語り部通信倶楽部のTRPG座談会の94/07/02の#215の書きこみの増補改訂版。
もともと電撃アドベンチャーズのゲームデザイン入門講座を見て書いたものでしたが、語り部の長所を強調する材料としての面を強化してみました。
キャラクターを作成する手段としてポピュラーな手段には、ダイスを振って能力値を決定するものと、ポイントを振り分けて決定するものとがあります。
ここでは、それぞれの長所短所を比較して論じたのちに、語り部のキャラクター作成方法の長短について考えてみます。
最初期から存在する、ダイスを振って能力値などを決定する手法です。
ぼんやり振っているだけでキャラクターができてしまうのは、確かに楽ですよね。何も考えないでも良いんですから。
マジックユーザーよりもHPの低い1レベルファイターを作った記憶は、D&Dプレイヤーにはあるんじゃないかな?
ダイスの目しだいはキャラクターの間の格差が非常に大きなものになりうるというのは、一般にもっとも難儀な点だとされているようで、最近のルールでは大抵これへの対処法は入れているようです。
例えば能力値総計が大きいと、金だとか地位だとかヒーローポイントとか低くなるとかいった具合に。
特筆すべきなのはソードワールドでしょうか。能力値を能力値ボーナスへと変換して利用するために能力値の差が大きくても攻撃能力などに大きな較差が生じにくくなっていますし、クリティカル率の高まるシーフは筋力が高いと有利な選択ではなくなりますし、数値バランスがうまくできています。
経験値やCPを割り振ってキャラクターを作成するタイプのもの。
GURPSが典型でしょうけど、D&DやRQでも選択でこのルールがありますね。
あくまで公平なのは初期条件までです。取得できる能力値や技能のバランス設計がうまく行っていない場合には、「有利ですから攻撃」によって致命的なまでの初期能力の差異が生じてしまいます。
いろいろ工夫して強いキャラクターを作ることの楽しさというものがありますよね。これはダイスを振るだけのキャラメイクには無い楽しさです。
ただまあ、これはパズル的な楽しさであって、ロールプレイの楽しさなどとはまったく独立したものですよね。良いか悪いかはともかくとして。
これが長所だといわれがちですが、CP限界などによって思っていたキャラクターをうまく再現できなかった経験を持つ人は多いと思います。
それに後ろの「類型的になりやすい」で書いていますが、有利さを狙うとパターン化してしまいがちになりますね。
こればっかりはしかたがないわけですが、アーキタイプの導入によって簡単にはじめる事ができるように工夫しているルールもあります。
有利さを求めてキャラクターを作ると、割り振りかたにパターンができてしまうことがありますよね。
あと、イメージ通りに作ろうとすると弱くなってしまうのでイメージを大切にできないってのもあります。こともあります。
これらへの不満が「語り部」を作る一因となったのですが。
長所:思った通りのキャラクターが可能-----------------------
キャラクターイメージを数値に変換する際の制約としては、マスターの指定する能力の上限である「最高技能値」と、サプリメントごとの制約しかありませんから、他のルールとは比べものにならないほどキャラクター作成の自由度が高くなっています。
しかも、単に数値が少ないから自由度が高いというわけでも無く、技能や特徴といったキャラクターの個性を示すデータはいくつでも取れるので、イメージできるならばどんなルールよりも詳細な数値データを構築することが可能になっております。
一応ひな型を利用する事で多少簡単にはなるわけですが、最初からイメージが沸いてこない人だとどうしようも有りませんね。
まあ、そういう人は語り部の目指すところである「イメージを大切にして、キャラクターの数値表現にできるルール」というものに合わないと考えて切り捨てるしかないんでしょうか……。