sfの猫日記
私の部屋にいるラヤが何やら鳴いているのでかまってやっていたら、ひょいっ
と爪で引っ掛かれました。右手の人差し指の先端近くです。いつもラヤと遊ん
でいて引っ掛かれたりすることは日常茶飯事、手は常にぼろぼろになっている
のですが、今回の傷はいささか深いようです。恐らくつかんで引っ掻くのでは
なく、勢いをつけて遠くのものを引っ掛けてとるように指を引っ掛けたせいで
しょう。とっさに止血したので比較的程度は良いものの、斜めに三ミリほどの
傷というのは結構辛い。幸い斜めだったから深い層までは達していないようで
すけど。
これでなにが困るといって、キーボードを叩くときです。人差指はかなり多
用されるので、打ちにくいったらありゃしない。マウスも一番多用する左クリッ
クができないし。まあ、なんとか中指で代用するようにしたのでなんとかなり
ますけど。
あとは、洗い物も料理もできないですね。洗剤はしみるし、強く持ったり、
こすったりは無謀だし……。
とりあえず、遊ぶときは気をつけようと再度認識した一日でした。
うちの猫たち、ずるずると風邪がうつっているようです。ネネは既に完治し
たのですが、いつのまにか他の猫にうつってしまったようで。一応隔離はして
いたんですけどね……。
いま風邪を引いているのは、子猫二匹とオス猫のリキ。他の猫もたまにくしゃ
みをしてたりするので風邪を引いているかもしれない。症状がひどいのはメス
の子猫で、ネネ同様に片目が真っ赤になってしまいまぶたを閉じてます。どう
もネネの場合も爪で引っ掛かれたりしたせいではなくて風邪のせいだったみた
いですね。リキもそれ程ひどくはないものの片目を半開きにしているのでおん
なじ症状が出ているんだと思います。良く分からないんですけど、目にくる風
邪ってのはあるんでしょうかね? 変な病気でなければいいんだけど……。
なにやら檻、もとい網ががたがたと音をたてているなぁと思って網をみると、
三匹の子猫のうち風邪がひどくない一匹、オス猫のター坊が網をよじ登ってお
りました。網は適度に間隔を置いて横棒があるので、はしごのようになってい
て登りやすいんですな。
とりあえず登ってみようとするというのは、子猫の性癖らしい。行ける限り
のところにいってみたいで、タンスの裏、壁、障子、服、人間などなど、登れ
るものは何でも登ってみていますね。
茶毛のメス猫姉妹レミとロミなんかは、台所の入り口の戸 (横開きの障子の
かわりにガラスが入った戸) を登って入れてくれ、餌をくれと意思表示します
けど、これも子猫のころに覚えたくせなんですよね。
汗を流すためにガス湯沸かし器の口火をつけに台所に入ると、白いメス猫の
ネネが遊んでました。多分そこらへんに転がしておいた丸めた広告あたりで遊
んでいるのだろうと思っていたのですが、ちょっと様子が違う。
……近付いて良く見てみると、実は生きたおもちゃで遊ぶという猫にはあり
がちな行為をしていたのでありました。外に出していた頃にはネズミとかトカ
ゲとかバッタとかをいたぶっている光景を良く見かけましたけど、家の中では
良く遊ばれるのはあれです、……ゴキブリなんです。ちなみにタイトルはゴキ
ブリが黒い稲妻と異名を取ることからの連想ですね。
いじめられたせいか弱々しくもがいているだけで、逃げ出せる様子もなかっ
たのでとりあえず放っておきました。もっとも、ゴキブリって好感言われるほ
ど速くないと思うんですけどね。私でも数回に一回は手で捕まえられるし。
で、まあいいかとほうっておいて風呂にいって……上がってから遅い夕飯を
とりにいくと、ゴキブリの死骸らしきのは見当たりませんでした。踏むと嫌だ
から気をつけて探したんですけどね。おそらくは最終的に食べちゃったのか、
単に見えないところに転がっているかでしょう。昆虫はネコにとって重要な食
事です。猫は肉食動物といわれますが、野良の状態でもっとも良く食べている
のは恐らく昆虫でしょうからね。
1時。ついうっかりと食事も取らないまま9時に寝てしまっていたので、遅
い夕飯もしくは夜食――もしかしたら極めて速い朝飯を取る。そう、今は午前
1時。
とりあえず台所でとどいたばかりの生卵と串焼きのイカを食べていると、勝
手口のほうから爪でサッシを引っ掻く音がする。不審に思って開けてみると、
最長老のメス猫タマがいた。タマは腸の調子が思わしくなく、いつもグジュグ
ジュト腹から音がするくらいなので、どうせなら思い残すことなく外で遊ばせ
てやり、ついで運動させて体調が良くなればいいなぁとの思惑もあって、比較
的安全だと思われる夜間に外に出しているのである。
入れてやるとさっそくテーブルのほうにやって来て、ちょこんと私の腿の上
に座る。珍しく乗って来たなと思っていると、単に私の食べていたイカの匂い
に誘われただけだったらしい。他の食事であればともかく、イカはやれない。
聞くところによれば、消化できないとか猫にとっては危険なものふくまれてい
るとかで(正確なところは忘れた)、猫にイカやタコをあげてはならないそうな
のです。イカは野良猫にもあげないようにしましょう。
なにやらスチールラックの上を小さなクモが何匹も駆け回っているなぁと不
思議に思っていたら、見上げると足を広げると私の手くらいある大きなクモが
一匹。その横の壁には白い丸い塊がくっつけられていて、数十の子グモがうろ
うろしていました。そうどうやら家の中で卵を産んでしまったようです。
クモはゴキブリなどの虫を食べてくれるので私は部屋にいるクモは放置して
いたのですが、そのためにこんなことになったのでしょう。少々愉快です。ま
あ一部は猫の餌になるでしょうけど。実際、追い回していましたしね。
……などと書いていたら、さっそく……。夕飯を食べて自室に戻ると、ラヤ
がなにかをもてあそんでました。遊び道具として置いてあるマタタビの枝だろ
うと思っていたら……クモでした。でかい、母蜘蛛。子供ができてそろそろ力
尽きたってのもあったのかもしれないけど、大きなやつだと昆虫でもかわいそ
うに感じてしまうんですよね、私は。むかしから虫も殺せぬ……というタイプ
なんだよなぁ、私って。
うちの前庭には池が作ってあります。餌も何もやらずに放ってありましたけ
ど、池に生えた藻などを食べる金魚やフナが住んでいました。私が奈良県に引っ
越して来たころに金魚すくいや川遊びで取って来たものですから、小学校二、
三年のころから16年近くも生きて来た連中でした。大雨で池があふれて庭に流
されてもとに戻してやったり、子供ができてもうっかり分けてやらなくて親が
食べてしまったりした思い出があります。
それが今日、死んだ……ようです。金魚の赤いうろこと大きなフナの頭が、
池の近くに転がっていました。
殺害者はうちの現在の最長老ネコであるメス猫のタマだと思われます。こや
つは昔から狩りが得意で、まだ完全に放し飼いしていたころには良くネズミや
トカゲ、スズメなどを捕まえて持って来ていました。当然池の金魚も狙われて、
若い金魚などが死んだのですが、老練な金魚やフナは猫の魔手を逃れて生きつ
づけていたのでした。
今回金魚たちが殺されてしまったのには、幾つかの理由が推測されます。ま
ず私のほうの過失としては池の水の量が減っていたことがあげられます。もう
少し水があればこんなことにはならなかったんだと思います。どうせ水漏れす
るからと水を足す作業をさぼっていたのが敗因でした。あとは、老齢化かも知
れません。十何年も生きたらさすがに動きも鈍くなったりするんでしょう。昔
は多少水が減っていようと問題無かったわけですし。
まだフナが数匹残っているかもしれないという希望はありますが、とりあえ
ず長く生きつづけた家族、放置していても家族であった金魚とフナに黙祷。タ
マの倍近くうちに居たんだよな……。
最近下駄箱が最近ネコによって開けられてしまって難儀だなぁと思っていま
した。だいたい帰宅するとかならずといっていいほど開いていて、靴が掘り出
されて散乱しています。スライド式の扉になっているので、爪で引っ掛けてや
れば猫でも簡単に開けられるんですよね。
何度わざわざこんなことをしているんだろうと思っていたら、ちゃんとした
理由がありました。下駄箱のなかでオス猫のネロが寝ているんです。ネロはど
うにも気が弱いほうで、メス猫のレミなどに追い立てられてしまっていたんで
すが、ちゃんと安住の地を開拓していたんですね。温かいし、隠れられるし、
靴のサイズ似合わせた段の狭くて包まれるような感覚が、小柄なネロにはちょ
うどすごしやすい環境になっているようです。
うっかり中にネロがいるときに下駄箱を閉めてしまっていないでよかった。
中からは爪が引っ掛かる場所が無いので、開けにくいはずなんで。
今日は奈良県では一日中雨だったようだ。大学のある神戸のほうでは地面が
乾いていたのだが。ここ数日雨続きで寒く、ラヤが人恋しがって私の横の座布
団の隅に座ったり、あぐらをかいた上に登って来たりするのは単に寒いだけな
のかと思ったりもしましたが、くしゃみをしたりする様子から他の猫同様の風
邪らしいと見当がつきました。
あぐらの上でべったりと居座っていると、さすがに 7kg以上というのは重い
のでしばらくしたら降ろしました。こうして抱いてみると分かりますが、どう
も体温が高くなっているようですね。おそらく数度違うだけのはずですが、温
かくてほんとに暖房みたい。良く見ると食欲もいまひとつで、普段は全部たら
げているのに今日はかなり残しています。
他の猫共々、早く治ってくれるといいなと願っております。
夕飯を食べにおりると、椅子にネコがいた。普段であれば白いメス猫のネネ
が居るのだが、今日はオス猫のムクである。ムクは子猫の時分に毛がふかふか
していたからムクという名になったのであるが、おとなになるムクムクとした
雰囲気はまったく無くなってしまっている。これも名前と実態が乖離してしまっ
た命名の例である。
ムクはあたりかまわず縄張りを示す小便をかける癖があるために、普段は紐
でつながれている。服や食器、テレビや冷蔵庫に小便がかけられる毎日という
のはあまり愉快とは言えないのでしかたがないことである。しかも自分が弱い
くせに弱いものいじめをするために、他の猫とは一緒にできない。もっとも、
今までの観察結果からすると、弱い猫ほど弱いものいじめをする傾向があるの
だが。
で、どうやらムクは今日は気分転換のためにダイニングキッチンのほうにつ
ながれていたらしい。とりあえず今日は私はカツオのたたき(大皿に山盛り)を
食べるので、猫は離しておきたかったため、二つある椅子の片方にムクを移動
して、もうひとつの私が常用している椅子(で私が車でムクがいた椅子)に座ろ
うとした。するとムクは紐を自分で椅子の足に絡めてしまっていて、事実上自
分で自分を縛る格好になっている。またやっているなと思いつつ紐をほどいて
結びなおして、ムクをもうひとつの椅子に移動してやったが、抵抗する。なん
とか移動させたと思ってもまた隙を見てこちらにやってくるのである。
業を煮やした私は、私の使っている椅子にムクの紐を縛りなおして、もうひ
とつの椅子に座ることにした。そうすると今度はムクは機嫌良く寝ているでは
ないか。二つの椅子はまったくおんなじ物なのに、どうして片一方にこだわる
のだろうかと不思議に思った今日の晩飯であった。まあ、おそらくは匂いであ
るか、単なる習慣というか、慣れであるかだと思うんですけどね。
帰宅すると、網が張ってあるのにどうやったのか、ネロが台所に入っていた
と母が話していた。以前みたいにガラス戸を開けて、小柄さを生かして冷蔵庫
の裏側から入り込んだのかとも思ったが、それは既に対策済みのはずだった。
そのまま夕食をダイニングキッチンで食べていると、後ろで網をガタガタと
やる音がする。ネロが網をよじ登っているのだ。しばしヤモリのように頭を下
に向けて網にしがみついたり、横にむけたりと網の上を無理矢理縦横にうろつ
いてたのですが、こうしていると網の上の部分が重さでたわんで隙間ができる
んですね。どうも前回はその隙間から入り込んだらしい。ちょっと扉の周りを
いじって入れないように細工しておきました。
しかしまあ、元気なことです。おそらく発情期のネネに同じく発情期のネロ
が引かれたんでしょうね。少なくとも飼われて居る猫にとっては相手が血縁で
あることは障害にはならないようです。
ここ数日、ネネが発情している。なにやらいつもより低い声で長々と訴えて
いるし、人間にもそれと分かるほどに強烈な臭いをだしている。子供が死んで
からさほど経っているわけでもないのだが、早いものである。おそらく母乳が
吸われない場合にはすぐに発情するような仕掛けになっているのだろう。
こうして発情すると、去勢されていて関心を示さないムクに迫ったり、体格
の良いメス猫のミイにも迫ったり、果ては人間にさえ迫ったりする。尻尾を横
に曲げてお尻を突き出し、こすりつけるように寄ってくるのである。
ところで、ネネは発情してからというもの、なぜか紙で作ったボールで異常
に熱心に遊んでいる。普段であれば手で転がしたりする程度なのだが、加えて
持ち運ぶわ爪で引っ掛けてガリガリとやるわと、普段はしないような遊びかた
をしている。ネネ以外なら別にそれ程珍しい遊びかたではないんですけどね。
やはり発情期にはストレスがたまるのだろうか。
今日は隣街(大和高田市だと思う)のほうで花火をあげていました。毎年恒例
のやつで、いつもうちのベランダから眺めています。今年も猫と一緒に眺めま
した。蚊がうるさいのが難点でしたけどね。
こうして花火の音がしていると、うちで最大のオス猫であるトミーは恐がっ
て逃げ惑い、テーブルの下などに隠れてしまいます。他の猫だと特にそういう
ことは無いのですが。
トミーが花火を恐がるのにはちゃんとした理由があります。むかし猫を外に
出していたころ、近所のガキ共に追いかけられて車の下に逃げ込んだら、爆竹
を放り込まれたんですよね。無茶してくれます。それ以来、トミーは爆発音が
大の苦手となったんですね。まあ、無理は無いでしょうけど……。
今日はえらく蒸し暑い一日でしたが、クーラーもつけずにうだっとしており
ました。人間が暑いのだから猫なんかもっとつらいわな。
日が落ちてから少しでも涼しいベランダに出してやっていたのですが、部屋
で不調のメインマシンと格闘していたら物の落ちたような大きな音がする。以
前に首にひもをくくった落ちたやつもベランダには居ましたから、何か妙なこ
とをしたのではないかとあわてて出て行くと……簾が倒れていました。あまり
に日当たりの良い環境なので昼間は南向きの窓すべてに簾が立てかけてあるん
ですが、日が落ちて丸めてたててあった簾に猫がよじ登り、倒してしまったよ
うでした。
今日も夜になっても暑いのでベランダに猫を出す。屋根があったまっている
ので屋内だと蒸風呂状態であるが、屋外に出ればずいぶん違うんですよね。う
ちのベランダは五畳敷き以上あるので十匹以上の猫が寝転がってもなお人間が
転がる余地があります。
しばらく放っておいてキーボードを叩いていると、なにやらベランダから大
きな音がした。……昨日とおんなじ展開だな。
取り急ぎ出て行くと、オス猫のリキが尻尾を太くして威嚇している。威嚇し
ている相手はというと、メスの子猫である。いままで仲良くしていたのになぁ
と思いつつ混乱していると、母が二階に上がって来た。
情報を検討すると、どうもオス猫のネロがリキの近くにいったのが原因らし
い。リキはネロを毛嫌いしていて、姿を見ただけで興奮して吠え立てて、近づ
くと噛みつくのである。それなのにネロはそのことを忘れて無造作にリキに近
づくとがあるのである。で、猫というものは(猫に限らないような気もするが)
一度興奮するとあたりかまわず噛みつく癖があるので、仲が良いので近くに居
たメス子猫(名前はまだ無い)が犠牲になってしまったのであろうと推測された。
とんだとばっちりであるが、この一件で仲が壊れただろうなぁと思うと残念
でしかたがない。リキと仲の良い猫は子猫以外にはいなかったのに。
日本橋をうろついたり自宅近くの本屋で色々と見てまわったりして帰宅する
と、もう8時40分。おおむね真っ暗である。近くに街灯はあるのですが、玄関
前にも簾があるので玄関は真っ暗でした。
玄関前に自転車を置くべく、(段差が結構あるため)半ば自転車を持ち上げつ
つ引きずっていると、突然ネコの悲鳴が足元で上がりました。タマが玄関前で
寝転がっている可能性を忘れていたために、どうも少し引いてしまったようで
す。まあ体重もかかっていないし大丈夫だとは思いますが……。
今回の最大の敗因はうっかりネコがいる可能性を忘れていたことにあります
けど、二次的な原因として玄関の明かりがついていなかったことがあげられま
す。タマは完全な黒というわけではないものの黒色の濃いアビシニアン系のネ
コですし、私は基本的に夜目が効かないので、気をつけていても気がついたか
どうかは大いに疑問ですから。まあ、今後はこんなことの無いように気をつけ
ましょう。
しかしタマはこのあたり無頓着というか、逃げないので危険ですね。階段を
降りるときもいつも足の下にきて踏みそうになるし……。母によれば、今日は
昔に何度も噛まれたことがあるのをすっかり忘れてムクのそばに行ってしまい、
また噛まれていたそうです。今日はタマにとって不幸な日であったということ
でしょうか。
オス猫のネロはどうも弱くて、特にメス猫のレミやロミには追っかけられて
いました。しかし最近になって多少は地位が向上しつつあるもようです。
いままでならばネロはただひたすら追いかけられるだけだったのが、たまに
は逆に追いかける側にまわっています。まだロミなどが気を抜いて寝ていると
きなどに奇襲をかけて追っかけて、最終的には逆に追い詰められる程度なので
すが、頻度は少ないものの、ひたすら忍従するだけの日々は終わりをつげたよ
うです。
今後は逆に苛めっ子にならないように気をつけていこうと思っております。
えらく暑いのうと思いつつキーボードを叩いていると。……これしかしてな
いような気がするが……扇風機がいきなり動き出して、快適な風を送って来ま
した。ちょうど二階に上がって来た母が扇風機をわざわざつけてくれたのかと
思ったら、どうも違ったようで、メスの子猫がスイッチを踏んづけたために送
風が開始されたのでありました。
まあ、こういったことはたまにはあることですけど、タイミングが絶妙だっ
たんですよね。しかしまあ、来たときには片手に二匹乗せられるほどに小さかっ
たのに、今では踏んづけてスイッチが入るほどに体重が増えたんだなぁと感慨
にふけっておりました。
高校時代の友人から電話がかかって来て、久しぶりに会って食べたりボーリ
ングに行ったりしようじゃないかということで計画をたてていたんですが、こ
うして長い事電話で話をするときには椅子に座ったりそのへんに座り込んだり
するわけですよね。少なくともじっとしている。こういうときは猫たちにとっ
てある意味でチャンスです。さっそくすりよって来て撫でてもらいたがったり、
膝の上に乗ったり、背中や肩によじ登ったりします。ちゃんと、電話を使って
いるあいだは動かないと知っているんですね、猫たちは。
今日は白いメス猫のネネでした。私は椅子に腰掛けていたのですが、この暑
いのに太股の間に挟まって丸くなっているんです。ときどきゴマをするように
ひたの手や腿を舐めてます。
電話の音がなると駆けてきて甘えるというのは、昔はうちの最大の猫である
茶色の雄ネコのトミーが良くやったのですけど、今ではひもにつながれている
のでやってこれないんですな。
食事を終えて帰宅して自室に戻ると、うちの部屋に紐でつないである雄ネコ
のラヤが、テーブルの上にいた。珍しいなと思って近づくと、出かけるときに
着替えとして用意して結局着ずに放ってあったシャツの上にいることが判明。
猫は何かがしいてあるうえにいることを好む傾向があるので、なるほどと思い
ました。単に新聞紙がしいてあったりするだけでも、その上に来たがるんです
よね、なぜか。
で、良く良く見ますとテーブルの脚にひもが絡まって身動きがとれなくなっ
ている様子。シャツの上にのったはいいけど、そのまま降りられなくなってい
ました。まったく困ったものですが、これもいつものことです。ひもが絡まる
ということはネコには理解できないようで……。
久しぶりにラヤのひもをはずして部屋の中を駆け回れるようにしてやった。
ラヤはいささか狂暴で他の猫を噛んだりする傾向があるので隔離しているのだ
が、今の私の部屋にはきちんと網を張って猫には出られないようにしてあるの
でひもをはずしても大丈夫である。
さっそく開放された喜びからかあちこち駆け回っていますけど、体重が重い
ので、どたどたと走るといった印象は否めないようです。まあ、あまり動きま
わっていなかったせいで走ること自体に不慣れになっちゃったのかも知れない
けど……。
で、網の向こうに猫が見えるのをみて、匂いをかいだり脅えて逃げたりして
ます。噛んだりするのも結局ネコ同士の付き合いが下手ということなんでしょ
うかね。
網の向こうを見ていると、これもひもでつながられたトミーがこちらを向い
て鳴いております。トミーはラヤより大きいオス猫です。紐でつないであるの
は、ラヤとは違いときどき小便を引っ掛けることがあるせいです。トミーは昔、
子猫の時分、ラヤの唯一仲の良い猫だったことがあり、良く舐めてもらったり
いっしょに寝たりしていました。そのせいかいまだにラヤを親だと思っている
のでしょうか、ラヤをみかけると甘えた声で呼びます。しかしラヤはトミーに
近づくとがぶっと噛んじゃうので一緒にはできないんですな、残念ながら。
ネコの悲鳴が上がったのであわてて階下に降りるが、家の外で起こったとい
うことは分かったものの、具体的には良く分からなかった。
しばらくしてから、二度目に声がしたので庭に出ると、オスの野良猫でトラ
と呼んでいるやつがアンズの木の下にいた。そして、さらに木の上に登り出し
ている。これだなと思いつつ近づくと、木の上のほうに黒っぽい姿が見える。
タマが追いかけられたのかなと思いつつトラに声をかけると、トラは聞き分け
よく降りてくれた。でかい顔といかめしい面構えをしているものの、他のオス
猫と縄張りを争っているときでさえ、トラは人間のいうことはちゃんと聞いて
引くのである。賢いやつだというのもあるのだろうが、基本的に強いので余裕
があるというのもあるのだろう。
とらが離れた所に去ってコンクリートの上に体をこすりつけつつ甘えている
のをよそ目に、木の上に猫なで声を掛けて降ろそうと試みるが、少し下の段に
移動したものの細い枝にしがみついたまま地上には降りようとしない。これは
恐がっているのもあるのだろうが、逃げていたのがタマではなくてミイだった
ことも原因である。ミイは警戒心が強く、室内で撫でてやろうとしても逃げ出
すことがあるくらいである。屋外では私を見ただけで逃げ出してしまうことす
らある。
しかたがないので放置しておいたが、その後は問題は起きなかったようであ
る。まあ、良かった。
なにやらラヤが唸っていると思ったら、網越しにネロが無謀にもラヤに対し
て威嚇していた。まあ、ただ威嚇するだけなら子猫でもすることではあるが、
威嚇しつつも寝転んで腹をだして、背中をこすりつけていた。……変なやつで
ある。もしかするとあれで降参しているつもりだったのだろうか?
ネロが苛められやすいのには、降参のしかたが下手くそだというのがあるの
かも知れませんね……。
書き忘れていましたが、先日のラヤとネロのご対面の際に、押さえようとし
て不用意に手を出してしまい、左手の人差指に怪我をしていました。噛まれそ
うになったので手を引いたのですが、牙の先端がかすめたんです。だいたい深
さが一ミリ近く、長さが1センチほどの傷でして、今は三角型の彫刻刀で削り
取ったような状態になっています。最初はたいしたことがなかったのですが、
大学で論文のコピーをそろえていたら、傷口の方向にぴたりと合ってエッジで
削られてしまったのでした。えらく痛かった。
で、今日の話。
いつものように猫をベランダに出して涼ませていたんですが、なにやらガタ
リと妙なおとがしたので見に行きますと、オス猫のトムが手すりに登っていま
した。手すりに乗ること事態は落ちる可能性が増す程度ですけど、トムは狡猾
で勇気がある(無謀ともいう)ためベランダから脱出することが可能なので、ひ
もで繋いであるんですよね。ここで落ちたらひもで宙吊りになっちゃいます。
だから慌てたわけです。
トムは賢いせいか、良く妙なことをしでかして怪我をする猫でして、二回も
交通事故に逢って二回とも生還しています。それぞれ顎の骨折と左後ろ足の骨
折とをしてかえってきたんですが、今では平気です。猫は骨が小さいので骨の
ずれを獣医が補正できない(と言った)ので、少し噛み合わせはずれていますけ
ど。
そんな事故を起こしやすい猫なので、ちょっと不安だったわけです。実際、
以前他の猫が首をつった事例がありますから。その首を吊った猫というのは、
現在私の部屋にいるラヤでして、ベランダからひもでぶら下がってゆらゆら揺
れていたにもかかわらず、幸いにも怪我ひとつ・後遺症一つ無かったのでした。
今日は本屋で偶然にも高校時代の親友とであった。出張が終わって本屋に来
てみたら、私がいたということである。せっかくだからということで夕食でも
食べようということになりました。ここでも面白いことがあったのですが本題
から外れるので、狭間06のエピソードにでもしてみたいと思います。
で、私が自転車を置くために帰宅して、彼もうちの玄関まで来たのですけど、
そのときの子猫の反応が楽しかった。我々は玄関の外、子猫たちは網戸と鉄網
の向こうの玄関の中にいたのですが、やはり知らない人間を見ると警戒してい
ますね。もっと幼かったときにはなにも考えていなかったんですが。
こういうときに図々しいのはたいていメス猫でして、今回もこちらがちょっ
と身動きすると逃げ出すター坊やマー坊とは違い、名無しのメス子猫はぎりぎ
り体が隠れる程度まで近づいて、首を伸ばして様子をうかがっています。その
しぐさが可愛くて、思わず苦笑してしまいました。
今まで野良猫と書いてきた白いメス猫のマリーですが、もはやうちの飼い猫
だといっても間違いないかも知れませんね。大怪我をしていたので1ヶ月ばか
り部屋で隔離していたんですが、いちおう完治してからも他のメス猫といっしょ
の部屋に入れたままですから。これは大怪我の原因であるオス猫のトラとでく
わしてまた喧嘩をするとまずいという配慮なんだと思いますが……。
うちの場合すべての猫がもともと捨てられていた者なので、野良猫と飼いネ
コの区別なんて無いのかもしれないと思う今日この頃です。
威嚇しあっているような声のあと、大きな悲鳴が上がったので見に行くと、
オス猫のトムとトミーの兄弟がにらみ合っていた。喧嘩したらしい。トミーの
口元にトムの毛がついていました。またやったなと思いつつトムのほうをみま
すと、毛の量から想定したよりも怪我はひどかったようです。五ミリ程度は皮
膚がこそぎ取られていました。
基本的にはトムもトミーもおとなしい性格なので普段は喧嘩はしないのです
けど、何か興奮させるようなことがあったりすると喧嘩することがあります。
良くあるのは外からよそのネコの喧嘩の声が聞こえるというものですけど、今
回はそうではないので良く分かりません。もしかすると子猫が尻尾で遊びすぎ
て、いらだったのかも知れません。
冷やした烏龍茶をポットに汲んで二階に登ってきたときのこと。ふとベラン
ダのほうを眺めてみると、良く分からない塊が目についたので立ち止まって観
察してるみと、どうもリキの腹にター坊が顔を埋めているらしい。どちらも白
と黒の毛のネコなので、一体化してしまって最初は判別できなかったんですね。
たぶん、乳を吸おうとしているんだろうと推測されました。
……今まで読んできた人には、なんか変に見えますよね。そう、リキはオス
猫なんです。乳が出るわけがない。それなのにター坊は乳を吸おうとすがりつ
き、乳房に吸い付くのです。
実はこういった代理母的現象は、捨てられた子猫を飼っていることの多いう
ちでは良くあることなんですけどね。
階段を降りようとしていると、ネロが階段の上でマタタビの枝とじゃれてい
た。すでにほとんど効果は無くなっているマタタビの枝だが、紙を丸めたボー
ルよりも遊びがいがあるらしく、大人のネコが良く遊ぶのに良く使っている。
今回は人の足元でごろごろと転がっているので踏みそうになるうえに、階段
の上で遊んでいるので落ちるんでないかと心配になりましたけど、幸いネロ自
身は落ちませんでした。かわりに、遊んでいるうちに取り落とした枝が数段ば
かり転げ落ちて、それを喜んで追いかけるという光景が何度かみられました。
獲物が逃げているようなもので楽しかったのではないかと思います。
不調の電話回線の修理にNTTの人が来たのですが、やはり知らない人間は嫌い
らしくてみんな逃げ惑っていました。
たとえばメス猫のネネはテレビの後ろに隠れたまま出てきませんでしたし、
オス猫のリキはひもで縛ってあったのに逃げ出して、タンスの影にもぐりこん
でしまいました。
メス猫のリリーなどは、風通しをよくするために取り外したすりガラスを入
れた障子戸を立てかけた陰で、じっと固まっていました。
こういった臆病な連中は、工事のひとがかえってから一時間近くもじっと隠
れたまんま脅えて動いてませんでした。これが医者の往診だと、声がした時点
でもっと凄まじい大騒ぎになります。
帰宅してみると台所が模様替えされていてびっくりしました。遅かったので
そのまま台所に入って夕食。残っていたニンニクがごろごろと入った焼き飯に、
これも残っていたウナギの蒲焼きを載せて丼で食べました。
ウナギをレンジにかけたときに良い匂いがしたのでしょう、猫たちが声高に
わめきつつ近づいてきて、ねだっています。図々しいやつ……たとえばタマな
どはテーブルに乗ろうとしますし、ネネは膝に乗ろうと試みています。なぜか
入ってきてしまっていた子猫のマー坊もうろつきつつ人に爪を立ててよじ登ろ
うとしたりする。難儀なのでタマとマー坊は台所からだし、ネネは母に甘えさ
せることにして平安な食事時間を確保できました。
なにやら庭のほうから喧嘩を吹っ掛けているような声がするので見に行きま
すと、どうやらまたトラがミイを追っかけているらしい。このあいだ同様にア
ンズの木の上にトラがいました。この時点ではミイの姿は見当たりませんでし
た。
スリッパに足を突っ込んで(踵が丸々でているから履いている気がしない)、
木の下にむかうと、トラはなにやら細い枝にしがみついて匂いをかいでいます。
わたしの親指程度の太さなので体格の良いトラが乗るとものすごくたわんでい
ます。よく折れないものだと感心しました。それでもいつ折れるのかが心配に
なるような状況だったので、手で枝を支えながらトラを樹から降ろそうと試み
ました。
興奮しているので無理をして噛まれないように気をつけながらなだめていま
すと、かいでいるあたりが濡れているのに気がつきました。どうもミイは恐怖
のあまり失禁したようですね。そうこうしていると木の上でミイが縮こまって
いるのも確認できました。なかなか見つけられなかったところからみて、黒系
のトラ縞ってのは結構保護色として有能なようですね。
なんとかトラは降ろしたので安心して二階に戻ると、興奮したトミーのやつ
がリリーの足に噛付いたのでしかってやりました。
あとで食事中にトラがたずねてきたのをみていて思ったんですが、トラは人
間向けとメス猫向けの二つの声の使い分けがうまいんですね。人間向けには非
常に可愛らしい声を使う。顔はヤクザもかくやというほどにいかつく、そう小
さくは無い体格なのに妙に大きく見えるほどのでか頭なのだが。人懐っこいし
警戒心は十分あるし、しかられたら喧嘩でさえさっと止めたりして賢いし、長
生きしている野良猫にはそれだけの理由があるようですね。
連絡先 / sfの猫日記に戻る / sfこと古谷俊一のホームページ