留学生が見た中国ビジネストピックス 第4回
99.11.22 杉山正哉
《筆者プロフィール》
麗澤大学外国語学部中国語学科99年3月卒。生身の中国人と当地の空気に触れる為、卒業後北京へ留学。首都経済大学へ留学しているメリットを生かして、現在中国経済と貿易関係を勉強中。
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今年の10/1に中国は建国50周年を迎え、街はそれを祝わんばかりに人々で溢れ返った。10/2に北京の街を歩いた筆者は、その人出の多さに驚き、"国慶節景気"について調べたいと思い、上記の見出しで書かれた、10/2付『中国経営法』の記事を基に考察してみた。
商業者達は、「1年の内で、買い物熱の最も高いこの時期に7連休というのは絶好のチャンス」と見ている。
1.業界:長期休暇はドル箱的存在
(1) 国慶節休暇によって最も恩恵を受けているのは旅行業者
この期間の旅行客は普段の30〜40%増(更に増える可能性大)となっており、ある旅行会社の企画した海外パッケージツアーの内、9/30前に出国のツアーは満員、10/1以降の予約状況は平常であった事から、長期休暇は旅行を促す大きな要因となっていると言える。
(2)飲食方面も盛況
北京ダックで有名なレストラン、全聚徳では、10/2だけで北京市内4店舗合計2万食以上の北京ダックが注文され、中でも天安門に程近い前門店だけで鴨1万羽、ネギ1トンを使用したとの事だ。(北京晩報)
2,専門家:祝祭休日を内需拡大の軸に
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99.10.2 天安門広場
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祝祭休日の増加は、内需拡大、就業機会の増加、資産の再配分に一定の効果があり、一方国外では、祝祭休日の売り上げは平日の3〜5倍という統計が出ている事から、祝祭休日を内需拡大の軸に据える事を提案する経済学者もいる。
3,お祭りムードをもっと
(1) 休日でない祝日
これまでに試みてきた祝祭日(凧祭、雑技祭などがある)には利益性を求める姿勢が目立ち、文化性や娯楽性が欠けていたので長続きしなかった。そこで経営報の記者は、ドイツのビール祭りを例に、民間主導による"休日でない祝日"という手段を提案している。
※ドイツのビール祭…毎年9月末から10月初めにかけて2週間に渡って開かれ、世界各国からビールファンが集まり、開催地に多大な利益をもたらしている。
(2) 祝祭日における娯楽と教育の融合
楽しみながら学ぶという意識のもとに祝祭日を作れば、祭りのムードもより一層高まり、自発的な活動も活発になる。そうする事によって、文化性と娯楽性を併せ持つ祭りを実現する事ができる。
(3)祝祭日を経済刺激の武器に
祝祭日の効用は万能ではないが、経済を刺激する為の一つの武器となる。建国50周年やマカオ返還、ミレニアム(千年紀)などの、一時的なものや、地方色を備えた行事も経済刺激に利用できる。
4,私見
長期休暇になると、北京の街は外国人だけでなく、地方からの観光客でごった返す(特に国慶節時の天安門や王府井は一面黒い海と化していた)ので、休日の増加や延長は消費の拡大にある程度の効果は見込めるかもしれない。ただ、資産の再配分という点に関してはどうか。その恩恵は観光地に偏り、本当に資金の欲しい農村部等には回らないのではないか。
世界的に名を知られている漢方薬や陶磁器等を利用した祭を開けば、国内だけでなく、国外からの来客も見込めるかもしれない。
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