義士魂(ぎしこん)


【概要】
[1]赤穂にある赤穂義士会が発行した会報、形態はB5判。現在、大石神社発行の『義士魂』があるため、旧『義士魂』と呼ばれることもある。
 創刊号は昭和8年(1933)4月発行で以後、毎月発行されたようである。発行の主旨は「一は四十七士の忠芬義芳をかぐはしめ一は郷土研究を通じて郷土愛の風を起さしめ」ることで、内容的には義士の研究・顕彰等を目的としたものである。内海定治郎・伊藤武雄・平尾孤城といった義士研究家の論考が多数見られ、現在でも参考となる記事が多い。その業績は義士研究者の間では高く評価されていた。しかし、終刊近くになると赤穂事件とは関係のない記事も散見される。東京の中央義士会が発行している機関誌『義士精神』とともに義士研究の双璧であったが昭和14年(1939)5月発行74号を最後に中絶してしまった。編集を担当したのは赤穂中学校教諭であった平尾孤城(須美雄)である。

【参考文献】武川壽輔「義士魂発刊について」(昭和8年、赤穂義士会編 旧『義士魂』1号)、飯尾精「義士魂発刊に当り」(昭和51年、大石神社編 新『義士魂』1号)。


[2]赤穂大石神社・大石神社義士顕彰会が発行した社報兼会報で神社の情報や義士関係・祭神関係の論考を掲載している。B5判。誌名は[1]の名称をそのまま復活させた。[1]と区別するため新『義士魂』と呼ばれることもある。発行は年2回で、時々臨時号が出るときもある。
 創刊号は昭和51年(1976)12月発行である。昭和50年、義士の事績の顕彰、史料の蒐集解明を目的に大石神社内に赤穂義士顕彰会が発足したのを機として神社の社報と顕彰会会報を兼ねて発刊されたのである。義士の遺物の解説、研究者の論考などが[1]と同様に多数見られる。また、大石神社の創建からの歴史・大石邸長屋門修復や近現代に於ける赤穂城附近の変遷を知るにも参考になる記事がある。特に全国各地から大石神社には義士関係の文書・遺物等の奉納があり、これによって新発見の史料等の情報もわかる。また、事件に関する論争なども掲載してあって、忠臣蔵関係の動向も知ることが出来る。
※購読希望の方は年会費¥2,000を大石神社に納入すれば義士顕彰会会員として送付される。


【参考文献】飯尾精「義士魂発刊に当り」(昭和51年、大石神社編 新『義士魂』1号)。


※なお、旧・新『義士魂』の詳細な内容については本サイト「論文リスト」に赤穂義士関係の記事は全て掲載している。


(076/2002/9/3)