sfの猫日記:96年10月
またもやトムとトミーが喧嘩していた。部屋に網をめぐらせて一室を檻と化
して紐で縛らなくなりだしたころには、開放感からか喧嘩も少なかったのだが、
最近は喧嘩が増えているようである。慣れたせいなのかだろうか。
とりあえず止めに部屋に入ると一時的に離れたものの、じきにトムがとんと
んっと駆け登って、高所に居たトミーの顔をつつく。対してトミーもトムの顔
をつつき、猛然と喧嘩を始めるようであった。
噛み合いになると手が出せないが、これならなんとかなる。そう考えてさっ
と手を出して首筋をつかんで引き離す。成功。しばらく撫でまわしてやると落
ち着いたのか、二匹とも体を舐めあってゴマを擦りあっているようである。
しかし……ボクシングのように手を突き出しあって喧嘩をするってのは、あ
まり記憶に無かったので驚きました。普通は互いに噛み合うか、しっぽを追い
かけあってぐるぐるとまわるかでしたからね。
最近は年を取ったせいか、ラヤもおとなしくなったものだなと思っていまし
た。子猫が網越しにちょっかいを出したところでなにもしない(逃げたりする)
し、トミーが鳴いていてもでんと構えたままで動かないし。わたしを本気で噛
まないし。
しかし、これは勘違いだったようですね。例によってマリーが二階にわざわ
ざやってきて、二人の猫にフーだとかヴルヴルだとか低く威嚇していたんです
が、それを聞きつけたラヤがいきなり駆け出しました。そして大きな音と共に
網に衝突。網のなかほどでぶつかるような勢いで飛び掛かろうとしたんですか
ら、どれだけの意気込みだったのか。
そのあとも思い切りしっぽを太くして威嚇していました。網がしっかりして
いたから良かったものの、下手をすればマリーに大けがをさせるところでした
ね。ラヤは臆病ものの弱虫ではありますが、体格がいいから喧嘩自体は弱くは
ないんです。
こういうところを見ると、やはり一生隔離しておかないと駄目だなぁと認識
を新たにさせられました。
オス猫のネロは遊び好きで、紙でボールを作ってやると喜んで、咥えたり、
手で突っついたり、爪で引っ掛けて放りあげたり、咥えたまま爪で突っついた
りしてます。その時、身体も寝かして丸まって、足で蹴っぽりながらぐるぐる
回っていたりもします。
そんな彼の近くでわざわざネネは寝ようとします。多分寒いんでしょう。人
間のいる台所に近い場所に、ネロが縛られているのも理由としてあるかも知れ
ません。
ともあれ、わざわざ近づいていってはちょっかいを出され、引っ掻いたり怒っ
たりしています。しっぽなどに爪をたてて遊びたがるネロもネロですが、嫌な
目になんど会っても近づいていくネネに非があるんじゃないかと思って、最近
は怒っていても喧嘩していても、あまり止めなくなりました。どうせ怪我する
ほどにケンカする前にネネが逃げるし。
ここからは11月19日にメモからまとめて書いた。
リキと母が遊んでいる。母が丸めた広告の紙を投げるのを、空中でジャンプ
して捕まえさせる芸をみせています。
……別に芸をしこむ意図があったわけではなくて、単にボール代わりの紙玉
で遊んでいるうちに、飛び上がってつかむようになったので、面白がって飛び
上がらざるを得なくなるような位置に投げるようになり、今に至ったわけです
が。
ちなみに、ジャンプするのはこいつくらいで、立ち上がってつかむほうが多
数派です。ラヤが典型かな。
リリーに手のひらをえぐるような一撃を喰らった。
たんに撫でようとしただけなのだが、わたしの手を遊び道具の紐かなんかだ
と勘違いしたらしく、爪で引っ掛けて捕まえようとしたようでした。
しかしまあ、メス猫の爪は鋭いわけでして、手のひらがつめでえぐられて、
ごそっと丸く皮がとれてしまったしだいであります。
寒かったのか風邪でも引いたのか、私がキーボードを叩いているあいだじゅ
うラヤが太股にしがみついて離れなかった。その時にはちょっと痛いな……と
思っていただけだったのですが、風呂に入ってみるとまあ、凄い。紫色の引っ
掻き傷の山ができていました。傷がいっぱいありすぎて、まるでおろし金のよ
うなありさまです。さすがに水がしみて、実に痛い。
まあ、次の日にはおおむね直りましたけど……今後は足に爪をたててしがみ
つかせないようにしなければと心に誓ってしまいました。
クシュン、という音が良く聞こえるようになったと思ったら、二階の子猫達
が風邪を引いたようです。ついでにリキにも移った模様。
ター坊が一番ひどく、頻繁にくしゃみをしておりました。
こたつをしたててみますと、みんな即座に入ったまま出てこなかった。さす
がに温かいってのは良いもんなんですな。
ネネがネロをいじめている。姉弟なのにねぇ。
紐でつながれているのをいいことに、ちょっかいを出しては撤退するという
一撃離脱戦法でいじめているのだ。ときどき失敗して格闘戦に持ち込まれて押
さえ込まれているが、自業自得であろう。
ちなみに最近、ネネはだんだん強くなっているみたいです。やはり訓練は重
要かな。
目がさめると、ラヤがすごく鳴いてうろちょろしていた。ついつい昼寝すぎ
から寝てしまって、ラヤに晩飯をあげわすれていたらしい。
まあ、昼飯を吐いたから悪いのであるが……。
ナナ、ター坊、マー坊を見比べていると、ナナだけ顔が小さい。近くに居た
リキの顔もリリーよりが大きいので、やはり押すはメスよりも顔が大きくなる
ようにできているのだなぁと、いまさらながら感心した。
タマはリリーが甘えてきても舐めてやることさえしなくなってしまった。疲
れた顔つきで寝ているだけ。リリーが乳を吸おうとすると、逃げてしまう。
リリーが横にいるとよく分かるのだが、最近ますます痩せている。ボリュー
ムが半分くらいのようである。
ナナをリキが押し倒していた。ナナもそろそろそういう匂いを出すようになっ
たらしい。ター坊やマー坊はまだ反応がないので、メスのほうが成熟がはやい
のかな?
ともあれ、そろそろ避妊しないとまずそうである。
気がつくと、タマがどこからか脱走していた。
色々考えてみたが、どう考えてもベランダから藤棚を使って降りたに違いな
いのだが、あの体でよくそんなことができたものだ。
飛び降りると骨折しかねないほどに体が細くなっているので、今後はベラン
ダには猫が出られないようにすることにした。
猫の毛でうまく動かなくなったマウスを分解掃除した。
分解していると遊んでいるように見えたのか、ラヤがマウスボールにひょい
と手を伸ばし、引っ掴んで遊ぼうとした。こいつを飲み込んだりすると危険な
んで、すぐにやめさせましたけど。
タマが缶詰を食べなくなった。とりあえず牛乳なら飲むようである。
タマが外から帰ってくると、腹が脹れていた。外で何とも分からないドライ
フードを食べてきたらしい。
あとで食べたものを吐き出したので、分けの分からないものは食べないよう
に、外に出さないようにすべきだとということになった。
タマはついに牛乳も飲まなくなった。
しかし、カルカン(猫用缶詰のブランド)は食べるようだ。
タマの体重が1kgも減っていた。泣けてくる。
軽くなったと感じるはずである。他の成年のメス猫の半分くらいになってい
るのだ。
寝ぼけた頭にネコの悲鳴が聞こえて飛び起きると、リキがタマを噛んでいた。
即座に止めさせたものの、だいぶ毛が飛んでいた。
あとで見ると、皮自体がちぎれている部分があったようである。
致命傷にならなければいいが……。
タマを病院で検査をしてもらってきた。脱水症状になっているとのこと。
病院で医者が話すには、タマには筋肉がほとんど残っていないらしい。噛ま
れたて皮膚がちぎれた部分から見える中身が黒いのである。本来ならば筋肉の
ピンクがあるはずなのに。
再び牛乳すら飲まなくなったので、心配した。
飯も食わなかったのだか、手に載せて顔に近づけてやると、少しづつ食べた。
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