書籍紹介:『ベストセラー小説の書き方』
読んで面白い小説の書き方講座というのはさして多くはなかったが、こいつ
は傑作だ。読んでいてわくわくする。
朝日文庫『ベストセラー小説の書き方』ディーン・R・クーンツ
ISBN4-02-261156-1
一部で話題になっていたので買ってみたが、大正解。面白い小説を書きたい
人間にはもちろん、ゲームマスターにも必読である。さらには、ストーリー主
導型のゲームシステムを考えるうえでの貴重な示唆も得られた。
TRPGは娯楽であり、徹頭徹尾娯楽である必要がある一般小説との接点が大い
にある。そしてこの『ベストセラー小説の書き方』は、娯楽小説、ジャンルに
囚われない「面白い小説」の書き方について示した本なのである。ゲームマス
ターの役に立たないはずもなかろう。
たとえば登場人物の造形に関する指摘は、非常に興味深い。人物は外見描写
や行動能力ではなく、その性格的弱点や美質が重要なのであるというのは、非
常に心に響くものがあった。
PBMなどでも外見の表現などにはさほど気を配らなくても、そのキャラクター
なりの心の動き、動機、決心を決める要素を参加者には提出してもらうべきだ
ろう。
TRPGでも同様だ。もしもゲームの駒としての能力以上のものを期待するので
あれば、キャラクターの行動について首尾一貫した動機と判断、禁忌と感情の
動きをルールで表現できるようにするべきだろう。
ちなみに、これについては語り部ならある程度はできると自信を深めた。特
徴項目の用途による再整理という懸案の重要性も再認識したが。プレイヤーが
よりよくキャラクターを理解できるような分類構成を設計することは、作成の
手がかりとして必要になるだろう。
他にも、ストーリーラインの組み立てやジャンル小説におけるノウハウなど
は、ゲームマスターにとって役に立つはずだ。
背景設定の使い方に関する指摘も、単に世界設定を見せつけるための描写で
はなく、ストーリーとキャラクターの個性を引き出すための道具として使うと
いう考え方は、心に止めておいて損はあるまい。
各章について詳細に分析する価値のある本だが、とりあえずはこのあたりで
筆を置くことにする。もう何度か熟読してみたい。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022611561/trpgnet0e-22
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-sf0023&bibid=01347593
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