この人に聞く3

日系印刷包装業界経営者インタビュー


今月のこの人

こばやしつよし
小林 剛

北京聯合印刷紙器有限公司/北京聯合包装有限公司総経理
    〒100021
    朝陽区左安門外左安路東口

[得意分野]外装箱(段ボール)、個装箱のセット印刷

   北京聯合印刷紙器有限公司と北京聯合包装有限公司の合併を控え八面六臂の活躍中の小林さん。お忙しいお時間を割いてインタビューに答えていただきました。

 

昼夜逆転の生活 

かわら    小林さんは北京にいらして何年になるのですか?

小林    九四年に来ましたから早いものでもう四年半になります。今はだいぶ慣れましたが、来た当初は、慣れないことが多かったですね。

かわら    どんな点に一番戸惑いましたか?

小林    例えば、会議をするでしょう。それぞれ利害関係がありますから、白熱してくると、人の話を聞かずにどんどん捲し立てるんですね。何人かが同時にしゃべっている。これじゃ会議になりませんよ。それを私は通訳を付けて聞いている訳です。だから言ったんですよ、一人づつ話しなさいってね。それに、すぐ「明白、可以」って返事はするんだけど、その後実行されない。だから、翌日にまたそれを確認しなければいけないんです。自分が言ったことが本当に伝わっていないんじゃないかと悩みましたね。

かわら    それじゃ、お疲れになったでしょう。

小林    ええ、ですからもうくたくたで、家に帰ると食事も取らずに寝てしまうんです。それで夜中の三時頃に起き出して食事、風呂という感じ。当時は昼夜が逆転した生活を送っていました。

 

人材教育と品質が大切

かわら    会社の形態は合弁ですね。

小林    ええ、そうなんですが、普通の合弁会社さんと違って、うちは土地、建物がリースなんです。中国側に毎月リース代を払わなければならない。固定費が非常にかかるということなんです。それと中国人従業員はほとんどが親会社からの派遣で、基本的には日本側に人事権がないんですよ。ですから合弁と言っても実質的には、合弁企業と中国国営企業の中間くらいに位置しているんじゃないかな?

かわら    では、他の合弁会社さんとはまた違ったご苦労があるのではないですか?

小林    そうですね。やはり仕事に対する考え方の違いでしょうか。例えば、営業でも必要ならお客さんが来る、という考え方なんですね。こちらは来るお客を待っていればいいんだと。それを徐々に、お客さんのところに行ってニーズを聞いてくる、という営業に変えていったんです。それと品質に対するこだわりですね。来て間もない頃、夜行列車に乗って山西省まで原材料の調達に行ったことがありますよ。やはり人の教育と品質、これが一番大切だと思います。私は、幹部には「三現主義」というのを徹底させているんです。まず、「現場に出る」、そして「現物を見る」、その後で「現状を把握し、問題を解決する」ということです。

 

中国を好きになる努力を

かわら    中国で暮らしていく上で心がけていることはありますか。

小林    私は、中国が二度目の海外駐在なんですが、どこに行ってもその土地を好きになるように自分を持って行くんです。そうしないと自分がつまらないでしょう?問題があるのは当たり前なんです。問題があるから気も張って元気でいられる。問題があるから進歩もあるんです。それと、機会が有るごとに、中国を、中国の人々を理解していくという姿勢が大切なんじゃないかな。春節に女房と一緒に西安、泰山に旅行に行ったのですが、つくづく日本の文化は、全て中国から来ているんだなあと実感しました。中国の文化、歴史にはすばらしいものがあると思いますよ。

かわら    最後に今後の抱負を聞かせてください。

小林    そうですね。まず、仕事を通して日系企業の皆さんのお手伝いをしていきたい、それと中国の包装関係業界の発展に貢献できるような会社にしていきたいと思っています。「総合包装」と言えば「北京聯合」と言われるようになりたいですね。それによって、この会社で働いてくれている従業員の方の生活が豊かになるんでしたら、私の苦労も報われるんじゃないかとと思います。

かわら    今日はどうもありがとうございました。

 

編集後記

   赴任当初、ご夫婦でよくカラオケに行っていたそうです。知り合いに会うと照れくさいので、誰も来ないような早い時間に行っていたとのこと。中国にあまり慣れていない奥様に対する小林さんのやさしさがにじみ出るようなエピソードだと思いました。

   インタビューの後で工場を見学させていただきました。会う従業員、一人一人に必ず自分から「ニイハオ」と笑顔で声をかけていたのが、とても印象的でした。(編集部S)

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