北京雑感

アピールの重要性

北京康茂商務諮詢服務有限公司 総経理 大江弘樹

   最近、北京電視台で放送されたドキュメンタリー番組「我們的留学生活―在日本的日子(私達の留学生活・日本での日々)」がずいぶん話題になっている。中国の親友と話したときにもこの番組が話題になった。彼も日本への留学経験があるが、「私は、国費留学だったので恵まれていた。番組に登場する彼らの姿を見ていると涙が出てくる。中国に戻ってきたら成功して欲しい」
   しかし、この次に彼の口からでた言葉は、少なからず考えさせられた。北京雑感というタイトルからすると私の考えを述べるべきだが、彼の話をそのまま載せることで読者の方々にも少し考えていただければ幸いである。

『日本での留学中は、昼間は大学、夜はアルバイト、深夜帰宅してまた勉強を続けるというたいへんな生活だが、あまり苦にならない。なぜなら、将来は日本企業や日本関係の仕事をするのだという目標があるからだ。しかし、中国の日本企業で働いている元留学生たちをみると、決して満足しているとは思えない。実は自分もその一人だ。例えば、アメリカ留学から帰ってきた人たちは、欧米企業、多国籍企業の中国地区のトップについているケースも多いが、日本企業でこういうケースは非常に少ない。これでは、「所詮頑張っても自分の力を発揮する場所は限られている」と考える人が増えてしまうのでは?
   このような現実を踏まえると、現地化を進めることが日本企業の今後の大きな課題ではないだろうか。確かに早くから人材育成に取り組み、現地社員を幹部に登用している会社もある。それでも欧米企業のように目立たないのはなぜだろうか。また、日本は国をはじめとして中国に多くの援助を行っているが、そのすばらしい援助の実態はあまりアピールされていないように思われる。日本と関係のある私ですら知らないのだから一般の中国人が知っているとは思えない……』

   以上友人が熱く語ってくれた話である。どうやら我々日本人はもっと自らの人材戦略や実績をアピールする必要がありそうだ。私の知っている取り組みとしては、日本国対中援助の実績の中国語パンフレットが大使館で配布されていることぐらいか。身近な中国の友人に見てもらうことから私も始めてみたい。また、他にも何があるか調べ、電子かわら版で紹介していきたい。

日本大使館ホームページ
http://www.japan.org.cn/

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