する考え方の違いによる。例えば、どんなに忙しい時でも、中国人スタッフは定時で帰ってしまい、気が付くと自分だけが残業している。) ・日本人上司と中国人スタッフの板挟みになる。 ・中国よりは、日本が特殊なのではないか。今までの日本の男性社会を見直す時期に来ているのではないか。 ・北京で起こっていることを日本に伝える手段が少ない。 解決案 ・ストレスはため込まないで、すぐに解消する。(スポーツ、旅行、買い物など) ・時間を掛けて信頼関係を作っていく。(相手に分かって貰う努力を惜しまない、相手を思いやる気持ちを持つ) ・日本人だから特別で済ませないで、一緒に仕事をしながら、自分も育っていきたいという心構えが大切。 ・中国の人にもっと日本人を理解してもらう。(日本を紹介する媒体の必要性)
B問題を提起する場がない ・日本の区役所のように駆け込めばどうにかしてくれる機関や、電話すれば必ず答えてくれる所がない。 解決案 ・日本人会、婦人部などの既存組織の活用 ・当会の今後のあり方を考える。 |