かわら調査団が行く
勝手にグルメ(第3回)紹興料理の巻

二軒目「孔乙己」

予約をすれば個室で宴会もできる(孔乙己)
F君 名前からしてこっていますね。孔乙己って紹興が生んだ偉大な作家、魯迅の小説の名前じゃないですか?
S隊長 さすが留学生、勉強しているな。
F君 ここは紹興酒の種類が随分ありますね。ほら、20年ものが300元か、あっ、「50年絶品黄酒」なんていうのもありますよ。1斤(500グラム)2600元だって。
M小姐 ちょっとかわら版の予算では無理ですね。

「東坡肉」談義

SF会長 「東坡肉」を頼んでもらえますか?
M小姐 はいはい、それと「油鮮賈筍」これいきましょう。竹の薄皮で作った料理で紹興の名物の一つです。ああ、それと、この「乾隆排骨朱」この店の名物料理で、スペアリブを揚げたものなんですが、あまり脂っこくなくておいしいんです。1本8元で安いし。
S隊長 スッポン頼もうよ。
F君 隊長、そんなに精力つけてどうするんですか? あっそうか、奥さんが若いから……。
独特の雰囲気のある店内(孔乙己)
SF会長 まあまあまあ、ところで、この「東坡肉」はやわらかいねえ。口の中に入れるとまるでとろけるようだ。
S隊長 紹興酒で2時間から3時間は煮込むからね。ところで「東坡肉」の謂われは知っているかな?
F君 宋代の詩人蘇東坡にちなんだものなんですよね。
M小姐 そうそう、なんでも蘇東坡が杭州の長官として赴任してきたんだけど、その年は不作だった。蘇東坡は西湖の土木工事を興し、それによって領民を飢えから救った。感謝した領民は、年の暮れに蘇東坡に豚肉と紹興酒を贈るんですが、蘇東坡は自分は贈り物を受け取らないといって、なかなか受け取ろうとしない。民衆がどうしても受け取ってほしいといって、無理に置いていくと、蘇東坡がそれを角切りにし醤油で煮込んで民衆に振る舞った。それが「東坡肉」の始まりというんじゃないんですか?
F君 蘇東坡が豚肉の煮込みと紹興酒を領民に振る舞えといったのを、蘇東坡の家来が間違えて豚肉を紹興酒で煮込んでしまい、それが意外においしかったという話もありますよね。
S隊長 まあ、そんなところかな。ところで、「東坡肉」には本家争いがあるんだよ。一つはもちろん杭州だけど、もう一つの有力候補は湖北省の黄州で、こちらには有力な文献資料が残っているそうだ。蘇東坡自らの作品『豚肉の頌』の中に「黄州好猪肉」という一句があるんだな。
F君 へえー知らなかった。ここの「東坡肉」もおいしいけど、本場杭州で食べた「東坡肉」もうまかったな。西湖のほとりに楼外楼という店があって、そこの「東坡肉」は文字通り天下一品ですよ。
SF会長 中国料理食べ歩き会会長としてはぜひ一度食べてみたいね。今日は紹興料理を満喫したなあ、これで心おきなく日本に帰れるよ。

咸亨酒店
場所 北四環東路99号(安慧橋の一つ東の信号を北に曲がってすぐ)
電話 6495−3201

孔乙己
場所 東四北大街322号(東四より北に約300メートル)
電話 6404−0507
個室あり(事前に予約が必要)

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