◆◆留学生必見◆◆ 中国サバイバル指南 留 学 生 座 談 会(其ノ弐) |
このコーナーでは、夢を抱いて留学している留学生、中国で事業を起こし成功している日本人を紹介し、中国で成功するヒントを提供します。
第二回の今回は、前号に引き続き、留学生座談会の様子を報告します。
参加者の横顔 |
宝島にたどり着いたか?
未来への挑戦は続く |
山本 一番の苦労は、外国人の採用情報が少ないこと。またあったとしても採用枠が狭く苦労しましたね。日系企業の現地採用の場合、口コミで、前任者が退社した時に採用されるケースが多いと聞いています。私の場合、経験がある分野とは違う仕事を探したので、さらに就職活動が難しくなりました。結局は人脈とアピールポイントが必要だと痛感しています。
前園 私の会社の事務所にも、現地採用の社員がいますから、需要は確実にあります。問題は、いつ、どこで採用情報を手に入れ、どんな待遇かということなのでしょうね。
山本 そうですね。私は、中国語のレベルに満足していないこともあり、あと半年は勉強に専念することにしましたが、半年後、どこで働くかはこだわらないことにしました。日本を経つ前は、どちらかというと、中国ではなく、日本で働きたいと思っていましたが、自分に合った仕事が見つかれば、いつでもどこでも働けるように、中国語を勉強しながら就職情報を集めるようにしています。
前園 会社からは、「自由に学べ」と言われていたので、月一回の報告会に出席する以外は、午前に授業、午後は家庭教師を付けて短期集中で勉強しました。
メーカーの派遣留学生は、毎日午後仕事があったようでしたから、会社によって、派遣留学生への要求には違いがあるようです。元々社員として留学していたのですから、仕事をするのは当然ですが、かたわら「語学」、かたわら「仕事」では、仕事に責任を持ちきれません。一年という期間は長いようで、語学習得のためにはとても短い時間です。私は、一年間勉強だけに専念できて効果的だったと思っています。
山本 私は、中国語の他に、漢方薬、京劇メイク、篆刻(てんこく)などを勉強しています。中国でなければできないことはたくさんありますから、興味を持ったらまず試してみる価値があるのではないでしょうか。挑戦したいことはたくさんあるので忙しい生活ですが、それでも日本の時に比べると、精神的に楽ですね。
かわら 日本より中国の方が時間的リズムがのんびりしているからでしょうか。きっと、習慣の違いが生活の違いに繋がっているのでしょうね。
前園 習慣の違いには今でも慣れません。様々な手続きで時間がとられるケースは多いですね。学生のうちはいいですが、これから仕事をしていく上で、時間との競争が多くなるでしょう。一つの手続きに半日とられてしまっては仕事になりませんが、「これが中国なんだなあ」と実感しています。
遠藤 はい。中国語は、漢字でだいたいの意味がつかめるので、他の言語より勉強しやすいのかもしれません。しかし、発音とニュアンスの違いには本当に苦労しています。
そこで授業以外の時間は、なるべく日本人以外の友達と一緒に過ごすようにしています。もちろん寮には多くの日本人留学生がいますから、友達も多く、誘惑はたくさんありますが、中国にいて中国人の本物の中国語に接しなければもったいないですよね。中国語の勉強には、電話も活用し、週二、三回中国人の友達と三十分程度の通話をしています。日本ではできなかったことなので、本当にいい勉強になります。
また、語学以上に大切なのは、習慣を学ぶことではないでしょうか。日本との違いが大きいので、いろいろ痛い目に遭っていますし(笑い)。机に向かった勉強は、授業中にできますから、空いた時間は「体験」ですね。中国に来た以上、机に向かうより、街に出てしゃべりたいじゃないですか。それに習慣は、「身で感じるモノ」ですよね。語学力は、中国人の中で生活していれば、必ず後からついてくるモノ。中国語を勉強する以上、中国人にはならないまでも、中国人の習慣に近づくことが必要ではないでしょうか。
前園 遠藤さんの考えは間違っていないと思います。こんなことを言っていいかわかりませんが、学生のうちはそんなに勉強をしなくていいのかもしれません。友達付き合いを大切にして、「自分がしたいことをする」「自分がしたいことができる」人になることが大切ではないでしょうか。企業がほしがる人も、決して勉強や語学ができるだけの人ではありません。
それに留学では、「学ぼう」という気持ちは、無理に持たなくてもいいのではないでしょうか。気楽に中国人と接していれば、それだけでたくさん感じることがありますから。私も、中国人と一緒にいるだけで、「どうしてこんな発想ができるのか」と、驚きがいっぱいです。
かわら 日本を離れる前と今で、自分の将来へのビジョンは同じですか。
遠藤 特に変化はありません。ただ、日本を離れる前は、「そこそこ中国語ができれば、楽勝で就職だねー」と考えていたんですが、同級生の大学四年の友達から、就職の厳しさが伝わってきて、ちょっとピンチです(笑い)。自分は就職活動をしたことがなかったので、日本にいた時は、就職活動の本当の厳しさを甘く見ていたようです。
前園 就職活動はどうやって?
遠藤 来年帰国する前に、インターネットとハガキで資料請求を始めようと思います。
本心を言うと、中国が私にとって住みやすい国なので、中国で就職をしてみたいですが、山本さんの話のように、中国での就職も厳しいようですし、何より待遇に満足できるかどうかわからないので、まずは日本で就職し、派遣されるのがベストでしょう。休学して留学することを許してくれた両親の意見も尊重して、どこで就職するかを決めると思います。
前園 留学は、会社の中で自分をアピールするために欠かせなかったモノだと認識しています。日本を離れる前は、中国語を勉強した後、中国と関わっていければ、日本で仕事をしようと中国で仕事をしようとどちらでもいいと思っていました。しかし、中国で勉強したことで、「中国でやりたい」という気持ちを強く持ちました。そして、八月から上海で仕事ができる。仕事は、「やりたい」と思えるモノでなければおもしろくありませんよね。また、中国が発展することに自分の将来を賭けたのですから、自分が成功するだけではなく、中国が順調に経済発展していってくれれば最高です。
山本 私は、将来的に中国と関わる仕事ができればいい。今回の留学は、単に語学を修得するだけのために決めたことではありません。言葉を使わない場合でも、中国に関して少なくとも他の日本人より理解している訳ですから、必ず留学経験が生きてくるはずです。自分の中で、「これだ」というモノはまだ見つかっていませんが、焦る必要はないと思っています。今はできることをきっちりとやって、チャンスが来た時に絶対に逃さないことが大切ではないでしょうか。新卒の時は、同級生がみんな就職活動をして、「就職をしなければ落後者」のような無言の圧力がありましたが、今はゆっくり構えて将来設計をしたいと思います。
遠藤 中国語は、就職活動の「武器」になって、入社後は自分の立場を守る「楯」になるモノだと思っています。就職が決まるまでは「武器」を使って攻撃しますよ。前園さんがおっしゃっていたように、語学だけではダメで、身につけなければいけないことはたくさんありますが、今、一番ウエイトを占めているのは中国語。来年四月に大学四年に復学して就職活動をする時には、中国語を軸に自分をアピールしていきたいと思っています。
かわら 皆さんの留学が今後の事業に活きることをお祈りしています。