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−−−  44日目(7/28)  −−−
積算距離:5038.5km
最高速度:52.0km/h
走行距離:150.64km/day

 一晩寝てたらカニと仲良くなりました、なんて冗談を言っている場合ではありません。
 ここには虫除けに強い蚊がいるけど、虫除けの効果がそれなりにでもあったのか、大きな跡はなく小さな跡が点々とありました。
 そのおかげと言っちゃなんですが、それで起きられたわけです。
 起きてハタと気付きました。私が寝ていたのは思いっきり道路上なんです。つまり、一番最初の車が来る前に起きないと路肩とは言えかなり危険なわけです。
 でもま、まだ薄暗いし、5時頃に起きれば大丈夫だろうともう一度寝ようとしたその時です。
 車が1台走ってきてしまいました。しかも走りすぎてから驚いたのか、こちらを気にしてずっと止まっています。
 マズいなぁ。幸い雨は止んでいるので、夕べ来る途中に見つけた対岸の小さな広場に移動して、再度寝ようとしました。
 しかし目が冴えてしまって眠れそうもありません。
 しばらくはそのまま公園でボーッとしていたのですが、その時遠くから演歌を大音量でかけて走ってくる計トラが1台。時間を見るとまだ7時。
 何事かと思ったら豆腐売りの車でした。なんて所だ、ここは。
 ということで、明るくなりかけて来た町をまずは崎津天主堂とチャペルの鐘展望公園へ。
 作り掛けのトンネルをわき目に見つつ大江天主堂とロザリオ館へ。
 トンネルが出来上がっていればかなり楽になりそうです。残念でした。また、ロザリオ館は定休日でした。さらに残念。

 残念が立て続けに起きて軽いショックを覚えたもののルートの再確認。ここからは3つのルートが存在します。天草下島の北側海岸沿を走るか、中央突破するか、今来た道を戻るか。
 今来た道は辛いことが分かっているので避けたいところ。となると、遠回りで行くか、山を越えるか。この時思ったのが、南側の海岸も高低差が激しかったのだから北側の海岸も一緒ではないかということ。
 同じ辛いなら距離の短いルートを行くのが得策だろうということで中央突破の道を選びました。そのルートなら温泉にも入れる筈だし。
 ということで、やはり高低差の激しい海岸沿を走り続け、下田温泉へ行く道へ。そう、下田温泉。同じ名前の温泉が伊豆にもあった気がします…。
 ここの共同浴場では200円で入れました。うん、安くていいですね。
 そして何気に荷物の重量計測。なんと12kgに増えてました。資料がだいぶ溜まったし、リュック自体が汗をだいぶ吸ってるから仕方ないんでしょうが、このまま増えていってしまうんでしょうか…。
 風呂を出ていよいよ山越え。が、思ったよりも楽でした。気合入れていた分、楽に感じたんでしょうか。
 そんなこんなで12時に天草上島に入れました。下島と上島の中間にある本渡と言うところで昼食を買ったのですが、レジのネーチャンは偉い高飛車。二度と来たくないぞ。
 上島に入ったら下側を走ることにしました。なぜなら道の駅「不知火」があるから。資料によれば温泉があるとか。
 ということで期待して行ったのですが、500円は取り過ぎでしょう。興醒めして物産展コーナーに入ってみたらここも高い!営利を意識しすぎていて私にはちょっと手が出せませんでした。
 ということで道の駅は素通りに近い状態で去ると、あっという間に熊本のすぐ下にある宇土という町に到着。
 ここで久しぶりのマクドナルドを発見。入ってLLを頼んだらなんとポーチが当たりました。が、旅行中の私にそんな物を渡してどう言うつもりだ?(苦笑)
 そこから少し進むとすぐに熊本です。走っていて気付いたのですが、熊本は大宮に良く似ています。
 どこが?と言われても難しいのですが、橋の下に見える川や土手の雰囲気、生えている草の具合が良く似ています。
 ひょっとしたら緯度が同じなんでしょうか。
 夕方になって熊本駅に着き、しばらく歩いていると、ビジネスホテルの従業員が客引きをしてきました。
 5000円を4600円にするからどうか、という。野宿するつもりだと言うと、雨が降るとか。
 雨宿りしながら寝られるところはホームレスがすべて陣取っているから寝られないと言われましたが、私は何とかなるだろうと彼の提言を蹴って市街を走ってみることにしました。
 確かに橋の下はホームレスの小屋が必ずあります。駅構内は無理そうだし、どこかの軒下と言う手も使えそうにありません。
 そうこうしているうちに小雨が降ったりやんだりし始めました。
 ひょっとしたら安いビジネスホテルがあるかもしれないとホテル街を走ってみたら、Sサイズ3500円と言う看板を発見。飛び込んでみましたが、やはりすでに埋まってるとのこと。
 諦めて、雨が降ったら寝ないでカッパを着て過ごす覚悟で河川沿いの運動公園のベンチに行きました。
 そしてしばらくして…雨がぱらぱらと…そして徐々に強くなっていく様相。
 ああ、やはり寝られないかとベンチに寝転がりながら考えていたらコンクリートの道を近づいてくる足音が1つ。狸寝入りで様子を伺っていたら、
「にーちゃん、ここで寝てたら雨降ってくるよ。こっちおいで」
 なんとホームレスの人がお宅へご招待。
 荷物と自転車をまとめて橋の下へ持っていくとコーヒーが待っていました。
 少々温いですがちゃんとした味。感心しながら戴いて、いろいろな話を聞きました。
 彼らは二人で橋の下に立てた掘っ建て小屋に住んでいるとかで、しばらく前までは3人だったけど1人は旅に出たそうです。
 ついでの話ですが、客引きと言う行為は違法なんだそうで。だから客引きの人はダイレクトに打ちのホテルに泊まらないかとは言えないんだそうですね。
 あと、私が飛び込んでみた3500円のビジネスホテルは実はそのSという部屋はないか、あっても1部屋だけ、とどのつまり客引き用の餌なんだそうです。
 私は餌に食いつきかけたけど逃げてしまった魚と言うところでしょうか。
 で、私は寝袋があるから屋根さえあればいいと遠慮したのですが、風もあるから小屋に入ればいいと小屋の中にまで招待して頂き、なんと布団まで貸してもらいました。
 久々の布団での就寝がこういう状態と言うのも何ですが、こんな経験を出来る機会は滅多にないでしょう。
 さらに、ホームレスに誘われたことを恥と思わずに経験と思える自分にも、感心こそはしないまでも、ちょっと驚いてしまいました。
....つづく
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