献身的な妻の愛によって、克服された夫の長年の口臭
ー愛は、口臭を救うー
この記録は「口臭会KSK」のメンバーのエルフさんから寄稿された実際のメールです。
ある主婦が、御主人の口臭撲滅の為に、立ちあがり、自宅において口臭を克服された記録です。
記録を読ませて頂いて、驚愕しました。
私が行なっている「口臭外来」専門治療の計画的治療システムに、極似していたからです。
主治医が奥さんで、しかも、方法が理にかなっていたとしたら。どんな口臭も克服できる訳です。
この報告は、誰しもが正しい知識と、方法をマスターするなら、頑固な口臭も、自宅で克服できる事を示した一例ではないかと思います。
この記録を見ながら、どうしてこの方法がうまくいったのか、どうすれば自分で克服できるかについて、一緒に考察していきましょう。
口臭は口の中の原因(例えば歯石除去)だけでなく、全ての総合的問題であることがよくわかるとおもいます。
口臭でおなやみのみなさん、この記録をもとに、自分の生活と比較してみてください。何か得るものがあると思います。また、口臭解決へのヒントが多く隠されています。
これは、投稿者の許可を得て掲載しています。一人でも、多くの口臭で悩む皆さんへの強い支えになれば、幸いです。
投稿内容に付いては原文のままです。
寄稿頂いたエルフさんに感謝します。
きっかけについて(本文のとおり)
きっかけとこの方法に至った考えですが、我が家の場合、他臭ということで私は夫に『歯を磨け』と執拗に言うことしか思わなくて本人は『磨いてる!』と怒鳴る始末。。
家庭の医学等の書物を見て対策や原因がつかめても本人が意識して実行しなくては解決できそうもないので夫本人に口臭の自覚が無く、協力が得られなかったのが10年間も夫の口臭に悩まされ続けた事です。
歯磨きの直後や、食事中など臭う事はないものの、生理的な物なのか、いつ、どう言う状況の時、臭うのか観察しました。
やはり、口が半開き(無意識の口呼吸)だったのです。無意識である以上、夫本人に指摘しても『してない』と言うだけで同意はしません。
協力無いまま、いかに直すかがテーマになりました。(^^;)
●歯科医への通院
幸運にも私が、半年毎、定期検診で通っていた個人歯科がほんだ先生の言う「良い歯科医」にぴったりだったのです。
が、自覚が無い以上、口臭だからと無理に通わせる事ができません。
3ヶ月前、虫歯で夫の歯がかけてしまったので通わせるチャンスがきました!歯石とりからプラークコントロールのブラッシングまで口臭予防からではなく、歯の健康の意味で夫も認識し、結果口臭もなくなることが出来ました。
●食生活の見直し
歯科医でせっかく直してもらってもいままでのようにいづれまた復活したのではお医者様にも申し訳ないので、夫と私の習慣の比較をしてみました。
同じ食事をしていても「おやつ」の違いがはっきりしました。
私は好まないのでスナックやジュース、加糖の飲み物はあまり口にしません。が、夫は、俗に言う「コンビニ族」で口寂しいのかスナック類を頻繁に食べていました。
喉が乾くのでスナックに合うジュース。悪循環ですね。
おやつの習慣を無くすのは本人のストレスになってしまうのと無理に変えても自主性が無いと長続きしない事だと思いました。
ほんだ先生の「唾液の減少」に思い当たり、前に近年の若者は顎の筋力の低下で口が半開きになってきているその影響で唾液腺の未発達を起こすのでは?と言う、話を聞いていて、この「おやつ」の時間で顎の強化を謀れないかと考えました。
そして昔私が子供の頃、祖母がおやつに出してくれていた「エイヒレ」を思い出しました。
みりん干しでほんのりと甘く、かなりの咀嚼をしないと飲み込めないのと、お茶にも合う。と考えました。
運良く夫も嫌々食べるのでは無く、好んでこれだけになりました。良く噛むので満腹感もあるのか、大量に食べたがる事も無く2、3枚も食べると満足しているようです。
嗜好に合わせて続ける事が出来、良い結果になりました。今は「無意識に」口を閉じています。(^-^)
自分でも「エイヒレ」を食べている時、意識してみると舌がよく動いている事がわかります。舌に付いた舌苔もこそげているようにも感じます。
硬い物を食べなさいと言われても具体的に何が良いのか解らなかったのですが、こういうもので良かったのでしょうか?
夫:34歳、接客業
旦那様の口臭撲滅計画
〜3ヶ月の妻の愛の施策〜
良い歯科医への通院と
私はこれで旦那の口臭を撲滅しました。(^-^)
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以前(約10年間) |
改善策(3ヶ月) |
歯科医院 |
虫歯が痛くなったら飛び込みで治療のみ。
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●初診の時に治療計画の相談、説明を受ける。
●治療とプラークコントロールの指導説明がある。
●歯石、歯垢の陰に隠れていた虫歯の治療。 |
歯磨き |
歯ブラシに磨き粉をたっぷり付けてさっぱりした気になる。
本人は磨いている気らしいが、磨き残しが多い。
気になると口臭除去剤を利用する。 |
●磨き粉をまったく付けないのは不快らしいので、歯ブラシの先に1/4程度にする。
●歯と歯茎の間をマッサージするように丁寧にするので時間もかかるようになった。
●フロス・歯間ブラシの使用。
※口臭除去剤の使用を中止。
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おやつ |
ジュース、缶コーヒーを好む。
ポテトチップ、チョコレート、ピーナッツ、 スナック類を好む。
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●煎茶を好まないので抹茶入り玄米茶に。
●今までのおやつ撤廃。 乾物の「エイヒレ」が嗜好に合ったので、それで唾液腺の強化を謀る。 |
食事 |
味の濃いもの、肉類が多い。野菜はサラダ程度。 |
●肉と魚を交互に1日150g程度にする。根菜類を増やす。
●バランス良く1日30品目を目標に。
※朝食は水分のたっぷり採れる軽食に、昼食は管理できない。 |
妻の感想 |
本人に口臭の自覚はあまり無い。
何かに夢中になって、無意識に口で息をしている時、口臭がする。
おやつ・缶コーヒー等を食間、頻繁に口にする。
食後30分以内の歯磨きを怠ることがある。 |
●歯茎の色が良くなった。
●エイヒレを噛むことで顎が強くなったのか、 ボ〜としてる時、口が開いていたのが無くなった。
●無意識の口呼吸が無くなった。
●至近距離でも口臭を感じ無い。
※半年後の定期検診のお知らせの手続きをして
治療は終了した。
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解説
この記録を考察すると、私がほんだ歯科の「口臭外来」において、おこなっている治療法に非常に良くにています。
(歯科医院)
まず、基本的なことである、直接的原因の除去を事前に歯科医院で、おこなっています。これで、直接的原因が取り除かれる事で一時的に口臭は改善します。これはまず、最初に行うべきことです。
(歯磨き)
歯磨き剤の使用を最小限に押さえたこと。これは非常に大切なことです。
ほんだ歯科では、治療段階に入りますと、一切の歯磨き剤と洗口液の使用を禁止します。アメリカの口臭外来治療も同様の指示を行ないます。
理由は、これらに含まれる、界面活性剤と、保存剤、また洗口液のアルコールが口臭患者には最も有害だからです。
だ液磨きや、特殊な歯磨き剤(界面活性剤や一切の保存剤が入っていない、漢方成分の歯磨き剤)を使用します。
口臭で困っている多くの人の舌の表面は、これらの界面活性剤などの影響により電顕レベルでは上皮細胞に無数の損傷を受けています。(近畿大学薬学部において観察済み)。
市販歯磨き剤の使用を最小限にした事は、口腔粘膜や舌粘膜の刺激を最小限にとどめ、過敏反応を押さえることに成功しています。
その結果、舌表面の軽い炎症がなくなり、舌本来の機能の回復に大いに役立っています。口渇感の消失、過剰な舌苔の付着防止効果があります。
(おやつ)
ここで、最も重要な事は、炭酸系飲料・柑橘系飲料の禁止を行なわれた事。
これらは、口腔内のpHを低下させ、虫歯の原因になるばかりか、唾液が少ない場合、容易に口腔内環境の恒常性(いつも安定した口腔内環境を保つ)の維持ができなくなり、口臭を起こしやすい環境を作ります。
スナック類のおやつの、不規則な摂取を改善した事も、口臭抑制には大きな効果があります。
これらは、多くは粉っぽい、糖分や炭水化物が主体である為、節食後、歯閧笊竰ヤ物周辺に吸着し残存し、遅延的な分解からくる、発酵臭をおこします。また、口腔内は酸性に傾きます。
これらのおやつを改善した事で、口腔内の環境の保全と、衛生状態の維持は極めて改善された事になります、同時に食物残渣からくる遅延的分解にによる発酵臭の消失と、環境悪化の防止に役立っています。
(食事)
食事療法は、口臭治療では、原因療法に合わせて重要な項目になります。
食事で最も重要な事は、規則正しい食事習慣と、菜食にあります。とりわけ重要なのは朝食で、根菜類を増やされた事は、咀嚼回数を上げ健康な咀嚼能力の回復と自律神経系の調整に大いに役立っています。
また、水分摂取に努められた事も大きく評価できる点で、平常時唾液の確保には水分代謝の改善と水分補給が重要です。
食品の種類が多い事は、口臭に限らず、全ての健康維持の基本です。
最も、この計画が成功した要因のひとつに、エイヒレをおやつとして導入した事です。咀嚼の訓練と、咀嚼必要な口輪筋、舌筋、咀嚼筋群が強化され、咀嚼回数の増加と、舌苔の防止、口呼吸の改善に大きく貢献しています。
(総合評価)
全ての点において、直接的原因の除去と、同時進行で本質的問題の解決に成功しています。興味深いのは、3ヶ月で解決している事で、この3ヶ月という期間は、私の口臭外来における目標治療期間と一致します。いかにこの計画が、専門的に見ても合理的であったかを物語っています。
口臭治療では、直接的原因の除去と合わせて、本質的な問題である、本来具備すべき消化器としての口腔機能の改善と回復があります。
この意味をよく理解され、鋭い人間観察と工夫により短期間で克服されたすばらしい試みであると、高く評価します。さらには、医院で定期検診の予約をされ、専門的管理の重要性も忘れられていません。
まさしく、愛の施策であると言えます。
このようにして、一般の方でも正しい知識の習得と、工夫により口臭は改善して行く事が理解できます。
エルフさんの旦那さんへの献身的な愛に敬意を表します。
この内容は、1999年末に作成され、Fresh Breathに掲載されているものです。
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