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魚臭症とイソ吉草酸血症について
2001年8月のやりとりから

魚臭症候群について 名前:くま 8/24(金)15:45 

初めまして。最近、魚臭症候群とイソ吉草酸欠症というものを知ったのですが、一体どういう病気なのですか?僕は咳き込まれるのが気になるのですが、その病気がひどいと咳き込まれるような事はありますか?


横入りですが、、 名前:りえ  8/25(土)01:44

ちょっと気になったので、調べてみました。
いずれも代謝異常の疾患ですが、代謝異常というのは、発生頻度を考えなければ随分たくさんあります。比較的知られているのは、フェニルケトン尿症やメープルシロップ尿症などです。これらの疾患は、ある物質を代謝する酵素が欠損しているため、それが体内に蓄積したりして様々な症状を起こします。

発生頻度は、ここに挙げた二つのうち、前者で8〜10万人に一人、後者で50万人に一人位。そして、イソ吉草酸血症というのは稀、だそうです。症状の一つは、尿が汗臭い足の臭い、ということで、もしこのような症状があれば、赤ちゃんのうちに、母親などが異常に気づくのではないでしょうか。

また、魚臭症候群といわれるものは、トリメチルアミン尿症で、トリメチルアミンが本来ならば無臭化されて排泄されるところ、その酵素が欠損しているために、魚の腐ったような臭いがする、ということです。
    

RE:魚臭症候群について 名前:HONDA  8/25(土)19:04

魚臭症候群とイソ吉草酸血症についてですが、その疑いのある患者さんは、約600名近くの口臭治療患者(2001年8月までのほんだ歯科口臭外来受診者)の中で、数例を経験していますが、確定診断はできていません。

魚臭症は、口臭のみらず、体臭(いわゆる腋臭とは違う発汗に伴う臭気)からも魚臭がします。
その人の周囲が、なんとなく、魚臭いです。時に、スタッフでは、その臭気に対して、気分が悪くなる事も経験しましました。
(その臭気に対するレスポンスには個人差がありました。)
感じとしては、魚の腐った臭い(はらわたのような臭気、または、生理のにおいの強い感じ)がします。

呼気にも同様の臭気を感じ、会話をしなくても、その人の周辺がなんとなく魚臭い臭気を発散させています。
口腔内に異常がなくても発生します。
また、通常の口臭ガス測定器には、全く反応しません。

特に特徴的なことは、尿の臭気が非常に強く魚臭を発散する事です。
ほんだ歯科口臭外来では、尿検査は初診時の必須項目で、尿の臭気は呼気性の口臭の原因を探る重要な指標になります。
尿検査は、それだけでなく、内科的慢性疾患のスクリーニングもかねています。(何症例も、本人が気がつかなかった、慢性疾患の早期診断ができています。)

呼気性由来の口臭の場合は、殆どのケースで尿にも同様の臭気を認めるからです。したがって、尿検査は非常に重要な項目です。

魚臭症を引き起こしているガスの正体は、トリメチルアミンと呼ばれるガスで、これは、誰でも、腸内で消化過程において腸内細菌により合成されます。

このガスは、腸で吸収され肝臓で分解されるのですが、この分解酵素(トリメチルアミン酸化酵素)が先天的に欠落している人の場合は、トリメチルアミンが分解されずに、血液中に存在して、呼吸を介して呼気や体表から発散されます。また尿にも排出されるために尿も魚臭を起こすためにトリメチルアミン尿症とも呼ばれます。

通常、口臭は遺伝しませんが、この魚臭症は例外として遺伝する口臭です。
このトリメチルアミン酸化酵素の欠落は、遺伝子にトリメチル酸化酵素を作る部分が欠落しているために、生まれつき酵素をもっていないということです。
遺伝タイプは劣性遺伝です。
したがって、兄弟でも、発生する人としない人がいたりします。
家族的に出現している事もあります。このあたりの疫学的情報も、間接的診断根拠になります。

治療方法は、遺伝子疾患であるために根本的治療は難しくなり、発汗の衛生管理と身体の清潔保持にデオドラントをおこない、口臭に対しては対症療法的な、消臭処置によってほとんど気にならない程度にコントロールが可能です。
消臭システムは、ほんだ歯科の場合は、特殊な漢方系天然素材を用いた消臭物質を用います。(これは特許申請中のもので、ほんだ歯科独自のものです)
消臭システムについては現在も研究段階にあります。

イソ吉草酸血症については、それを疑う症例に遭遇した事はありません。出現頻度は非常にまれであると考えられます。
未知な領域でもあり詳細は学術的にもわかっていません。
イソ吉草酸は、必須アミノ酸の分解過程において合成されるもので、通常は、代謝過程において分解されていきます。
この場合も、分解酵素の欠落による遺伝的要因と考えられます。
イソ吉草酸は、靴下や足臭などの、蒸れた臭気の正体です。


この場合の対応も、魚臭症の場合と同じような対応が必要となります。

確定的診断は、一般開業医レベルでは難しいです。



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