勝手にグルメ（第二回）

「隊長、毎月一度食べに行こうと言っていたのに、第一回目のしゃぶしゃぶからかれこれ半年ですよ。」「ごめん、ごめん、なんやかんや忙しくて。その代わりどこでも好きな所に行っていいから。」というわけで、半年ぶりの今回は、Ｍ小姐の意見が通って、最近若者に人気の新疆料理の店「阿凡提」（アーファンティー）に決定、毎日八時からは民族楽器の演奏や民族舞踊のショーがあり、平日でも予約を入れないと座れないこともある程流行っている店だ。

駱駝に乗ったおじさんが目印

Ｗ姑娘　ああ、あそこじゃない？店の前にロバに乗ったおじさんがいますよ。

Ｍ小姐　あのおじさんが阿凡提なんですよ。阿凡提ってどんな意味か知ってます？

みんな　知らない。

Ｍ小姐　中国から中東に広く伝わるとんち話に出てくるおじさんの名前で、日本の昔話の「きっちょむさん」も阿凡提から伝わったんじゃないかという説もあるんだって。（と、しょっぱなからうんちくを垂れたがる）

Ｆ君　どうでもいいけど、早く店に入りませんか？俺もう腹ペコペコ

Ｎ大姐　わあ、すてきな内装、異国情緒たっぷりで、北京じゃないみたい。

Ｗ姑娘　店員さんがみんな民族衣装を着ているのが雰囲気があっていいですね。

Ｍ小姐　ウイグル族の小姐がなんで三つ編みを何本もしているが知ってる？あれって、結婚前は年の数だけ、結婚したら二本になるんだって。

Ｆ君　じゃあ、ＭさんやＷさんは大変だ。毎日三十？本編まなくちゃ。

Ｍ、Ｗ　余計なお世話じゃ。

Ｓ隊長　さあ、注文、注文。新疆はワインがおいしいんだよ。ここには輸入ものもあるけど、せっかくだから国産のワインにしよう。（と楼蘭白ワインをオーダー）

みんな　乾杯！

Ｎ大姐　この檸檬＊牛肉（三八元）、肉がとってもやわらかくておいしい。

Ｗ姑娘　レモンがきいていますよね。

Ｆ君　もぐもぐ、ここの羊肉串はボリュームがあって癖もない、いつも街の屋台で食べてけど、ここのはまたひと味違いますねえ。

Ｎ大姐　一本八元は決して高くないですよね。

Ｍ小姐　この羊のスペアリブ（＊羊腿）もいけますよ。スパイスがよくきいていて。

Ｗ姑娘　この白ワイン、さっぱりしていて飲みやすい。どんどん飲めちゃう。

Ｓ隊長　新疆は果物は大体なんでもおいしいけど、特にブドウは有名だからね。乾燥しているからその分糖分が多いんだな。

八時になり、民族楽器の演奏が始まる。その頃には店内は満員。八割方は外国人の客。

８時からは民族舞踊も楽しめる

Ｗ姑娘　私、前から中国の民族楽器に興味があったんです。（と、大胆にも演奏の合間に舞台に行って楽器の名前を聞いてくる。）あの、三味線みたいなのは「熱瓦甫」って言うんだって、蛇の皮でできているらしいよ。

Ｎ大姐   何だか津軽三味線みないな音よね。

Ｍ小姐　でもリズムはラテンっぽいですよ。

Ｓ隊長　まさに東西をミックスしたシルクロードの音楽って感じだな。

Ｎ大姐　ノスタルジックよね。

民族楽器の演奏に合わせ民族舞踊が始まる。Ｓ、Ｆの男性陣は舞台の女性の衣装に釘付け

Ｆ君　いやあ、あのおへそが見えるところがいいなあ！料理はうまいし、もう最高！

Ｓ隊長　（ボソっと）駱駝を自由に操れるといいな。

みんな　え？

Ｓ隊長　いや、こういう音楽を聞きながら砂漠を駱駝で旅したら最高だろうなと思って。北京で駱駝飼えないかなあ？

突然、Ｍ小姐が舞台に飛び出し一緒に民族舞踊を踊り始める。

Ｓ隊長　ど、どうしたの？彼女？

Ｎ大姐　よっぱらっちゃったのかしら？

Ｗ姑娘　最近ストレスがたまっていたんじゃないんですか？

Ｆ君　もぐもぐ（皆の注意が舞台に向いている間に肉をほおばる）

そのうち、他の席からも舞台に上がる人、テーブルの上で踊り始める人で、いつの間にか店内はさながらディスコと化した。

Ｗ姑娘　皆さんが舞台に夢中になっている間に、取材してきましたよ。

Ｓ隊長　新隊員は熱心でいいねえ。Ｍさん、踊ってばかりいないで少しはＷさんを見習ったらどうだ。

Ｗ姑娘　ここの店の奥さんはウイグル族と漢族のハーフで、ダンナさんは漢族なんだって。一日二万元から三万元の売上げがあるそうですよ。

Ｓ隊長　仕事辞めて、皆でレストランやろうか？

Ｗ姑娘　専属の楽団（阿凡提楽隊）があって、週末にはライブもあるんだって。

Ｎ大姐　じゃあ、週末にまた来なくちゃね。

Ｗ姑娘　かわら版の話をしたら、かわら版の読者に割引をしますって。ウイグル族の帽子ももらってきちゃった。

Ｍ小姐　やったあ！

Ｓ隊長　君は本当にえらい！特別隊員にしてあげよう。

という訳で、今回店のご協力により「かわら版」読者特別割引をしてもらえることになりました。「かわら版」六月号に同封のカードで特別割引が受けられます。皆さん、どうぞ、ご利用ください。

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