平成12年度 日本語研究センターだより（2000年4月〜2001年3月）

平成12年度 日本語研究センターだより（2000年4月〜2001年3月）

・4月3日　入学式、センター歓迎会
　夕方からは、新たにお迎えすることになった、有田節子先生、研究室員の岡田明美さんを歓迎する会をおこないました。今回はちょっと趣向を変えて、タイ料理店に行きましたが、日頃食べ慣れぬものばかりなので、一品ずつ、食材は何だ、味付けはどんなだ、これは甘い、これは辛いと、歓迎会そっちのけで、みんな料理に夢中になってしまいました。

・4月5日　日本語教育課程履修説明会
　説明会には、毎年2･3･4回生あわせて200名弱の学生が参加します。日本語教育課程を受けるにあたっての心構え、授業の方針について、各教員から学生へ伝えた後、単位の取り方、履修条件の確認等をおこないます。また、授業の質を保つため、演習形式の授業に関しては人数制限をおこなっていますが、そのための予備登録用紙を配布します。日本語教育課程は、1992年度の設置以来、今年度で7回目の修了生を送り出しました。カリキュラムの自由化が原因と思われる、一昨年度108名、昨年度94名にものぼった修了生に比べると、今年度は最終的に69名と少し落ち着いてきました。学科別に見ると、国文学科は44名と昨年度並みですが、英文学科が24名と半減したのが気になります。また、専攻別に見ると、主専攻は21名と昨年度とほぼ同じなのですが、副専攻の人数が減っています。詳しくは、後の「日本語教育科目について」の末尾にあります「日本語教育課程修了者数一覧」をご覧ください。日本語教育課程に関しては、文化庁が、より実践的なカリキュラム内容に変えていくように提言しています。学外、できれば海外実習の実施も含め、内容を見直す時期にさしかかっていると言えます。

・4月26日〜27日　国文学科学外オリエンテーション
　センターのスタッフも、国文学科の先生方に混じって学生を引率しました。今年の行き先は伊勢方面でしたが、斎宮博物館、伊勢神宮、伊賀上野の三ヶ所を訪れました。今年の一回生は人数が90名弱と少ないので、その分一人一人の顔がよく見えてきます。

・5月12日　介護体験施設訪問
　今年度から、中学校の教職免許を取るために、3回生の前期に「介護等の体験」をすることが義務づけられました。田原広史は教務委員として、学生達の体験をお願いする「特別養護老人ホームYMCAサンホーム」を、あいさつかたがた訪問しました。後日、事前ミーティングを開いて、学生に施設のようすを伝え、心構えを確認したのち、グループごとに順次施設に送り出しました。介護体験の制度自体が、初年度ということもあり、われわれも受け入れ施設側も手探りの状態で進めましたが、幸い大きな問題もなく、学生達が無事体験を終えることができ、ほっとしました。

・5月15日　葵祭見学
　国文学科恒例の学外授業である葵祭見学に行きました。田原が昨年に引き続き、国文学科の北村英子先生とともに学生を引率しました。昨年は、土曜日でしかもよい天気だったこともあって、ものすごい人出で、ゆっくり見ることができませんでしたが、今年は平日だったので、行列をじっくり見学することができました。しかし途中で雨が降り出し、午後は早々に引き上げました。

・6月　高校訪問
　国文学科の教員に混じり、授業の合間を縫って、受験生の獲得を目指し、高校訪問をおこないました。このときばかりは、身も心も営業マンに変身しなければなりません。慣れぬことですし、向いているとも思えませんし、どこまで成績をあげることができることやら。この月は、前期授業真っ盛りの時期である上、梅雨も本番のうっとうしい季節、さらに教育実習に行っている四回生の実習先への訪問も重なり、肉体的にも精神的にも厳しい月です。

・7月9日　第16回西日本国語国文学データベース研究会（DB-West）
　本学円形ホールで開催され、5件の発表がおこなわれました。センターからは、田原広史が国立国語研究所の井上文子氏と共同で「全国方言談話資料データベースの作成に向けて」と題し、現在、国立国語研究所を中心におこなっているデータベース化の概要について報告しました。また、本学非常勤講師の志甫由紀恵氏が「演歌とポップスの使用語彙」と題した研究発表をおこなってくださいました。なお、田原と共同で発表していただいた井上氏、早稲田大学非常勤講師の大内英範氏、名古屋大学大学院の加藤妙子氏につきましては、当日の発表をまとめたものを本号に投稿していただきました。

・7月20日、9月3日　キャンパス見学会
　センターでは、パソコンでセンターのホームページを見てもらったり、日本語教育科目のしくみをまとめたポスターを張ったり、センター教員の著書、報告書等の展示をしたり、日本語教育科目の講義要項のコピーを配布したりしました。当日は田原ゼミの二回生が、未来の後輩達のために手伝ってくれました。やはり学生がいてくれると見学会が活気づきます。

・8月24日　樟蔭高校生対象の体験講義
　昨年度から始めた内部高校生に対する体験講義を今年度から組織的、本格的におこなうことになりました。国文学科では四人の教員が一人90分ずつ講義をおこないました。日本語学分野については田原が担当し、「話しことばの研究について」というテーマでおこないましたが、まず、「ことばについて日頃思っていること」を書かせ、次に、国文学科で学ぶことの説明、方言で桃太郎を朗読した音声教材を各自聞き取らせる作業、さらに田原がNHKの取材を受けたときのビデオを見せ、ことばの研究をいかにしておこなうかについて説明する、といった盛りだくさんな内容を扱いました。私自身、高校生に教えるのは初めての経験なので、準備に時間をかけました。また、彼女たちが大学生となり、学んでいく三年くらい先の授業形態を想定し、パソコンのプレゼンテーションソフト（パワーポイント）で画面に写しながら説明したり、視聴覚教材であるビデオを利用したり、といった新しい試みを意識的に取り入れました。当日は、理事長で学長の森眞太郎先生、国文学科の谷垣伊太雄先生も出席してくださり、高校生に教えるというだけでなく、同僚に見ていただくという点でも、良い経験をさせていただきました。

・9月15日、16日　田原ゼミ3回生卒論テーマ検討合宿
　今年は鳥羽市のホテル鳥羽小涌園でおこないました。15日の午後1時から6時まで、一人20分から30分かけて、みっちり卒論テーマについて発表をおこないました。夕食はバイキング形式でしたが、とても豪華で種類もたっぷりありました。日頃のダイエットもなんのその、昼間のストレスも手伝って、動けなくなるほど食いまくっていました。食事の後は、幹事の提案でトーナメント形式のエアーホッケー大会が開かれました。ちなみに優勝は、大人げなくも田原でした。二日目は午前中に解散し、いくつかのグループに分かれて鳥羽・伊勢志摩方面を周遊しました。

・9月18日〜21日、25日〜28日　ロング先生集中講義
　昨年度に引き続き、今年度もダニエル・ロング先生に「比較コミュニケーション論」の集中講義をお願いしました。25日はロング先生の歓迎会を開催し、昔話に花が咲きました。

・9月21日、22日　田原ゼミ卒業論文中間発表会
　恒例の中間発表会を一人あたり約30分、一日半をかけて円形ホールでおこないました。二日目の夕方からは、田原ゼミ2〜4回生総勢40名で懇親会をおこないました。

・10月21日、22日　田原ゼミくすのき祭展示
　「くすのき祭」とは大阪樟蔭女子大学の学園祭のことですが、今年度初めての試みとしてゼミの展示をおこないました。四回生は卒論の中間報告を各自ポスターにまとめたもの、二回生は授業中にパソコンで作成した方言地図をやはりポスターの形にしたものを展示し、田原は、昔話の桃太郎を各地の方言で読み上げた音声をパソコンでデータベース化したもののデモンストレーションと、以前テレビ取材を受け、放送されたものを収録したビデオを流すという展示をおこないました。近頃めっきりアカデミックな要素が欠落している学園祭に、少しでもてこ入れをし、あわせて、日頃大学でおこなっていることを近所の人たちに知ってもらいたい、という気持ちで始めました。

・11月18日　東日本国語国文学データベース研究会（DB-East）ことあげ
　センターが中心になっておこなっている「西日本国語国文学データベース研究会(DB-West)」の兄弟研究会であるDB-Eastの発足会が、東京の国立国語研究所で開かれました。センターからは、西端幸雄が「DB-WestとDB-Eastの意義」と題し、記念講演をおこないました。研究発表では、国文学研究資料館、国立国語研究所が作成しつつあるデータベースの紹介があり、われわれにとっても非常に有意義で、勉強になる内容でした。詳しくは、http://homepage1.nifty.com/h-ouchi/DB-East/index.htmlをご覧ください。

・12月3日　第17回西日本国語国文学データベース研究会（DB-West）
　本学円形ホールでおこなわれました。センターからは、非常勤講師の南場尚子氏と田原が共同で、「「青空文庫」のデータベース化と研究への利用」、西端が万葉情報システム調査会の仕事としておこなっている成果として、「萬葉学会創立50周年記念・雑誌「萬葉」復刻版(DVD)の紹介」と題して、それぞれ発表をおこないました。また、非常勤講師の
中村一夫氏が「岩波古典体系本データの加工と活用」、田原が「pdf版 方言桃太郎データベース」と題して、休憩時間を利用したロビーでのデモンストレーションをおこないました。南場氏に田原との共同発表をまとめたものを、また、名古屋大学大学院生の鄭樹�I氏に、やはり当日の発表をまとめたものを本誌に投稿していただきました。

・2月1日　田原ゼミ卒業論文発表会
　まる一日をかけ、円形ホールでおこないました。今年度から国文学科では、卒論審査にあたり副査制度を導入しましたので、国文学科の石川真弘先生の同席のもとに進めました。さらに、卒論指導の際に関わってくださった数名の先生方も、入れ替わり立ち替わり出席してくださり、学会の発表会のごとく緊張した雰囲気で進み、とても充実したものになりました。夕方からは、下級生主催の田原ゼミ予餞会（追い出しコンパ）を催しました。

・2月8日　センター送別会
　今年度で退職される先生方を送別する会をおこないました。今年度は、非常勤講師としてお世話になりました、南場尚子先生、八尾由希子先生、後藤英次先生の三人の先生をお送りすることになりました。記念品、寄せ書き、花束をお贈りしました。お三方の今後の活躍を期待いたします。

・3月14日、15日　卒業式、謝恩会
　14日に卒業式が本学会館でおこなわれました。ほとんどの学生が、黒の紋付きに緑の袴という、厳粛な式にふさわしい伝統的な衣装です。翌15日には、国文学科の謝恩会が梅田のヒルトンホテルでおこなわれ、センターの教員も招待を受け、出席しました。この日は、前日とうってかわり、振り袖、ドレスを中心とした明るい衣装です。教員一同、学生の新しい門出を祝いました。

・3月22日　新国文学科顔合わせ
　4月から、奈良県香芝市関屋にある樟蔭短期大学を中心とした全学的な改組に伴い、短期大学日本文学科、日本語研究センター、国文学科の教員組織が統合されます。そのための顔合わせ会がおこなわれました。来年度より、センターは国文学科とより深い関係を持つことになります。

・3月31日　センター報告第9号（本号）刊行
　今回もさまざまな方面からご投稿いただき、無事に第9号を世に送り出すことができました。本号発刊にあたりお世話になりました関係各位に感謝いたします。執筆者の一人である名古屋大学大学院の加藤妙子さんには、編集作業、最終校正の段階でお手伝いいただきました。来年度はいよいよ節目の10号を迎えます。センターも設立10年を迎えます。記念行事を企画しなければなりません。ぼちぼち準備にとりかからねば。

（TaH）