土 と 遊 ぶ
陽気に誘われて、山に河に繰り出したい季節になってきた。都会に生活していると、どうしても土の匂い、草の香りとは遠ざかり、なかなか自然を感じることができない。
Chinaには、「china(陶器)」の伝統がある。「観る、和む、創る、遊ぶ」をキーワードに、土とchinaに触れてみるのはいかがでしょう。
喧騒を離れ、きれいな空気と素敵な自然環境の中で、陶器作りと陶器鑑賞を楽しめる場所がある。北京・麗都飯店の北東に位置する楽陶苑だ。楽陶苑では、「海外陶芸家との交流」「国際的陶芸展、研究会の開催」「陶芸家への仕事場、焼き窯の提供」「陶芸鑑賞ツアー」「陶芸家向け『陶芸家通信』の発行」「一般人向けの陶芸教室(準備中)」など、「陶芸のすばらしさを知ってもらう」(創立者・許以〓氏)ための活動を行っている。(※〓は、しめすへんに、其)
敷地内には、自然と陶磁場、展示場などが心地良い形で配置され、共存している。昨年十月には、新しい二つの登り窯も完成。従来のガス窯二つと併せて全四つの窯で陶器を焼くことができる。九七年の設立以来、許氏は、「仕事の合間にのんびり出来る場所、過ごしやすい環境」を追求してきたという。今まで、中国各地からの陶芸家の受け入れはもとより、世界各国から中国を訪れる陶芸家に宿舎と陶磁場を提供してきた。今後、陶芸のすそ野をさらに広げるために、陶芸経験がない一般の方とも交流の機会を増やしていきたいという。
瓷土、粗土、紫砂土など、各種土を準備し、陶芸家が満足して仕事に打ち込めるよう配慮している。近日、一般向けの陶芸教室も実現するとのこと。まずは不定期に開催される展覧会に脚を運び、陶器との「関係」を始めましょう。
公園のようにのどかな楽陶苑 |
本格的な登り窯2機。 「健君窰」は、 この登り窯の 製作を 担当した李健君氏の 名前から 命名された。 彼は、登り窯の完成後、 旅行中に命を落とした。 |
ガス窯に入れて 、 4〜12時間で焼き上がる。 (種類により違う) |
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正華陶芸(西単)
場 所:西単文化広場地下2階
電 話:010-6606-3522 営業時間:9:00AM〜10:00PM
料 金:15元(ブローチなどの小物作り) 35元(陶芸)から(時間瀬限なし)
(優待が受けられる会員証280元)
北京紅中実用美術服務中心
場 所:北京美術館東街13号(三聯書店向かい)
電話:010-6403-1943 営業時間:8:30AM〜9:00PM
料 金:会員1時間10元から 一般1時間30元から (会員証100元、20回利用可)
北京安邁〓陶芸倶楽部(※〓は、王へんに其)
場 所:北京大学 資源東楼 電 話:010-6254-3780
営業時間:24時間
料 金:1時間30元から
清華〓陶陶芸倶楽部(※〓は、火が3つ)
場 所:清華照製院11号 電 話:010-6278-1917
営業時間:9:00AM〜10:00PM
料 金:1時間15元から (材料費別)
北京楽陶苑
場 所:北京朝陽区南gao石化総廠内。402路、418路の公共バス「南五」下車300m。
(一般向け陶芸教室は準備中)
電 話:010-6434-0924 FAX:010-6433-6575
紹介した陶芸教室では、専門のスタッフの指導を受けられます(中国語)。
掲載情報は、調査段階のものです。営業時間、料金などは、ご確認の上お出掛け下さい。
自分の思いを形にしてみては?(写真は楽陶苑のスタッフ)
唐の時代に、「南青北白」という、中国陶磁器の大きな流れが出来た。宮中、民間を問わず、よく使われていたのが、「越窰」の青磁器(南方)と「xing窰」の白磁器(北方)である。唐以前には、宮中では金銀器や玉器が、のちの陶磁器と同じ役割を果たしていたため、唐代の陶磁器には、金銀器の形を模倣したものが多い。
南方では、現在の浙江、福建、広東、江西の各省、北方では河南、河北、山西、病西の各省に多くの陶磁場址が見つかった。宋代には、それぞれの地方の土地柄、土、釉薬、窯などの違いにより、陶磁器に独特の風格が生まれ、「八大陶冠器体系」が形成された。南方の「越窰」「龍泉窰」「青白瓷窰」「建窰」の陶磁器、北方の「定窰」「耀窰」「磁州窰」「鈞窰」の陶磁器である。当時は、日本や東南アジアとの貿易を推進した南方と、国内向けに生産した北方という、それぞれの経営方法にも違いが現れた。
「官窰」(皇室が皇室のために作った陶磁器を焼く窯)、「民窰」(庶民が生活のために使う陶磁器を焼く窯)という区別ができたのも、この時代である。
汝窰盆(高さ3.5cm、直径19.3cm)。時価にして、1000万人民元(約1億4000万円)以上の価値がある。
「官窰の一つである汝窰の陶磁器は、宋代の官窰の中でも逸品中の逸品と言われ、世界に六十数個しか現存しない。作られていたのは、1111〜1127年のわずか十数年間だと粟われている(諸説あり)。
貴重な瑪瑙をふんだんに使い、南宋の皇帝・徽宗が愛した輝くばかりの青色をしている。
通常、陶磁器の裏側には釉薬をかけない。なぜなら、窯で焼く時にくっついてしまうのを避けるため。しかし汝窰は、細い棒数本でうつわを支え、窯に入れたため、裏側まで満遍なく釉薬がかけられている。
陶磁器は、乾燥中にヒビが入る、窯の中で割れる、釉薬で表通が汚れるなどの理由で、すべてが理想的な品質になるわけではない。その上、製造方法の秘密主義を取ったため、皇帝が手にした数個の陶磁器以外は破棄され、希少価値が生まれた。現在の技術をもってしても、再現できない色や品質があるのは、何千何万と作った中の数個が現存しているからだと言われている。
汝窰の陶磁器には、底面まで釉薬が施されている。
陶芸家向けに、楽陶苑が無料で発行している『陶芸家通信』(季刊)。
一般の方でも希望者には十二元/年で郵送してくれる。
世界の陶芸情報や中国国内の陶芸芸術に関するニュースが網羅されている。
『北京かわら版』3月号まで「美への彷徨」を執筆。
7月号より「これぞ逸品!これは贋物!」の連載開始。
E-mail : unpeki@public3.bta.net.cn