かわらギャラリー

   北京飯店横の南河沿大街を故宮側に入った普渡寺巷あたりは学校の宿舎に近いこともあって一年を通じてよくスケッチに出かけた。うら道にちょっと入っただけなのに東長安街の喧噪がウソのように聞こえない。

   夏の暑い日、木陰で描いていると爽やかな風が通り抜け、鳥かごを持ったおじさんが通りがかりに見ていく。時には餌の作り方を教えてくれる。熱心に聞こうものなら、ひとつ飼ってみないかとくる。

   私に絵を描く以外の楽しみを教えてくれた大切な胡同(フートン)の一つだ。


著者紹介

三好 道(みよし みち)

1937年 愛知県生まれ
1991年 東洋美術学校中国画科入学
1992−94年 中国中央美術学院国画科入学、この間中国各地を写生旅行
1995年 画文集「北京の路地うら」出版。
1998年 NHK中国語講座挿絵担当、この間景徳鎮、廈門、泉州、紹興、南京、徐州、合肥などのほかシルクロードの各地をスケッチ旅行
1999年 「新宿高野ギャラリー」個展

絵

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