電撃ANIMATION MAGAZINE 5月号 監督:高橋ナオヒト プロデューサー:神田修吉 インタビュー
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──監督は、浩之、あかり、志保、雅史をどのようなキャラクターだと捉えていますか?
監督:正直な話、To
Heartという作品は、普通のアニメーションと同じ方法でキャラクターが成り立ってないんですよ。要するに主役がいて、脇役がいるから話が転がっていくという普通の作劇スタイルをとっていないんです。ある意味、あかりと浩之っていう存在は、普通のドラマにおける主役になっていないんですよ。僕はこの2人をこの番組の司会者であると考えていますから。そんな2人の存在が、シリーズ13本をとおして見たとき、ひとつの味わいになっていればいいと思っています。また、浩之はほとんど物語を動かしてはいません。あかりもそういう浩之を基本的にはただ見ているだけなんです。長年連れ添った夫婦のような存在であるあかりと浩之の2人が、この物語の中心にいないっていうのが、To
Heartのすごく難しくも、変わった点なんです。こういう作劇は普通しませんよね。
結局、その話数にとって必要な人、3話以降はゲストの女の子たちが、メインの話になっていきます。ですから、話数ごとに登場するゲストの女の子が、その回の主役であるという考え方もできるわけです。
──と、いっても、毎回、あかりの視点というものがあると思うのですが。
監督:彼女は、要するに一種の象徴というか、この世界のバランスを保っている存在なんですよ。彼女がいない世界は成り立たないんですけど、実際にはその人のためのお話は存在しないという。だからあかりは、視聴者の人たちを包み込んでいる存在だと思っていただいた方がいいと思います。
神田:一応、彼女はシリーズを通しての主役という形になっているのですが、あまりそれを強調して構成してしまうと、彼女のストーリーだけを追った物語が展開していってしまうんです。アニメーションTo
Heartにおいては、ありがちな構成をどう避けて作品を作っていくかが一番の問題なんです。
監督:僕がこの作品でやりたいことは、あかり、志保、浩之の密やかな三角関係を少しだけ崩すことによって、あかりという女の子の生身の心情が強調できればいいなということなんです。シリーズで見る人に感じてほしいのは、そういうところなんです。
Q このシリーズの、いわゆる柱になるような目的とか、事件とかはあるのですか? 実は、物語の背後に大陰謀が隠れていたのだぁ…とか?
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A 事件と呼べるようなことはないんですよ。キャラクターに焦点をあてて、その微妙な違いを描くシリーズですから、従来の作劇法でいえば本当に起伏のないドラマなんです。でもだからこそ、新しいアニメのジャンルになるかもしれないという、変な野望はあるんですけどね。
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Q 女子高生がたくさん出てくるんでしょ? 舞台はすべて学校何ですか? それとも、どこかへ出かけるお話しもあるんでしょうか?
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A 街中へ出ていくこともありますが、基本的には学校の中です。閉ざされた空間の空気が濃い感じの中で、ほとんどのドラマが展開します。意図的に背景もあえて絵画的な描き方で濃密な大気感を出してみました。普通の背景とちょっと色合いが違うはずです。
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Q 女の子キャラが多そうで、どうしても男性向けアニメを想像しますが、女性ファンにもアピールできるポイントは?
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A キャラデザイナー・総作監は女性ですし、彼女とも話しながら、同性が見て「こんな女の子はいないよ」というつくりはしてないつもりです。女の子たちの日常のリアル感は、女性の方にも納得してもらえると思うんですが。
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Q 1話は「席替え」という事件がモチーフでしたが、こうした学校行事をピックアップしていくんですか? そうすると、最後は卒業式とか?
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A 行事は出てきますよ。9月1日から12月24日までが全体の流れですから、秋の文化祭、体育祭、スポーツ大会、そして最後はクリスマス。ただ、この作品で描きたいのは行事ではなく、女の子たちの日常ですから、文化祭そのものではなく、あくまで文化祭前夜のドラマとかですね。
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Q 主人公のあかりと浩之は、どんな関係なんですか? 浩之のことが好きなライバルの女の子とかも出てくるんですか?
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A 俗にいう三角関係ではないけれど、志保は浩之のことがちょっと気になっていて、それで浩之とあかりの関係が揺らぐかな、というのはありますね。最終的には見てくれた人が納得できるような答えを、この3人に出してあげられればと思っています。
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Q 男の子のキャラクターでは、どんな人たちが出てくるんですか? おすすめのキャラクターを教えてください。
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A 浩之と雅史、この二人ぐらいですね。浩之は主人公あかりの幼なじみ。口は悪いけれど、いい奴です。雅史は浩之の友だちで、彼もいい奴です。ただ、キーマン的な期待はしないでくださいね。
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