sfの猫日記
夜の十二時頃。子猫達が元気に追いかけあって廊下やベランダでどたばたと
走りまわり、壁やなんかにぶつかる音がしていました。
いつもの事なので放っていますと、ひときわ大きな衝突音がしました。そし
て、ガラスの割れるような音。なにか落として割れるようなものを置いてあっ
たかいなぁと確認に行きますと……ガラス戸が倒れていました。
障子のかわりにガラスがはめ込まれた戸ってありますよね。うちでは夏場は
風通しをよくするために、こういった部屋の仕切りになっている戸をはずして
いるんです。今回倒れたのは、その、はずして廊下で立てかけてあった戸でし
た。
最初に見たときは全面的に割れているのかと思いましたけど、割れた大きな
ガラスが下まで滑り落ちていたせいでそう感じたようでした。ガラスの一つは
下の木に一センチ近くつきささっており、抜くのにはきちんと力を入れてやら
ないと駄目なほどしっかりと刺さっていて、猫に刺さっていたら致命傷だった
ろうとぞっとしました。
とりあえず水で濡らしたティッシュでガラスの破片を集めて、分厚い紙袋に
回収しました。猫が触ると大変危険なのでトイレに隠しておきます。そのあと
怪我をしている猫はいないかと、母も起こして調べてみましたけど、結局ネコ
は大丈夫だったようです。
ちなみに、ガラスが割れてから三十分近くも、うちの部屋のラヤは恐がって
窓にむかって顔を向けたまま体を緊張させてじっとしていました。ガラスが割
れたのはラヤから物理的には一メートルばかりの場所だったので、恐かっただ
ろうということは分かりますが……それにしてもひどい脅えかただったような
気がします。壁一つ間にはさんでいるんだし。
母が家中を掃除するのに夢中になっていたために、人間の食事を準備するの
を忘れていました。猫にはちゃんとあげていたけど。そこで久しぶりに外食す
ることになりました。
帰宅すると、外に出していたタマとミイとが出迎えてくれました。タマは見
張りをするように門柱の上で座っていましたし、ミイは自転車の音を聞きつけ
てどこからともなくやってきました。
母と二人でなんとなく夜空の下で二匹を撫でていました。いつもは私の姿を
見ると逃げ出す(理由は不明。多分立って歩いていると威嚇的なんだろうけど)
ミイが私に擦り寄って、撫でてやると甘えた声を出しますし、いつものように
タマも人の手を舐めながら甘えてきます。
ミイは他の猫と相性の悪いほうですが、先輩猫でいつも舐めてくれるタマの
ことは嫌いじゃないようで、人間がかまわないでも二匹で舐めあったり、タマ
にたいして甘えてみせたりしていました。そうやって甘えていると、昔はタマ
のほうが体格がよかったのに、今ではずいぶんとタマが細く小さくなっている
ことを再確認させられました。
夕飯の焼きそばを食べていると、タマがテーブルに乗ってきた。食事中には
邪魔になるので何度も手の甲で押さえて降ろした。手のひらだと、食事なんで
すから手を再度洗わないとだめなので厄介なんですよね。
しかし、タマはめげずにくり返し、色々な方向から攻めたててきました。焼
きそばのなにが気に入ったんでしょうかね? ソースの濃い味がするから、猫
にはとうていあげられない代物なんですが……。
最終的に、今回はたいらげるまで防衛に成功しましたが……。食事後、皿を
流しで洗っていると、タマがフライパンの水を飲んでいました。焼きそばを作っ
た後に、水を張って麺などがこびりつかないようにしてあったんですが、その
張ってある水を飲んでいたんですな。猫ってのは新鮮な汲んでおいた水じゃな
くて、流しにこぼれている水とか、縁台に溜まった雨水だとかを好んで飲むと
いう良く分からない習性があるようなんですが、その一環でしょうかね?
とりあえずタマは普通の水飲み場のほうに連れていきました。しかし、数時
間後に台所に入るとまたフライパンから水を飲んでいましたので、あまり意味
は無かったのかも知れませんね。
夜になってからのこと。最近メス猫のマリーが二階に登ってくることがある
ようになったのですが、彼女が少し見えただけで、リキがぎゃーすか鳴きはじ
めました。さすが弱虫、なじみの無い猫は恐いようです。
あんまりしつこく鳴いていたので、なだめるためにも遊んでやりました。立っ
て歩くと逃げ惑うくせに、座ったり寝転がったりしていると甘えまくるんです
よね、リキは。体をこすりつけて、必死に甘えてきました。
しばらく寝転がって腹の上であそばせてみたりしていたんですが、ふと頭の
近辺にくると、髪の毛をガブリと噛みました。ジャリっと音がするほど豪快に。
多分、他の猫にするように毛を噛んであげているというつもりなんだとは思い
ますが、これは結構痛い。猫はカンカン毛を噛んで毛繕いしても平気なんです
けどねぇ。
……もしかすると、毛を噛んでいるつもりでは無くて、紐とか紙のボールと
同様の、新手の遊び道具だと勘違いしたのかもしれないけど……。
夕飯を食べに階下に降りる。階段の最上部の手すり(のようなもの)に居たミ
イの顔をなんとなく撫でようとしたとき、かすかに耳に触れた手に違和感を感
じた。ざらつくような感触。
よく見ると、ミイの両耳は日の丸状に真っ赤に染まっていた。黒っぽいグレー
の毛のなかの、真っ赤な傷痕。傷の回りには黒くかさぶたらしいものもついて
いた。
昨日も野良のオス猫に追いかけられて木に登り、小便を垂れるほど脅えてい
たこともあって、メス猫なのに喧嘩をしたのだろうかと思ってよく見てみた。
牙が貫通した様子どころか、耳の内側には怪我がない。
これまでの経験からすると、他の猫(とついでに私)が大嫌いなミイは、ずっ
と外にいたために、蚊に食われたんだろうと思われます。以前も蚊に刺された
あとをぼりぼりと掻いて、血を出していたことがありましたからね。毛が薄く、
露出している耳は蚊にとっては絶好の給餌場所のようです。うちの庭は蚊の巣
窟になっていますから、庭でずっと潜んでいるミイならこんな状態になっても
不思議はありません。
しかし、こんなになってもまだ、家の中にとどまっていたがらないというの
は、ミイにも困ったものです。
猫もだんだん年を取ると遊んでくれなくなることが多いようです。特にオス
猫は。とはいえ、気が向いたら子猫以上に熱心に甘えたりすることもあります
よね。
のんびりと寝転がって本など読んでいたときのことです。最近ふとんを我が
物顔に使用しているラヤが横で丸くなって寝ていました。気が向いたので撫で
ていると、いつもよりも甘えた反応を返します。舌を少し出したまま目を細め
てみたり、撫でている手を舐めてみたり、顔を擦り付けてひっくり返ったり。
そうこうしているうちに、胸もとによってきて目を半開きにしたまま口を突
き出してきました。どうも乳首を探しているようです。童心に帰って母の乳を
吸いたくなったんでしょう。年を取ってからも、数ヶ月に一回くらいは、こう
いった反応を示しているようです。
残念ながら突起物はシャツには無かったので、しばらくするとあきらめまし
た。手は爪をたててもみもみとタオルケットを揉んでいましたが。直接シャツ
などにこれをされると、体格が体格だけに私の皮膚が破れてしまうので、タオ
ルを間に挟んで対処しているんですね。
そのままなでたりしていると、最終的には私のほうも心地好くなってきて寝
てしまいました。
臆病なオス猫リキと、人にしか懐かない傾向のあるメス猫マリーのにらみ合
いは、ついに最終局面――のようなものに達しました。
リキが唸ってやかましいので見に行くと、近くの少し高めのところにマリー
が座っていました。威嚇するのをやめないのでしばらく抱えておとなしくさせ
ようかと思いましたが、暴れるので失敗しました。マリーのほうも低い声で威
嚇していますが、リキのほうが声が高くてやかましい。
しかたがないなぁと思いつつ身をおこそうとすると。突然リキが駆けあがっ
てマリーを襲いました。そのまま二匹でもつれ合うように畳に降り、取っ組み
あいはじめます。互いに相手を噛もうとぐるぐるとまわる、あれです。
生身の人間が手を出すと大怪我するのは自分の体で熟知しているので、なに
か布は無いかと思いましたが見当たらない。しかたがないのでリキを縛ってい
る紐を引っ張りますが、どちらも興奮してかみつきあっているのでなかなか離
れません。すばやくはたいて二匹を引き離すと、マリーが逃走してとりあえず
喧嘩は終わりました。
近くに居た子猫達も逃げ去ったのを確認しつつ、マリーの怪我を確認しに廊
下をあるくと、マリーがうずくまってこっちを見ていました。怪我はたいした
ことはなさそうですが、近くにいる子猫にも威嚇しています。様子を見ようと
手を出すと、私に対しても威嚇しました。単にいまは興奮しているからという
事なのか、今後もずっと相性が悪くなるのかが悩み所です。一回の喧嘩で同じ
部屋にいることができなくなって部屋を分離しないといけなくなったことは何
度もありますが、これ以上分割するのはほとんど無理ですからね。仲良くなっ
て欲しいものです。
いまだに名前が決まらないメスの子猫が、食器棚の張り出しで体を舐めてい
たので少し撫でてやりました。手にものを持っていたので手の甲で軽くなでる
程度ですが。
すると、手で軽く押さえるようにして甘えてきました。よく見ると手を左右
交互に押し付けて揉んでいるし、口を突き出すようにしているので、乳が欲し
いという気分なんでしょうね。母親のかわりに私の手の甲を揉んでいるという
わけでしょう。
布の端やセーターの毛玉に吸い付いて揉みたてるという光景には慣れている
ものの、単なる手の甲を揉みたてるというのははじめて見ました。小柄だから
まだいいとはいえ、生の手に軽く爪を立てられるのは多少は痛かったけど、そ
のまま甘えさせていました。
最近は猫が遠慮なくあがるようになって台所のテーブルが汚れてきたので、
掃除することになりました。テーブル上の調味料などをすべて片付けておくと、
広くなったせいか快適そうに猫が寝転がってしまいました。うちの最年長のメ
ス猫、タマです。
とりあえずしたら下ろしてから、水拭きをはじめます。単に拭くだけではと
れないほど汚れがこびりついているので、さらに台所用洗剤を投入しました。
食事ごとに水吹きはしていますし、ほんとは染み付いて少し黒くなっているだ
けなので、別にきれいにしなくても健康上の問題は無いと思いますけど、気に
なってしまうと掃除したくなるもののようです。ちなみに掃除しているの母だ
けです。私がまだ梨を食べているのに唐突に掃除しはじめたんですね。
原液を使うので猫が体につけると舐めるために危険なので、猫が寄らないよ
うにしていたんですが、タマがしつこく登りたがります。しかたがないので台
所から出して扉を閉めてしまいました。
安心して掃除を続けていると、扉が開きました。横開きの木の扉ですから結
構重いんですけど、たとえ隙間が開いていなくても、タマは練達の腕前で爪を
引っ掛けて開けてしまうのです。
一度出しなおしてもまた入ってくるので、次は勝手口から出しました。今度
は入れてくれと鳴きわめき、アルミサッシに爪を立てる音がします。しかたが
ないので一度台所に入れて、居間のほうに再度出しました。今度は入ってこれ
ないようにつっかえ棒をしたので、ようやく安心して最後まで作業ができまし
た。
いささか寒めの深夜のこと。例によってディスプレイに向かって作業してい
ると、なにやら妙に同室のラヤが甘えてくる。そこらへんで転がってみたり、
擦り寄ってみたり、体をくっつけてきたり。そのうちに人のからだの上に乗り
たがり、立ち上がって手をかけてきたりした。
寒いのかいなぁと思いつつ抱き上げてあぐらをかいた上に載せてみたものの、
さすがにラヤは大きすぎてずり落ちてしまう。しかたがないので左手で支えて
やりつつ右手だけでキーボードを叩く。ちょっと面倒。
しばらくするとなんとなしに落ち着いてきたので、左の二の腕だけを使って
支えて両手打ちを再開した。さすがに八キロは重い。無理な姿勢もあって、だ
んだん足も腕もしびれてくるので、耐えられなくなった時点で降ろすと、人の
布団にくるまって寝だした。しかしとき既に遅く、背筋を痛めてしまっていた。
とりあえず作業を終えて床につくと、布団の中にまで入ってくる。どうやら
風邪でも引いているようである。とはいえ、次の日には平気そうにしていたの
でなによりだった。
廊下を挟んだ隣室で、網によって一部屋丸ごと檻状にしたなかに入れられて
いる四匹のうちの、オス猫のトミーがうるさく鳴いていた。なにを要求してい
るのだか分からないが、とりあえず甘えているようではあった。
部屋に入って撫でてやると途端に鳴きやんで、ごろごろとのどを鳴らしなが
ら餌入れに向かった。いつものように、撫でられると食事にむかうという良く
分からない反応をしている。
がつがつ食べているトミーは放っておいて、寄ってきた残りの四匹をなでま
わす。隔離されていると人恋しいのか、昔よりもずって甘えるようになってい
るようである。
しばらくして、子猫達がやってきた。マー坊とター坊のオスの子猫二匹であ
る。やはり関心があるらしく、網越しにこちらをうかがっている。中の四匹の
猫をなでつつ、入り口をぎりぎり子猫が通れる程度に開くと、以前同様にター
坊が入ってきた。どう反応するかが良く分からないこともあって、奥地に行こ
うとするので外に出すと、入り口付近で網に甘えた。これも以前と同様である。
さらに、網を縛ってある紐――私が入るためにほどいてあった――にじゃれだ
したのは、以前よりも進んでいるといえますか。
そうやって遊んでいると、レミが網に近づいてきました。ター坊はひょいっ
とてをだして引っ掻くようなしぐさをします。レミのほうも反応して手を出す。
怪我をするとまずいなと思い、そそくさと部屋を出て紐を縛りなおしました。
こういう状態ならあまり中に関心を示さないようなので。
ちょいと過保護すぎるかな。
ちなみに、マー坊、ター坊、それに今頃になってようやく名前の決まったメ
スのナナの子猫三匹は、その後も私の部屋に閉じ込められているラヤの紐を部
屋の外に流したら、引っ張って遊んでいました。とりあえずラヤは恐がってい
るのか近づかないので一安心。一応監視はしていましたけどね。
私のところでは9月とは思えないほどの寒さですが、みなさんいかがお過ご
しでしょうか。私は長袖の寝間着と布団を出してくる羽目になりました。
雨が降り続いて寒い一日になりました。猫たちも身をよせあって寝ているば
かりで、あまり動く様子もありません。いつもは分散して寝ていたのが、仲の
悪くないもの同士くっつきあって寝ています。仲の良いもの同士なら夏でさえ
くっついたまま寝ていることもありましたけど。
うちの部屋のラヤなどは独り身なせいか、私が寝ていれば布団のなか、寝転
がっていれば腹の上、座っていればあぐらをかいた上という特等席に常時居た
がりました。これは寒いだけでなくて風邪ぎみなのもあったのかもしれません。
少し咳もしていたようですし。……もしかすると私も風邪を引いているからこ
んなに寒く感じるのだろうか……。
最近メモだけとって書いていなかったのでまとめて書きます。
前日避妊手術をしたネネですが、当日は母がずっと抱いていてあまり見なかっ
たので手術後の話を。
昼飯を食べに一階に降りると、じっと座って寝ていました。小型の猫用のプ
ラスチック製小屋というか寝床がありますが、その中でした。その後の観察に
よると、いつもにまして物に囲まれた場所にいたがるようです。発情している
オスのそばに寝床がおいてあったときにも、噛まれるのが分かっていてわざわ
ざ入っていくくらいでしたから。
ネネはもともと人懐っこい猫でしたけど、手術後はさらに甘えたくるように
なりました。腹の部分が固く拘束されているのに、無理矢理人によじ登ってみ
たりするし……。リリーは逆に手術後にはあまり人の上に乗りにこなくなくなっ
たんですけどね。
パソコン通信で知り合った友人と小学校時代からの友人のところに遊びに行
くことになって、私の家で待ち合わせしたんですが……食事中に来たのでとり
あえず台所に上がってもらったのが失敗でした。
網越しの場所にオス猫のネロが紐で縛ってあったんですが、これがえらく臆
病者であることが判明しました。逃げようとあがいて椅子を引き釣りよせるは、
少し離れたところにあったこたつに無理矢理よじ登って、突き出ている足の部
分で紐を引っ掛けたまま宙吊りになるわ……。
さすがに宙吊りになったときには慌てて駆け寄って紐をはずしてやりました
が、いっこうに懲りずにまた首をつろうとする。手術したばかりのネネを襲う
ので、放すわけにも行かないんですよね。
しかたがないので友人には玄関のほうにでてもらいましたが、恐がるのはエ
スカレートするばかり。外にでてもらっても話し声だけで脅える始末です。ど
うしてこんなに脅えるんだろうかと思いつつなだめていると、挙げ句には座り
込んで小便をしはじめる始末です。そのあと人の背中によじ登るんですからた
まりやしません。爪を思い切りたててしがみつくもんですから、シャツに血が
にじむ始末。
予定の時間に遅れていたので、小便の後始末をしてさっさと着替えて出て行
きました。職場の母には電話をかけておきます。あと一時間もしないで一時帰
宅するので、このくらいいで良いだろうと見切りをつけたんですな。その間、
ネロは敷物の下に潜り込んで縮こまっていて、それをネネが不思議そうに眺め
ていましたました。
徹夜で遊んできたくしたあとですが、あちこちの傷痕が膿んでいるのが分か
りました。ラヤに噛まれたり引っ掛かれたりした傷はこんなことにはならなかっ
たのでとすが、ラヤと違って爪に雑菌が多いんでしょうか。おんなじように家
で飼っていても、こういったことにさえ個体差があるんだなぁと驚かされまし
た。
最近、メス猫の一部がベランダに好んで居るようになりました。特にリリー
は夜遅くなっても入ってきませんから、戸締まりするときに無理矢理連れ込ま
ざるをえない始末です。ナナもよくベランダに居るんですが、こちらは夜にな
るとさっさと一階に降りてしまいます。
おそらくこれには猫の間の力関係とか相性が関係しているのでしょうけど。
リリーはあまり他の猫とは仲がよくなくて、仲が良いといえるのは誰とでも
仲の良いタマくらいなのかな。彼女自身ター坊をやたらと追いかけまわして苛
めているのであまり同情心は沸きませんけど。
リリーは人間には甘えるんですが、猫は嫌いなようです。
メス猫の多くは夜になると台所にたむろしています。おそらくはオス猫にわ
ずらわされにくいからなんでしょう。
たとえば17日のこと。遅い夕食を食べ終わるころのこと。勝手口のサッシに
カリカリと爪をたてている音がしました。最年長のメス猫のタマです。こやつ
はなぜか入れて欲しくても鳴かないんですよね。
で、タマを入れてから後片付けをしていると、ナナが椅子で寝ているのを見
つけて撫でました。甘えて中空に前足を突き出し、顔に爪をたててきます。あ
まり甘えに来ないほうですけど、今日はくねんくねんと身もだえしてます。
ついでに私の座っていた椅子を占拠したリリーも撫でてやると甘えて身体を
すりよせてきます。
どうもこの時間帯――――夜の12時頃は、うちの猫たちは甘えたい気分にな
るようです。
夕刻になってベランダに出ると、そろそろ冷え出している外で子猫達が三匹
で固まっていました。寒いんだからくっつきあいたいのは分かりますけど、な
ぜ中に入ろうとしないのかは分かりませんでした。
しばらくして雨が降り出しました。戸締まりをしてまわって、リキが縛られ
ていてベランダへの出入り口がある部屋に来てみると、さすがに子猫は入って
いました。一応ベランダをチェックしてみると……子猫達がベランダに居た頃
には家の中にいたはずなのリリーが、雨でびしょびしょになりつつあるベラン
ダの軒下でじっとしていました。
なにを考えているんだか、とぼやきながら引っ掴んで、部屋に入れます。既
に毛皮は濡れていて、毛が手につきました。リリーが中に入らなかったのは、
リキが入り口近くに居たせいなのか、それとも子猫達がいたせいなのか、どち
らにせよリリーは難儀な子ですね。他の猫と仲が悪いというのは……。
トミーが最近やかましい。人の顔を見るとどころか、足が布団から突き出て
いるのをみてもギャースカいってかまってもらいたがる。放っとくのもなんな
ので、たまにかまいには行くのだが、撫でてやるとすぐに餌を食べに行ってし
まうのが謎である。鳴きもしない兄弟のトムのほうは、さっさと私の足の上に
居座るのだが。
しかし今日はいつもと違って、トミーも足に乗ってきた。正確に言えば、あ
ぐらをかいた上にうずくまろうとしたんですが。私も体格の良いほうとはいえ
(180cm85kg,太股の最大径が60cm)、八キロ級の猫を二匹のせるのは結構大変で
した。そのうえ、メス猫のロミまでがやってきて、あぐらをかいた中央部、つ
まり股のあたりに居を定めたのですから……。それでも、しばらく足の上に載
せたまま、互いにゴマスリあって舐めあっている光景を眺めつつ、なでたくっ
ていましたけど。……やはり、しばらくすると足がしびれて痛くなってきまし
た。
あまり家に居つかないメス猫のミイが、またもやネズミを取ってきた。年を
取ったタマにかわって、現在の我が家で一番狩りのうまいのはこのミイだと思
う。人間嫌いな分野生味が強いのだろうか。
放っておくと頭だけになったり骨が散乱したりとスプラッタな事になって後
始末に困るので、さっさと奪ってしまうようにとの母からの下命が下ったので、
鬱蒼とした緑のせいで暗い庭のなか、「私のものだ」と主張するミイを押しの
けて奪取してきた。今回はあまり執着していなかったようだ。
台風が迫り風の強まる零時過ぎのこと。鳴き声に気がついた母が気がつくと、
メス猫でベランダ好きのリリーが屋根の上に登ってしまっていた。一回の屋根
の上とか物置の上でも無く、ベランダの手すりから何度か飛んだことのあった
(すぐに降ろせた)窓のすぐ上の小さな屋根でもない、正真正銘の二階の屋根の
上なのである。
立てかけてあるすだれをよじ登ったか、ベランダの手すりから飛んだのか、
それとも別の手段を発見したのかは分からないものの、さっそく救出作戦に乗
り出した。
ベランダから屋根までは240cm以上はあり、 私が60センチばかりの台の上に
乗らないと手がととがない。最初にこたつの上に乗ったときには、ぎりぎり届
くといった程度でとても猫をつかみ取るなんてことはできなかった。
最初はどうせ掴めやしないだろうと考えたので箱に入れようとするが、箱を
避けてしたをみて鳴きわめく。煮干しを入れてみたり缶詰で気を引いてみたり
したものの、どうやら箱そのものが好きでないらしい。病院に連れていかれた
ことのことでも思い出すのだろうか。
簾を展開してその上に飛び乗らせようとしたと悪戦苦闘しているうちに、撫
で続けるることに成功した。今までは手が触れると離れてしまったので捕まえ
られなかったのである。手が傷だらけになることを覚悟してひょいとつかむと、
意外なことに暴れようとはしなかった。寒い風にさらされつづけたので気が弱っ
ていたのかも知れない。
なんとか一時間かけて救出には成功したものの、もうこんなことはしたくな
いという心境である。危なっかしい足場で一時間も手をあげつづけるというの
は運動不足な身には応える。
かわいそうだがベランダから地上へ逃走するので部屋に閉じ込められている
トム・トミー・レミ・ロミ同様、今後はベランダには出さないことにしようと
母は言った。……ほんとにそうなるかは分からないが。
cats-ml で紹介された、
http://www.il-net.or.jp/uhp/cat/
Cat & Life 猫と健康管理
を見に行ってみますと、気になることが書いてありました。例の不調な最年
長猫タマの最近の様子が、甲状腺機能亢進症の症状に似ているのですね。
活発で、食欲も異常に旺盛で、それでいてガナガナに痩せている。毛並みは
荒れてきて、ハゲもある。奇妙に熱がっているようで、最近に夜でも板の間や
コンクリートの上に寝そべっている。
医者に連れていったときに血液検査をしたのはこれを疑ったのだろうと思い
ますけど、あのときはなにも問題無いと言われたんですよね……。
もう一度連れていってみるほうがいいのかなぁ。
干したての布団の上で寝ていたはずのラヤが、なにやら遊んでいるのが視界
の隅に入ったので、ちゃんとみてみますと、クモを追いかけていました。クモ
が壁を登れば後ろ足で立ち上がり、地面を走れば身を低くして追いかけてます。
可哀想なので逃がしてやろうかと思ったときには、既に足もとれてほとんど動
かなくなってました。
ここまで来たらしかたがないかと思って放っていると、つんつんと手でつつ
いて部屋の入り口まで押し出しました。すると子猫達がよってきて、網越しに
いじりはじめます。ラヤは根性なしな事に見てるだけ。そのうち爪で引っ掛け
たクモを咥え、子猫たちはどこかに行ってしまいました。多分、そのうち食べ
ちゃうんでしょう。
最近は夜になると、階段の一番上、曲がり角になっている部分がマリーの居
場所になっている。明かりをつけずに階段に行くと、窓から差し込むかすかな
光のなかで白いものがぼんやりと見えて、ホラー風味を漂わせている。
マリーは白い毛の少しペルシャでも入っているかのように少し長毛っぽいメ
ス猫で、毛を撫でると綿のような軽い感触が他の猫と違って面白いやつです。
野良猫がうちにいついたんですが、もともとどの猫よりも人懐っこく、来客が
誰であってもその足元に突進していく傾向がありました。この人懐っこさを武
器にしての生活をしていたんだとは思います。
このマリー、最近は少し大胆にも二階にも進入しています。マリーは人間な
ら何とも無いのに他の猫を相手にすると機嫌が悪く、だれかれとなく舐めてや
るタマにさえ低い声で威嚇します。二階に来たときももちろん、隅っこで威嚇
してくれますから、ふだんはおとなしくしているラヤが反応して尻尾を太くし
て大きな声をあげたり、トムとトミーが興奮して喧嘩したりします。難儀なこ
とです。
ついでに。最近気がついたんですが、マリーは声帯切除かなんかの手術を受
けていたようですね。入れて欲しがるときに鳴かないのはタマもおんなじなん
で気がつかなかったんですけど、噛まれたときにすら悲鳴が出せず、甘えても
なにやら喉に引っ掛かるような音しか出てこないところをみますと、もともと
飼い猫で、うるさかったから手術して、さらに捨てたんでしょうね、飼い主は。
身勝手な飼い主ですな。
つらつらと撫でていて(今頃になって)気がついたんですが、メス猫のナナは
しっぽがかなり長いみたいです。うちの猫たちのしっぽが基本的に短いという
だけなのかもしれませんけど。
しっぽをひょいと曲げてやると、首あたりまで届くんですよね。他の猫だと
そうはいかないんですけど……。
なにやらラヤが甘えるわりには足の上に居着かないなと思ったら、母が夕飯
をあげわすれていたらしい。今日は帰宅が遅かったので知らなかったのである。
ラヤの様子を不審に思って母に尋ねて事態が発覚したのち、ドライフードの
音をさせながら母が入ってくると、喜び勇んで跳ねまわった上、扉に正面衝突
して、出さないために母が慌てて開けかけた扉を閉めたため、爪を挟んでしまっ
た。よほど腹がすいていたらしい。
コマーシャルの猫のようにがつがつと、いかにもうまそうに、熱心に食べて
いる。これだけ熱心に食べていると見ているほうも気持ち良いというものであ
る。
私は扁桃腺が腫れていて(大学院に行ったのだが、講義が二つとも休講であっ
た……)食欲もないのでうらやましく思ってしまった。いつもはがつがつ食べ
てるけどね、私も。
あまりにやかましくて目が覚めた。
一階に降りてみると、ムクがトラに興奮して威嚇しているようである。いつ
もの事なのだが、いつもよりもうるさい。ちなみにムクはうちの猫で、トラと
呼んでいるのはいかつい顔の野良猫です。ムクは庭の見える窓際に紐でつなが
れていまして、トラが来るといつもこうして威嚇しているんですね。トラのほ
うは意に介せずといった感じなんですけど。
トラは去った後、メス猫のチコを追いかけてました。チコは狡猾だからうま
くいなすでしょうけど。姿が見えなくなったからもムクの興奮はおさまらず、
鼻息荒く、腰を高く上げて威嚇の姿勢を示すままでした。網戸をかじったりし
てましたけどステンレス製の網はさすがに破れないようです。おそらくトラが
小便でも近くでかけたりして、匂いが残っているのが興奮させる理由かと思わ
れました。
しばらく撫でていると沈静化しましたので、安心してまた寝ました。
避妊手術をしてあるのでメス猫のネネは迫られるのを嫌っているんですが、
それなのにネロの近くに居たがるので難儀です。首筋を噛まれて悲鳴をあげて
いるくせに、逃げるんじゃなくてネロを追い出してる。ネロは紐でつながれて
いるから去れませんから、また戻る。しばらくは仲良くしていて……また喧嘩。
まあ、最近は発情期も終わりつつあるのか、仲の良いほうが多いようです。
今日などはネネの乳をネロが吸っていたくらいです。ネネとネロは兄弟です
から、妹(と便宜上しておきます)の乳を吸っているわけですな。性交強要もし
ているわけで、妹を妻にした上に母代わりにしているというわけです。
まあ、飼育環境下ではよく起こることなんだと思いますけど……。
最近とみに寒くなり、ついに毛布を出してこないといけない状態になってお
りまして、猫たちも夜は身をよせあって寝ております。
私の部屋のラヤの場合には部屋に一匹しか居ないために、私に頼るか、布団
のなかに潜り込むかということになります。ほんとは布団が汚れるし、毛やな
んかがつきますから、あまり中に入ってもらうのは望ましくないのでしょうけ
ど、とりあえず放置しています。
その最大の原因は、猫が居ると温かいという点にあります。足元であれば、
あんかのような効能がありますし、脇の下あたりであれば湯たんぽのようなも
のでしょうか。
さすがに顔の近くだと口に毛が入るので排除しますけど、それ以外であれば
共存共栄ということで互いに恩恵を被っております。猫は小型動物だからか、
人間よりは体温が高いように感じますから、私のほうが暖房として利用してい
るぶんが多いかも知れませんが。
連絡先 / sfの猫日記に戻る / sfこと古谷俊一のホームページ