まあそんなことばかり言ってもしょうがないので、ここは国際経済学者でマサチューセッツ工科大学教授であるポール・グルーマン君の意見を聞いてみよう。
昨年来日銀は通貨量増大に対応する形で、長期国債の買い取りオペレーションを行ってきた。これは私が以前このコーナーで再三指摘していることだ。これは国が市場で国債を購入し代金を支払うことによって、現金を市中に流そうというものだ。もともとこの金は郵便局で集めた金であることも以前この場で書いた。日銀は国債を大量に市場で買うことによって、長期金利の大幅下落を引き起こした張本人であることも以前書いた。この長期金利の急激な下落が97年度の景気の先行きに陰を落とし、今年早々の円安を招いている。今のこの悪循環の根本原因は何かというと「日銀による安易な国債買い付けだ」と言えるのだ。
ここでポール君の意見を聞くとする。彼は日銀の通貨供給の手段として、紙幣の増刷を指摘している。通常紙幣増刷で懸念されるのはインフレであるが、彼は「インフレは、消費者がそれを支出に回し、その支出が生産能力を上回る時に起こる」と言い切り「今の状況ではインフレは起こらない」と言っているのだ。「日銀はバブルの後遺症で未だに昔の体制から脱却出来ていない」と言っている。私としては「もうどうでも良いから何とかして」それしか言えない。
さて今週は為替はともかく株はやや穏やかな動きになった。週末にかけ少し株価は下落したが、次第に明るさも見え隠れするようになってきたように思う。それは先週も書いた通り、輸出産業が復活のノロシを上げ始めたことによる。ソニーやトヨタ、特にトヨタの車がアメリカで売れに売れている。今年に入って「セルシオ」は昨年の2倍の売れ行きを示しているという。このまま行けば、造船がそして鉄鋼が続々とノロシを上げ始める。最近政府の見解として「円安は景気にプラス」と言っているのは根拠が無いわけではない。それは単純に貿易の内容を見れば分かる。日本は輸入が31兆円に対して輸出は42兆円あるのだ。ようするにその差額の11兆円分が円安に有利になる。だから円安など心配御無用と言うことらしい。まあそれは間違ってはいないだろう。しかしだからといってこのままで良いわけはないのだ。株価は今週の終わり値で17867円だ。17500円までもうすぐ。じっくりいこうぜ。***
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