かわらギャラリー |
北京郊外に明清時代の建物がそっくり残っていて、その名も「川底下村」という村があると聞き、九月の晴れた日、地下鉄の終点苹果園からタクシーに乗って出かけた。
村までの新道は最近開通したばかりということで数台の乗用車が停まっているだけだった。村の入り口にしゃがんでいた年寄りの話によると、解放前にはこの道を通って北京に入ったのだという。ここで商いをし、財をなした人の中には抗日に立ち上がる人もいて、ここからは六人の少年兵が延安まで行ったことなどを誇らしげに話してくれた。
今では養蜂と牧畜で主に生計をたてているというだけあって、どの家も花があふれ庭には蜂の巣箱が置かれていた。
著者紹介 三好 道(みよし みち) 1937年 愛知県生まれ
|