アメリカ口臭治療・口臭市場最前線レポート・インタースキャン社訪問(2)


題名:アメリカ口臭治療・口臭市場最前線レポート・インタースキャン社訪問(2) 名前:HONDA 12/12(金)04:19

工場では、製品を組み立てたり、調整を行う技術者だけなく、専門的に開発や研究を行なうスタッフも常勤していて、様々な開発研究も行われていた。
今回の訪問では、臨床的な立場からと、工学的・化学的なメーカーサイドの立場からの意見交換を行い、ハリメーターの特性や臨床的な使用上における注意点などを聞くことができた。

彼らから得られた知見を紹介する。



現在のモデルは、従来型の改良型で3回測定を行って平均値をとるシステムで、測定数値の再現性や、ゼロ調整が自動的にできるなど、従来のモデルの不安定な部分が改良されハリソフトというプログラムによってコンピューター出力ができるモデルになっており、現在日本で該当するモデルはモリタから供給されている「MS−ハリメーター」である。
Dr.Lichterが使用していたモデルは、検出結果がプリントアウトできるタイプであったが、現在は生産されておらず、現行モデルの一つ古いタイプだったと思われる。
写真の左側はアメリカ向けのモデルで、インターフェースがアメリカ人好みになっており、3回測定することを示すインジケーターなどは、装飾の中に隠されたモデルになっている。(写真左・中)
日本向け輸出モデルの方が、見た目はきれいに思えたが、アメリカ人には日本向けデザインは好まれないということだった。
日本向けモデルは取っ手を取り付け持ち運びに便利になっているが、アメリカのモデルはシンプルな仕上がりになっている。

製作組み立ては、技術者によって一台ずつ行なわれていた。(写真中・右)


測定器の心臓部分であるセンサーは一台ごとに、写真のようなクリーンボックス内で一台ずつ厳重にキャリブレーション(正確に濃度を示すように調整する)が行われていた。
キャリブレーションは、ゼロと250ppb濃度の基準ガスを使用して2点で行われていた。またキャリブレーションに必要な色々な基準ガスも作られていた。



この写真は、完成された出荷前のMSハリメーターであるが、完成品の段階で再度、最終的な精度チェックが行われ分類されている。
現在ハリメーターは世界で3000人ほどの歯科医が口臭治療の診断のために使用されており、日本でも普及してきた。

アメリカでは、かつての口臭治療ブームは下火になった現在でも年間50台の受注を受けている。

ハリメーターを使用する上での注意点として、非常に精度の高い繊細な精密機器であるため、センサーは使用するたびに消耗していく。また使用頻度によってはしばしば測定精度や安定性が低下していく。
したがって、正確な測定を維持するためには定期的なキャリブレーション(正確に濃度測定ができているかを標準ガスによってチェックする)ことが非常に重要で、この種のガス測定器には不可欠なことである。

これは、日本製の類似のほかの機種についても言えることでもある。また、使用環境や使用頻度にもよるが、一年くらい使用するとセンサーそのものの感度が低下していくために、定期的なセンサーの交換も必要となる。

医療器械の多くは、このような計測機器の精度管理が非常に重要で、そうでないと不安定な状態で測定したり、測定ごとに数値が安定しないと言う現象が起こり、正確な診断が出来なくなる恐れがある。
インタースキャン社では、ユーザーから依頼を受けた、キャブレーションやセンサー交換などのメインテンスも十分行う体制をとっている。

このような、特性を理解して使用する限りハリメーターは口腔内の揮発性硫黄ガス測定器としては、安定した数値を得ることができる。
ともすれば、臨床医は、測定器の測定的な意義や、その構造、特性を理解して使用しないと誤った判断を行う可能性がある。

センサーの精度や寿命は、その使われる環境によって大きな影響を受ける。歯科クリニックでは、他の診療に使用される揮発性ガスが室内に揮発していることが多く、診療室内は特有の臭気がすることがある。ガス環境の悪いクリニックでは患者に使用していなくてもセンサーの精度が低下することがあるので注意が必要である。

ほんだ歯科の場合は、診療室内のエアーは大型の空気清浄機によって常にクリーンな空気が循環するように設計されている。さらに、ガス測定器によって定期的に室内のガス濃度を測定しチェックしている。

正確な安定した精度を維持するためには、少なくとも3〜6ヶ月に一度のキャリブレーションと、1年〜2年おきくらいのセンサー交換が望ましい。また、使用しないときは、なるべく密室で空気が清浄された環境下での保管が機器を長持ちさせる。

したがって、日常臨床で、数値が不安定になってきたな?とか、官能検査結果と不一致が起こるようになってくると、キャリブレーションを行った方がいいし、レスポンスが悪くなってきたと感じるときは使用期間によってはセンサーの交換を考えた方がよい。
ほんだ歯科では、同じ時期にキャリブレーションを行った複数台のハリメーターを使用して定期的なキャリブレーションを行い精度管理を行ってきている。
RE:アメリカ口臭治療・口臭市場最前線レポート・インタースキャン社訪問(2) 名前:HONDA 12/12(金)04:52
見学した感想としては、工場内は厳密な環境が維持されており、一台を製作する工程は複雑で、一台ごとに手作りで各ステップごとに厳重な精度管理が行われていたのは感心した。
オートメーションで機械的に作られていると言う感じではなく家内工業的に一台製作するにも、各ステップで複数の人が相当な時間を作業に費やしているのには驚いた。
また、工場内には専門的な知識をもつサイエンティストが常駐し各種の実験や厳重な精度管理を行っていることが、ハリメーターが世界的に信頼を得て使用されていることにつながっていると思えた。
また、長年の研究成果の実績や使用経験の多さと臨床データーの多さが信頼性につながっていると思えた。



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