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決勝トーナメント制の是非(2)

 前回のコラムで、日本リーグでの決勝トーナメント制の欠点を挙げ、同制度の廃止を提案した。今回は、廃止に伴い発生する問題点の解決策を述べたいと思う。

 問題点の1つは、決勝トーナメントがなくなると優勝がいつどこで決まるかわからず、報道や観客動員に支障が出るという点だった。しかし、「いつ」という点については、ある程度の予測はつく。すなわち、独走するチームが出ない限り、最終節の第10節で決まるだろう。可能なら最終節を3日間にして、最終節で決まる確率をさらに上げておく。

 次に、最終節の試合会場は、第9節までの結果を反映したうえで決定する。もちろん、試合会場(2個所)と対戦カードだけは、従来通りシーズン前に決めておく。しかしどのカードをどちらの会場で実施するかは、9節終了後に決定する。2会場は一方をメイン、もう一方をサブという扱いにし、優勝争いに関わる試合はメインで実施するのだ。こうすれば、優勝は「(いつ?)最終節に」、「(どこで?)メイン球場で」、かなりの確率で決定する。

 この最終節の会場は、中立地、すなわちどのチームの地元でもない場所でなければならない。今年の最終節のような、高崎や保土ヶ谷は論外である。各チームの「ホームゲーム」は、第9節までにすべて終わらせておく。また、移動距離の違いによる不公平を減らすため、国内の中心に近い位置にある都市がいい。

 また、直前にならないと試合会場が決まらないのでは、チームにとっても宿泊施設の確保などに支障が出るから、上記の2会場は同一県内、それもなるべく近くにあったほうが望ましい。移動バスで1時間以内が上限だろう。

 最終節の試合が終わって、リーグの全日程が終了した後、メイン会場で全チーム参加による表彰式を行う。サブ会場にいたチームには、試合終了後メイン会場に移動してもらう。移動時間を考慮して、サブ会場の試合開始時刻は、メイン会場より早めておく。サブで2試合、メインで4試合行う方法もあるが、優勝のかかった試合は長引くことが多く、さらに表彰式も行うことを考えれば時間的にやや無理がある。

 上記の条件を考慮すると、最終節の開催地は、静岡県富士宮市の県営ソフトボール場が好ましい。’98年世界選手権の会場になった球場だ。観客収容数など設備面では申し分ないし、日本ソフトボール界の歴史を作った球場なら優勝決定の場面として相応しい。何よりも、野球場ではなくてソフトボール場であるところが良い。交通の便が良くないので、せめて駅からシャトルバスの運行くらいはしてもらいたいが。

 この球場をメインとし、世界選手権時と同様に、隣のグラウンドに仮設スタンドを設置して、これをサブ球場とする。同一県内どころか同一敷地内だから、移動の問題は発生しない。サブ球場で戦う羽目になった選手は、目の前の立派な球場で優勝を賭けた試合を戦っている選手と、自分の立場とを引き比べてやるせない気分に陥るかも知れない。まあ、そこはこの屈辱をバネにして来年は優勝争いに加わることを目標にしてもらいたい。

 世界大会ならともかく日本リーグ程度で(苦笑)仮設スタンドなど設置できないという場合は、サブ会場を新天城ドームにする。ただし、同一県内とはいえ富士宮の球場とはかなり離れているので、移動が難しいかも知れない。

 また、従来の決勝トーナメント同様に京都で開催する場合には、メインを西京極、サブを宇治市の太陽が丘球場とすればいい。ただ、この時期の京都は観光シーズンで宿泊施設の確保が難しい(試合ついでに観光も、というファンもいるだろうが)。またミキハウス、シオノギ製薬といった関西勢に近く、公平性の点では静岡に劣る。

 リーグ戦とは、全チーム総当たりで、長期間にわたって多くの試合をこなすことで、運・不運や一時の好不調に左右されない、真の強者を決めるためのシステムだ。短期決戦の緊張感を堪能したければ、トーナメント戦の全日本選手権や国体がある。日本リーグではリーグ戦ならではの醍醐味を打ち出すべきだ。

(2003.8.15)

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