2001年 8月〜12月 |
トパーズ 村上 龍 角川文庫 |
11の作品からなる短編集。本のタイトルから、綺麗なものかと思ったら大違い。 それぞれ、風俗の世界に生きる女性を書いてます。 「鼻の曲がった女」が良かった。「ペンライト」は怖くて印象に残る作品。 |
私のイエス 遠藤周作 黄金文庫 |
「私がかつて若かったころ、ひじょうに無味乾燥、荒唐無稽に思えた聖書を、その地点から皆さんと一 緒に読んでいきたいと思うのです。そして、私がそういう聖書の中で、どういうことがおもしろく、ま た、どういうことを自分の身につまされて考えたかということを、書いていきたいと思います。」 とてもわかりやすい、聖書の入門書です。 |
マザー・テレサ愛と祈りのことば マザー・テレサ PHP |
マザー・テレサの愛と祈りのことばをまとめた一冊。 「私の秘密を教えましょうか。私は祈ります。キリストに祈るということは、キリストを愛すると同じ なのです。」 「私が思うのに、世の中で一番大きな苦しみは一人ぼっちで、誰からも必要とされず、愛されていない 人々の苦しみです。」 など、心にしみる「ことば」がたくさんあります。 難しくなく、読みやすいのでオススメです。 |
あなたに起ることはすべて正しい 中谷彰宏 PHP文庫 |
人生を開く101のメッセージ。 「人生にも、リセットボタンがある。」 「親友に裏切られたのではなく、裏切られることで親友を救ったのだ。」 「神様は、少し遅刻してやってくる、来ないからといって、あわてて帰ってはいけない。」 「神様を探し出すことより、自分を探し出すことのほうが大事だ。神様になることより、自分になるこ とのほうが尊い。」 など、心が元気になるメッセージ。 |
コインロッカー・ベイビーズ 村上 龍 講談社文庫 |
柳美里さんが「<戦後のベスト10>に、ためらうことなく『コインロッカー・ベイビーズ』を挙げる だろう。」と著書の中で誉めています。 コインロッカーを胎内としてこの世に生まれてきたキクとハシの物語。鮮烈なイメージで織りなす、近 未来小説。 面白くて引き込まれます。上下巻ありますが、すぐ読めました。 刺激を求めている人にお勧めの1冊。 |
インザ・ミソスープ 村上 龍 幻冬舎文庫 |
1997年に読売新聞に連載された作品。 はっきり言って、怖い小説。歌舞伎町のパブでのシーンは圧巻。すごいです。 |
迷い道 阿刀田高 講談社文庫 |
10の作品からなる短編集。 「肌女郎」は何とも面白い。「迷い道」も良かったです。 |
2001年 4月〜7月 |
男 柳 美里 メディアファクトリー |
4月に読んだ本は、この作品だけ。辛くて苦しい日々です。 |
おのぞみの結末 星 新一 新潮文庫 |
5月に読んだ本は、この作品だけ。何のために生きているか、わからない日々です。 21のショートショートからなる作品集。 |
心療内科がわかる本 芦原 睦 法 研 |
6月に読んだ本は、この作品だけ。私が通院している心療内科がわかる本です。 |
人間キリスト記 山岸外史 第一書房 |
人から借りている本なのに読むのに時間がかかってしまいました。昭和13年の作品なので、漢字とか 読みずらいのが難点。聖書を読んだだけで、ここまでイエスの心情を書いているのはすごいと思います。 太宰治はこの作品を読んだと思う。太宰治の『駈込み訴え』はこの作品から影響を受けている部分があ ります。 |
12番目の天使 オグ・マンディーノ 求龍堂 |
心が洗われる作品。普通の人にとっては、涙なくしては読めないでしょう。しかし大きな悲しみを背負 った私は涙が出ませんでした。事実は小説よりも奇なりなのです。 |
斜 陽 太宰 治 新潮文庫 |
12回目。直治の遺書が痛いくらい心に突き刺さります。 斜陽を御覧ください。 |
2001年 3月 |
地の星 宮本 輝 新潮文庫 |
1月に読んだ『流転の海』の第二部。大阪から郷里である愛媛県南宇和へ引きこもった松坂熊吾の身の 回りに様々な事が起こります。 松坂熊吾の心境の変化の描写が、何とも言えず上手いと思います。 |
魚の見た夢 柳 美里 新潮社 |
柳美里さんの愛、過去、家族を明かす感動のエッセイ集。 8年間に書いた短い文章を集めたもので、非常に読みやすい作品です。 柳美里さんは『桜桃忌』に行ったことがあることがわかりました。 「私は独りではない。私の中にはしっかりと太宰が棲みついていた。」という文章が印象的。 |
血脈の火 宮本 輝 新潮文庫 |
『流転の海』の第三部。郷里である愛媛県から大阪へ戻った松坂熊吾は、次々と事業を興していきます。 第四部が早く読みたいです。 |
ノックの音が 星 新一 新潮文庫 |
精神的に大ダメージを受けたため、普通の小説が読めなくなりました。でも何もしていないと気が狂い そうになるので、星新一氏の作品を読み始めることにしました。 すべての作品が「ノックの音がした。」から始まる15のショートショートからなる作品集。 『夢の大金』『しなやかな手』『人形』が良いです。 |
盗賊会社 星 新一 新潮文庫 |
36のショートショートからなる作品集。 |
夜のかくれんぼ 星 新一 新潮文庫 |
28のショートショートからなる作品集。『金の粉』が印象に残りました。 |
これからの出来事 星 新一 新潮文庫 |
21のショートショートからなる作品集。 |
2001年 2月 |
みずうみ 川端康成 新潮文庫 |
読後、何とも不思議な感じが残る作品。現代風に言えば「ストーカー」である男が主人公。 |
複雑な彼 三島由紀夫 集英社文庫 |
私は三島由紀夫氏の作品多くを読んだわけではありませんが、今まで読んだ作品の中では、一番面白か った。 難しい表現のない平易な文章で、とても読みやすかった。 1月に『盗賊』を読んだのですが、『複雑な彼』と『盗賊』では、同じ作家が書いたものとは思われな い感じがします。様々な文体で、こうまで違った作品を書けた三島由紀夫は天才だと思う。 |
黒の回廊 松本清張 文春文庫 |
女性ばかりの海外旅行ツアーで殺人事件が起こった。 あまりにも偶然が重なっているような気がするが、事件の解決の決定的な瞬間が最後の1ページという のがすごい。 殺人事件の解決だけではなく、ヨーロッパ各地の描写が上手いと思います。 |
流転の海 宮本 輝 新潮文庫 |
いやぁ、実に面白い作品で一気に読んでしまいました。続編の『地の星』もいあるのですが、もったい ないので、すぐに読まないでおこうと思います。 |
検屍官 パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 |
MWA処女作大賞受賞の傑作長編。 連続殺人事件を女性である検屍官のケイが捜査していきます。緻密なストーリーと迫力のあるラストシ ーンが非常に印象的な作品です。 この作品で作家としてデビューしたとは思われないです。日本語訳もいいです。 |
津軽殺人事件 内田康夫 中公文庫 |
読む価値の全くないふざけた作品。時間を損しました。 太宰治をこのような作品に使うとは、馬鹿にしている。 この作家の作品が何故売れているのか、私には全く理解できません。 |
2001年 1月 |
聖書の大地 加賀乙彦 NHK出版 |
カトリックである加賀乙彦氏が、聖書に刻まれた土地を旅したエッセイ。 神の啓示がモーゼに行われた、シナイ山など感動的です。 この作品に書かれた全部を観るのは無理だが、どこかには行きたいものです。 ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂に行って、ペテロの右足に触れてみたいのです。 |
聖書の常識 聖書の真実 山本七平 講談社文庫 |
「聖書は1冊の本ではない」あたりは、簡単だと思っていましたが、読み進めるにつれて難しくなりま した。 やっぱり聖書は難しい。 |
太宰治と聖書 野原一夫 新潮社 |
太宰治と聖書。切っても切れないものがあります。 傑作『駈込み訴え』は、イエスの弟子、ユダが独白するスタイルをとっていますが、こういう作品を書 けた太宰は、相当聖書を読んでいたのです。 信仰はしなかったようですが、最後に太宰は神を信じたのではないでしょうか。 |
夢にも思わない 宮部みゆき 中公文庫 |
作品に登場する中学生は、何か超越した感じがします。そう思いながらも面白かったのですが、最後の 方が宮部みゆきさんらしくないと思いました。 というわけで、これまで読んだ宮部みゆきさんの作品の中では、一番後味の悪い作品でした。 |
鳥人計画 東野圭吾 新潮文庫 |
東野圭吾氏の作品を初めて読みました。 普通の推理小説だなぁ、と思っていたのですが、、、何ともすごいラストが用意されていました。 |
女文士 林真理子 新潮文庫 |
武者小路実篤の愛人であったり、中村地平の恋人であったりと、スキャンダラスな女流作家眞杉静枝の 半生を書いた作品です。 中村地平の紹介で、太宰治と会う場面があるのが面白い。一度切りなのが残念ですが。 この作品を読み、失礼だが、林真理子さんはこんなにも文学的なものを書けるのかと感心した。 |
盗 賊 三島由紀夫 新潮文庫 |
いやはや難しい作品です。何が「盗賊」なのかよくわかりませんでした。 ハッピーエンドになるのだと思いこんでいたら違いました。 ストーリーは複雑ではないのに、一つの事柄に「ここまで言葉を尽くすのか」というくらいたくさん言 葉を使って表現しているのがすご過ぎる。 生と死のとらえ方は、三島由紀夫のものなのでしょう。 |