|
舌と舌苔について
◆舌磨き
◆
口臭と舌苔-1 舌を観察してみる
◆口臭と舌苔-2 舌苔を観察してみる
◆口臭と舌苔-3 舌苔を取りすぎるとどうなるか?
◆口臭と舌苔-4 正常な舌苔と病的な舌苔
◆舌苔を除去するということ
◆舌のヒリヒリ感について
◆白い舌苔と唾液の白濁と鼻臭
◆過剰な舌苔は何故つくか?
◆舌の正常な構造
◆舌苔を取り除くことについて
◆舌苔についての考え方−舌苔が部分的に欠落することと口臭
◆寝起きの白い舌苔
◆舌苔は人から移るんでしょうか?
◆舌みがきについて
◆舌苔はなぜ臭うのか
◆舌苔の臭気について
◆舌苔に対する考え方と取り組み方について
◆舌磨きの悪癖と口臭抑止としての緑茶常飲の常識の誤解
◆「舌苔が突然剥げ落ちる事」の意味について −−それでも、舌苔除去は続けますか?
◆食後の舌苔
◆裂溝舌について
◆舌乳頭について
◆口臭外来:口臭外来で舌磨きを指示されたら?
◆HONDA流舌苔除去法
◆舌を磨くことの医学的・歴史的考察
◆舌みがきを科学する・・犬猫でもやらない舌磨き
◆舌の運動・ひょっとこ運動・くいしばり運動について
◆舌の奥の構造について |
舌を磨くことの医学的・歴史的考察
舌苔
名前:きょん 11/8(土)11:23
私は高2の女の子です。私の悩みは舌苔です。私の舌は乾燥していて、舌苔が付きやすいんです!!ご飯を食べる時はとてもよく噛んでいます。食べた後は水を飲み、舌をゴシゴシして、口の中をきれいにしています。たから食後は唾液も出てまあまあきれいになります。でも舌の奥の舌苔は全くとれません。どうしたら舌の奥の舌苔はきれいになるんですか?でも舌がきれいになっても、一時的なもので、またすぐ舌苔が付着してきます。しかも私の舌苔は黄色っぽくて、白色じゃありません。その舌苔が舌全体に付いてきます。特に、お菓子を食べた時はひどくなります。私は小さい時から口臭があり、よく家族に指摘されていました。それから、中1から高2の初めまで舌を磨いていました。結構、力を入れて・・・。今はもう5ヶ月くらいしていませんがやっぱり、成長期の時に舌を磨いていたのがいけなかったのでしょうか?よく水分も取るし、この舌の乾燥さえ改善されたら、異常に舌苔が付着する事なく口臭が改善されると思うんですが・・・。この舌は治るのでしょうか?本当に治したいんです!!朝起きた時も乾燥と舌苔がひどくてつらいです。歯磨きは朝起きてすぐと、寝る前です。どうか、助けて下さい。
舌を磨くことの医学的・歴史的考察ー1
名前:HONDA 11/9(日)10:51
舌の状態は、顔色と同じように、その人の体調や心理状態をよくあらわすものです。
また、病的な状態が起こると、その変化は真っ先に粘膜に現れます。
したがって、医学や獣医学などの領域での診断では、最初に粘膜の観察がとても重要視されます。
内科医や、耳鼻科医、婦人科医は、初診において通常粘膜の観察(診断)を行います。
顔色はもとより、目の粘膜、舌の状態、鼻粘膜の状態、膣粘膜の状態を観察して、診断を行います。
このように、粘膜の変化を観察することは病態を把握するための重要な手がかりになるので、医科領域では診断として重要視されています。病変の変化は最初に粘膜に現れるからです。
舌粘膜の診断は、古くから内科や中医学では確立されており、最新の中医学では舌苔そのものを診断する方法も確立されており、中国では多くの書物が出版されています。
舌の表面は、消化器の内側と同じように粘膜になっています。組織学的にも顔の表面のような表皮とはまったく違う構造をしています。顔の表皮のほうがはるかに頑丈です。顔をブラシでゴシゴシ磨くことをしない人でも、舌粘膜は平気でブラシでゴシゴシするケースがありますが、医学的には無謀なことです。舌をブラシなどで磨くと、ちょうど胃の粘膜や、膣粘膜をブラシでこするのと同じ変化がおこります。
舌粘膜を磨くことは、医学的に見ると、同じ消化器である胃の粘膜をブラシで磨くのと同様の行為です。
ただ、素人の場合にそのようなことが平気でできてしまうのは、口の粘膜の特殊性を知らないからです。
口腔内粘膜は、他の粘膜と違って、痛みに非常に鈍感なのです。理由は、解剖学的には口腔内の痛覚は他の粘膜に比較して非常に少ないからです。
目の粘膜や、膣粘膜をブラシでこする気にならないのは痛いからです。
もしも、口と同じように爽快な気分を味わうことができたら、平気で目や膣もブラシでゴシゴシこするでしょう。ただ、舌の粘膜も組織学的には他の粘膜と同様に非常にデリケートです。
したがって通常医科の先生(歯科以外の先生)や獣医師は、舌粘膜を観察して診断はしますが物理的にブラシでこするという行為は、治療としては行わないのです。
舌を磨くことの医学的・歴史的考察ー2
名前:HONDA 11/9(日)10:52
もしも、舌をブラシでこすればどのようになるかは、次のスライドを観れば分かるでしょう。 通常健康な人の舌表面には、繊細な舌乳頭が絨毯のようにびっしりと存在します。(これは、ラットの舌表面です。)
(図ー1)健康なラットの舌表面の構造)
ラットの舌に合成界面活性剤(合成発泡成分)を含む市販の歯磨き剤を使用しただけで次のような状態になります。
(図ー2)合成界面活性剤入り歯磨き剤を使用したラットの舌表面の状態。
繊細な舌乳頭は容易に破壊を受けます。その結果ちぎれた舌乳頭の剥離細胞は、唾液に浮遊するでしょう。
この状態で、もしも、ブラシなどでこすれば、舌の表面の繊細な舌乳頭は容易に破壊を受け、唾液は非常に白くにごり、沈殿が起こるようになります。たびたび舌をブラシなどで磨くと舌表面は常に破壊を受け、その結果唾液は常に白く混濁し、いくら歯を磨いても唾液自体が常に汚く臭気を帯びてくるでしょう。 虫歯もないし、しょっちゅう歯を磨いている人でしばしば、唾液が恐ろしく汚く臭い人がいます。 繰り返し繰り返し、意味のない歯磨きを繰り返しながら、口臭を悪化させていく人がたくさんいます。
このような人は、ちょっとでも口が渇くと死滅した細胞で汚れた悪臭のある唾液は濃縮され口腔内が不快になると同時に、臭気を感じるようになるし時には相手を不快にするでしょう。
おそらく、しょっちゅう舌を磨く習慣のある人の舌粘膜は図ー2のようにズタズタになっていることが考えられます。
このような損傷を受けた舌表面粘膜は、ますます過敏になり、その上に化学製品である合成界面活性剤に暴露され続ければ状況は非常に悪化していくことが考えられます。 行き過ぎると、舌表面から出血が起こったり、味覚異常が起こるようになるでしょう。
さらに、よく口臭で悩む人が一生懸命磨いている舌の部分は口臭発生源ではなく、口臭の原因となる部分はもっと奥のほうです。舌の奥はたくさんのリンパ細胞が集中しているために実際には磨くことは危険だし、第一磨こうとすると嘔吐しそうになるし、現実的には磨くことは不可能なのです。 したがって、舌磨きは口臭を治療するという見地からは「百害あって一利なし」であると思ったほうがいいでしょう。
舌を磨くことの医学的・歴史的考察ー3
名前:HONDA 11/9(日)10:59
結論: 舌を磨いてもよい場合
1.口臭をあきらめて、死ぬまで舌を磨くことで口腔内感覚が一時的にすっきりすることで、不安から解放される人は、死ぬまで習慣として「口臭が気になるたびに」舌をなるべく傷つけない方法(実際には不可能)で、そっと磨き続けるといいでしょう。ただし、他人が感じる口臭のレベルに対しては一時的な効果しか期待できないので、他の防臭手段も併行したほうがいいです。 その上で、ピリピリした症状や味覚異常などが起これば、直ちに舌磨きを中止して専門医療機関を受診することを勧めます。
2.寝たきり老人や、治療によって健全な口腔生理機能の回復が不可能であると専門的に判断された介護を必要とする人に対して、専門的な看護士の手によって、舌苔由来の細菌感染症防止の見地から、専用の器具を用いてなるべく舌表面粘膜に損傷を与えないように定期的に除菌・殺菌を行いながら舌苔を物理的に除去することは必要なことがあります。
(不幸にして、知らずに長期に舌を磨いていた人はどうすべきか?)
1.病的舌苔の場合:病的舌苔を引き起こしている原因疾患の治療
2.非病的舌苔について:規則正しい生活習慣・食生活習慣の確立・咀嚼力のアップ・口腔内乾燥の予防・精神的不安の除去・口腔内緊張緩和などを複合的に行うことで短期に解決します。 歯磨き方法の変更(口臭対策室の方法)・合成界面活性剤配合の歯磨き剤の使用禁止・
治療では、特殊な漢方系歯磨き剤や舌粘膜や喉粘膜に作用するMouthconditionerなどの使用も併行します。
舌を磨くときは、胃の粘膜を磨いていると思って磨くことが重要です。舌表面は唯一目で見ることのできる消化器粘膜と思ってください。
もしも、舌を磨くことで、口臭が解決するのであれば、舌磨きは紀元前500年前から行われている習慣であり、記録によれば古代インドでは現在よりのはるかに優れた舌磨き器具が考案されていたにもかかわらず解決し得なかったのです。 後にインド医学・中医学(東洋医学)の進歩により、舌は磨くものではなく診断するものであるといことが医学領域では確立され治療として舌を磨くことは医療の歴史から否定されてきました。
現在舌を磨くことを行っているのは、口臭を諦めた庶民ですが、医療業界では口臭治療を行っている歯科医のみが舌磨きを推奨してきました。私は、口臭治療の目的で行う舌磨きは何年も前から否定しています。舌を磨かす限りは口臭は完治しないからです。
同じ歯科業界でも、小児歯科領域や予防歯科では虫歯予防や歯周病予防として小さいころから歯磨き指導は徹底しますが、決して舌磨きは指導されません。理由は健康上危険だからでしょう。本当に舌磨きが口腔衛生上医学的に重要であるとするならば、小さいころに歯磨きと同時に舌磨きも指導しなければいけませんが。そんなバカなことをする指導する歯科医は1人もいません。
従来から歯科で行われている口臭治療における舌磨きが正しい方法であるかどうかは、患者が判断すればよいと思います。
寝たきり老人や、明日がないかもしれない重篤な非可逆的病変でもない限りは、舌を磨くことは、口臭を治すことを放棄しした人のみが許されることのように思いますが。
私は口臭専門治療を開始した1999年以来、治療としては舌磨きを厳禁しています。現在日本では舌を磨かない方法による治療を行っているのはほんだ歯科とその提携クリニックだけですが、歯科業界や口臭治療領域では唯一特殊なことのように考えられているのです。
|
[口臭の悩み 解消のヒント] に戻る
|
|