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・オープニング
主題歌、内容ともにPS版のゲームとほぼ同じOPであり、それはアニメ版のスタッフがどちらにも通用するようにと作ったからである。そのため学校の風景とキャラ一人一人のカットが連続するという非常にゲームのOPらしいが、風景にしてもカメラのパンやズームがあったりと映像として成り立つように工夫されている。全体的として「学校」を感じさせてくれるものになっているだろう。最後の雪のカットのフレームの使い方が、高橋ナオヒト氏の前作『ベルセルク』を彷彿とさせるのだが、その辺はどうなのだろう。
PS版のEDによると、演出:高橋ナオヒトとなっているが、おそらく絵コンテも担当したと思われる。また、原画はキャラデザの千羽由利子のみと表記されており、あの統一された素晴しい作画もそう考えると納得がいく。
最初と最後にあかりがいて、それで全体を包むといった構成である。何気ないことであるが、主要の8人の女の子以外登場しないので統一感があってテーマを感じさせるし、浩之や雅史といった男性キャラがいないので、あかりの視点が露骨にならないし彼女でくるむという構成も嫌味がないのであろう。
(8人以外出ないとはいっても、ゲタ箱のレミィのシーンで彼女に隠れる形で雛山理緒がいるのに気づいただろうか。文字通りゲームでは隠れキャラであるし、OPに出るだけあってアニメでも主役の回が存在する)
あかり以外の7人については、前半と後半で2度、個々のカットが連続するようになっている。1回目のカットでは学校での背景が存在するのに対し、2回目は何もないのが当初「学校を感じさせる」という趣旨に反しているように見えて違和感があった。しかし、別のコラム「どのようなアニメ化なのか」を書いていくうちに気がついたことがある。そのコラムでは「ゲームでは女の子の学園生活が抜け落ちており、アニメではそこを描いている」と書いたが、1回目の連続カットではそれをやっていることに気がついたのである。クラスメイトを前に喋る志保、練習の合間に休息をとる葵、うつむいて同級生をさける琴音、といった感じでどれも彼女達が学校ではどのように過ごしているのかがわかるものである。
では2回目は何をあらわしているかを見てみると、どうも浩之に対する態度をあらわしているようだ。陽気に振り向く志保、頭をなでられて喜ぶマルチ、感激の様子の葵と、どれも他人の向けての表情であり、それならば浩之と見るのが妥当である。なおかつ、無表情の芹香、顔をそむける智子と、まだ出会った段階(以前?)での態度ととれる。OPで初期の態度を示し、それがどうなっていくかを本編で見てもらいたいということかもしれない。
1回目の学園での描写が「公」ならば、2回目の浩之に対する態度は「個」の部分であり、そう考えると2回目は背景が学校ではなく、ほぼ単色に塗りつぶされたバックであるのも納得がいく。
しかし、1回目、2回目の登場する順番はそれぞれ違うのだが、何か意味があるのだろうか?
この作品において重要な順? 長岡志保 マルチ 来栖川芹香 保科智子 松原葵 姫川琴音 宮内レミィ |
浩之への好意が高い順? 長岡志保 来栖川芹香 マルチ 宮内レミィ 松原葵 保科智子 姫川琴音 |
1回目が「この作品において重要な順」、2回目が「浩之への好意が高い順」とも思ったが、さて?
(人気の高い順……ということはないか)
特別な存在のあかりだけはやはり他の人物と同様ではなく、最後のシーンが校舎内であり、学校が後という意味では逆ということになる。しかし最初も最後も背景があり、「公」「個」の区別をしているといったふうにも見えない。どちらも「見つめる」といったシーンであり、最初の紅葉の秋から最後の雪の冬にかけて、いろんな女の子に出会い、影響を与えていく浩之とその様子を「見つめ続けている」ということなのだろう。
・アイキャッチ
Aパートの終了直後、Bパートが始まる直前にあり、どちらも「ハンガーに架けられた制服」というものである。制服を脱いだ、学園外の「休息の時」という印象を受けたのだが。
ゲーム(3〜5月)と同じく冬服である。本編序盤では夏服を来ているが、9月〜12月という季節を扱う意味では冬服が妥当であろう。
大事なのはその時にかかる曲で、ゲームではキャラごとにテーマ曲があるのだが、そのアレンジになっているのである。1回目か2回目かのどちらかに必ずあかりの曲があり、もう片方がその回の主役の女の子の曲というのが基本である。例をあげれば、3話では「1回目−あかり、2回目−芹香」といったふうになっている。
どちらにあかりの曲がくるかは必ずしも一定ではないが、調べてみると「1回目−志保、2回目−あかり」の場合のみ(2、5、6話)、あかりが2回目にくるようになっている。志保に関してだけは、あかりはゆずる気持ちがあるのか?といった憶測も成り立つが…。
・ED
女性ボーカルのポップな歌であるが、個人的にはあまりこの作品のEDにはそぐわないのでは?という気がしないでもない。「何となくジ〜ンとくるような話」が主体の作品なので、もう少し余韻を感じるような優しいとか、静かな歌の方がいいのではと思ったのではあるが。
映像の方は、セピア調にした本編のカットが使われるというものである。カットごとに画面上のどこに使われるのかも変わるので散漫な印象を受けてしまい、これも余韻を感じるさまたげになってしまう気がする…。
ふと、『ベルセルク』のEDを思い出したのだが、あのような感じだと丁度いいのではないだろうか。
余談だが、新潟放送では川澄綾子の歌う別の歌が使われているそうだが、これは今後発売されるLDやDVDに収録されるとのこと。
・次回予告
なんといっても、主題歌アレンジのこの曲がいい。いや、本当に。
よく考えると、次回のタイトルを最後にセリフで喋らず、最初からテロップで表示しているのは結構センスがいいかもしれない。