大連雑感

列車の長旅

コマースクリエイト(株)
社長  森下雅喜

   六月の初旬、大連―瀋陽―朝陽―承徳―北京の間を、列車と車で旅行をしてきました。

「無座」切符
   列車の座席指定に、まだコンピュータが使われていないため、始発駅以外の駅から乗る場合には、「無座」という切符を買います。最初は、六時間八時間の長旅を立っていかなければならないのかとあせりましたが、決して席がないということではなく、「座席の予約はできない。列車に乗ってみて、空いている席を買いなさい。」ということでした。それでも座れるまでは安心できない。しかも列車が走り出してからでないと、座席は売らないとのこと。
   季節的に比較的空いている時期で、何とか座席は確保でき、落ち着いて座ることができました。以前、指定席券を持っていても、トイレに行くごとに自分の席を取られてしまい、気の弱い人はトイレに行けなくなってしまったことを考えれば、寝そべることもできる落ち着いた旅でした。

美しい風景
   このコースは、後に行くにつれて、どんどん美しい風景になっていきます。
   空、山、丘、畑、民家、川、道路、樹木、これらが変化に富んでいくのです。この風景の中で、耕している人、井戸端会議をしている人、バイクで駆けていく人、荷車を引く人などが、風景の中に溶け込み、ごくごく安穏な生活を送っているように見えます。延々と山道を行くとき、この人たちは、この村から出たことがあるのだろうか、と思ったりもしました。
   あまり長時間でなければ、本当に優雅な旅です。

望まれる電化・複線化
   三〇〇キロに満たない距離を、約八時間かけて走る。単線のため、駅に止まると十分から二十分待つこともある。上り坂になると、あえぎながら登るという感じで、下り坂になってもあまりスピードは出さない。
   中国経済の発展のためには、電化と複線化が必要だが、予算がないためになかなか進まない。日本からの資金援助も含めて、早く進んでほしいと思う。

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