1996年、4月7日。奈良県文化会館、集会室A&Bに於いて、「Nara Holy Knights 」4月コンベンションが開催された。スタッフ11名、一 般参加者36名。そのコンベンションで行ったアンケート結果並びに会場の参 加者の雰囲気などから推定しても、おおよその成功を収めたものと思われる。
しかし、このコンベンションに於いて全く問題がなかったわけではない。こ の報告書はその問題点を検討し、次回への課題とする目的で作成された。また 同時に、コンベンションを行おうとする多くの諸氏に対し、そのノウハウを伝 える目的も有している。何らかの参考ともなれば幸いである。
2月2日夜。スタッフの1人の家に、「Nara Holy Knights」のスタッ フ5人が集まった。そこで、各人が「コンベンションを行うにあたり、自分が 『やりたい』と思うこと」をまとめ、発表した。また同時に、スタッフの1人 が作成した「企画書・コンベンション」(資料1)並びに「企画書・Multi T- able Session」(資料2)を配付し、これらを叩き台にして活発な議論が行わ れた。その中で、コンベンションの概略が決定されていくのである。
まず、開催日である。大まかな日付を準備期間・スタッフの都合・他のコン ベンションの日付などを参考にしながら決定する。我々の場合、「4月上旬の 日曜日(4月7日、あるいは4月14日)を目標とした。実は、スタッフが事 前に会場候補地へ直接出かけ、受付で予約状況の確認を行っている。今回の第 一会場候補は、当日の会場ともなった「奈良県文化会館」である。そこの受付 で、会場を借りたい旨を告げ、現在の予約状況を確認した。その結果、両日共 に会場候補の部屋は空いていることが判明する。ここで注意しなければならな いのは、そのとき空いていても後で予約されてしまう可能性があることである。 そこで、予約状況の確認はできる限り企画を決定する直前の方がいい。また、 受付に申し出れば会場のパンフレットがもらえる。それで会場費や予約の方法、 部屋の種類などを事前に確認しておくほうがいいだろう。
予定会場は、奈良県文化会館の第2・第3会議室となっていた。しかし「集 会室A&B」の方が中央の壁を取り払うことができ、部屋の自由度が高い事が 会議の最中に判明した。そこで、急遽部屋を変更する。
予想費用は、「会場費」「諸準備費」「当日茶菓費」などの合計である。こ こで具体的な費用が書かれなかったのは、実際やってみないことには具体的な 額が分からなかったからであるが、後に思えばこれは失敗であった。私の頭の なかには、「会場費2万円」「諸準備費2万5千円」「当日茶菓費5千円」の、 合計5万円という額があったが、スタッフの中には額面に不満を示すものもい た。概算でいいから、予算額はあらかじめ決めておいたほうがよい。
予定参加人数は、50人となっている。部屋には100人収容可能と、会館 のパンフレットには書いてある。が、コンベンションを行うのに収容人数限界 のの100人は多すぎる。そこで、余裕を取って50人とした。また同時に、 他のサークルが行ったコンベンションの動員人数などから、30〜40人が参 加するであろうと予想した。なお「Multi-Table-Session 」については、 企画書・Multi-Table-Sessionでまとめて書くことにする。
予定参加費用は、GM無料、プレイヤー300円であった。女性に対し無料、 というサークルもあるようだが、「逆差別のような気がして、個人的には好き ではない」という女性の声があることを反映して、我々は男女を問わない料金 体系にした。なお、予約者と当日参加者の料金を一緒にしていたのは、単に失 念していただけである。が、予約者のアンケート結果(資料13)を見ると、 予約者と当日参加者の料金差別化(あるいは予約者への特典)を行ったほうが よいと思われる。
予定準備卓は、6テーブル前後であった。これは単に、当時何人のスタッフ が集まるか不明であったためである。結果的に、スタッフ9名+ゲスト1名の 合計10テーブルが用意され、うち7テーブルがゲームを行った。企画段階で は、我々が用意するGMは4名で、あとはゲストに期待するという、無謀な案 も検討されていることをここに付記しておく。
さて、コンベンションに於いて何がいちばん重要であるか。それは「コンセ プト」である、と私は信じる。コンセプトがしっかりしていれば、コンベンシ ョンの方向性が明確に定まり、スタッフの意思統一も容易に行えるからである。 ちなみに、その意味からして今回のコンベンションは失敗に終わっている。こ れについては総括で述べることにする。
「Nara Holy Knights」4月コンベンションのコンセプトを、「企画書 ・コンベンション」より引用したい。
魅せる! コンベンション 初めてきた人、初めてゲームをする人とも、 つながりのできるコンベンション 参加以前の段階から、参加者の期待を煽り、 それに応えられるコンベンション 過剰なまでの演出を行うコンベンション!
ここで、一つ一つ説明していきたい。
この3つは、先に付随して後の2つが出てきている。「魅せる」一環として 「過剰なまでの演出」が企画された。「演出」といっても、仮装をするとか派 手な音楽や光線を使うとかいった類のことではなく、「招待状」や「予約券」、 「マスター・ピーアール」の事前送付、「旗」、「内輪受けの禁止」、「冒険 の記録」欄並びに「寄せ書き」の作成、「冒険の記憶」の送付など(それぞれ 後述)を行い、「参加者の期待」と「それに応える」ことができるようにしよ うというコンセプトであった。これについては、概ね成功であったと思われる。 それぞれの事項について、一部を除きアンケート結果などでは良好な感触が得 られている。
これは、コンベンションに来て終了したらそこで別れてしまうのを惜しんだ スタッフにより提案された。また、ここで「古いゲームやマイナーなゲームを 初心者に紹介し、ネットワーク化する」というサブコンセプトも建てられた。 これについては「冒険の記録」(資料10。セッションカードの代わり。「マ スター・ピーアール」の中ほどに、見開きで「自分のキャラクター」「同じテ ーブルの仲間たち」(他のプレイヤー)の名前や住所、キャラクター名などを 記入するコーナー)などで一部実践された。が、「休憩時間に参加者の交流を 促す」「みんなで準備・後片付けを行う」などは、今回実践できなかった。今 後の課題とすべきである。
これは、企画書には盛り込まれていない。むしろ、他のスタッフとて知らな かった人が多いのではないだろうか。何故なら、これはコンベンションの当日、 開会式の挨拶をしながら思いついたものだからである。これについては、当日 の開会挨拶並びに閉会挨拶の中で触れられ、「冒険の記憶」の 「ご挨拶」 の項でまとめられた。それでは、今回のコンベンションで実践するの は不可能であっただろう。しかし、企画書に記載された4つのコンセプトは、 畢竟これに帰結するものであると私は固く信じている。「企業主催のコンベン ション」にはない「手作り」の楽しさ、嬉しさを追求することが、次回のコン ベンションに対する最大の課題である。
次に、当日のタイムテーブルについてである。
10時開場、10時30分開会となっているが、開会は30分ずつずらされ て11時となった。開会を11時としたのは、大阪や京都など遠方から参加す る人の便宜を考えてのことである。またこれにより各テーブルでのキャラクタ ー・メイキングが終了した頃に丁度昼食が摂れ、進行上都合がいいという期待 もあった。
しかし、それは結局失敗することになる。キャラクター・メイキングが予想 以上に時間のかかるものであり、休憩がとれたのは1時以降というテーブルが 続出した(中には、休憩をとる時間すらなかったテーブルもあった)。また、 これによりゲーム時間が短くなってしまうという本末転倒な結果になり、次回 は時間テーブルの変更が確実なものとなっている。
また、我々内部でのタイムテーブルも検討された。会場予約は企画書どうり に行われたが、それ以後のスケジュールは1週間前後遅れて進行した。これは、 時期が大学の春休みにかかっていたため、スタッフ間での連絡が大幅に遅れた ことに起因する。
今回のコンベンションは、一部で「マイナールール・コンベンション」と皮 肉られるほど、使用するゲームにメジャーなものが存在しなかった。その理由 は、スタッフは「ソード・ワールド」のGMをしてはならない、としたことに 一因がある。これは、コンベンションに行けば必ず存在する「ソード・ワール ド」を排除し、「ソード・ワールド」しかプレイしたことのない人にそれ以外 のゲームの楽しさを知ってもらいたいという思惑からであった。ただし、この ことはスタッフ以外には秘密とされ、またゲストGMにはこの条項は適用され ないという条件が付けられていた。これについては賛否両論ある。実際、プレ イヤーからは「ソード・ワールド」をプレイしたかったという声も聞かれた。 しかし、結果的には「ソード・ワールド以外のゲームの楽しさがわかった」と いう声も多く聞かれたことから、この計画は一応の成功を収めたと思ってもい いだろう。なお、「GURPS」については、そのキャラクター作成の煩雑さ、 ルールの複雑さから、「GMはプレロールドキャラクターを用意してゲームを 行う、あるいは事前に参加希望者にキャラクターを送付してもらう」という条 件(これはゲストGMにも適用される)を出した。結果的に「GURPS」の GMはいなかった訳だが、一部参加者からは「未訳サプリメントでゲームをし てほしい」という意見も聞かれた。これについては、可能ならば考慮していき たいと思っている。
ここで今回のもう一つの企画「Multi-Table-Session (以下「MTS」)」 について言及しておきたい。当初より、いつかコンベンションなどの多くの人 が集まる場所において、MTSを実践してみたいという願望が、我々スタッフ にはあった。そこで、早速今回のコンベンションで実践してみてはどうかとい う提案がなされ、検討された。
ところで、「MTS」とは何か。資料2を見てもらえればわかると思うが、 要はいわゆるライブRPGの変形のようなものである。ただ、あそこまで大規 模なものではなく、移動やアクションが必要でない分、小回りが効きやすいと いう利点がある。そして何よりも、参加者全員が数個の「テーブル」に分割さ れることなく、それぞれが交流を持ちながらゲームが進んでいくことになり、 基本コンセプトの一つである「つながりのできるコンベンション」が実現でき るという利点があった。
ただし、今回においてその試みは企画段階から却下された。正確には延期さ れたといった方がよい。理由は、「残り2か月程度、しかも春休み中であり、 準備期間が絶対的に足りない」ということであった。
そこで、妥協案として「『Nara Holy Knights』の名前を売り、参加者 が増加するであろう次回以降にMTSを行う」という決定がなされた。その一 環として、4月7日のコンベンションにおいてMTSの宣伝を行うことも決定 された(実は行うことを忘れていたが……)。
ただ、その決定も現在暗雲が立ち込めている。スタッフの一部から、MTS の実施に対する危惧が出ている。それは、「マスターの(プレイヤーをひきつ ける)技術の不足」「シナリオの作り方」「進行の問題」である。つまり、本 当にプレイヤー主導で話が進んでいくのか、その場合、他の「舞台」との整合 性はどうするのか、シナリオ的に収拾がつかなくなった場合、どのようにする のか等の疑問が浮上している。しかしこれは、実際にやってみないことにはわ からないのではないか。無論、突然コンベンションで実践しようなどと無謀な ことは言わない。が、他のサークルなどに声を掛けて小規模なもの(参加人数 15名程度)を実践し、その結果に基づいて再び検討するほうがより前向きで あろうと思われる。MTSに対する結論は、それ以降に一旦持ち越すことにし たい。
そのような会議が行われた翌日、早速第1候補であった奈良県文化会館に予 約をしにいく。ちなみに、何故我々が会場をここに定めたかを書き記しておく。
我々が会場を選ぶにあたり、いくつかの条件があった。それは、
まず1)についてであるが、スタッフの多くが奈良市内に住んでいることを考 え、会場を奈良近辺にした。何故なら、スタッフが遠方まで移動しなければな らないとした場合、事前の準備や事後の後片付け、その他何か事故の発生した 場合に、スタッフとして非常に困るからである。
次に2)であるが、コンベンションにおいて一般参加者がこなければ意味がな い。そこで、「駅から歩いて10分程度」「道のりがわかりやすい」「最寄り の駅自体に停車する列車が多いこと」の条件を考慮した。
また3)であるが、当日の会場となる部屋にどれほどの広さがあるのかも重要 である。壁を取り払って大きな部屋にできる会議室や集会室も存在する。そう いった部屋の存在を失念してはならない。ただしあまり広すぎるとそれ相応の 予算がかかるので注意が必要である。
そして4)であるが、会場によって予約の方法・時期が異なる。例えば奈良県 文化会館の場合、予約は3か月前からである(集会室の場合)。しかし場所に よっては、1か月前の月初めとか、2週間前などというのもある。サークルの 例会など、いつでも参加者に連絡が取れる場合はいいが、不特定多数の参加を 前提とするコンベンションの場合、そのような会場は不適であろう。
なお今回予定していた会場は、「奈良県文化会館」と「ならまちセンター」 であった。他にも「奈良中央公民館」や「奈良西公民館」なども候補に上がっ ていたが、上記の条件を総合的に鑑み、「奈良県文化会館」に決定した。
ところで、申込みの直前になって気がついたことがある。サークル名である。 実はそれまで「Nara Holy Knights」という名前は決まっていなかった。 企画会議の段階でサークル名の話も出ていたのだが、うやむやのうちに会議が 終了してしまい、部屋を予約しにいく直前になって気がついたのである。早速、 会議に参加した幾人かに電話をし、相談する。なお、名前の考え方としては、 「グリフォン」や「ユニコーン」といったモンスターなどの名前をとる方法、 「奈良RPG研究会」というように、地名を冠してそのままサークル名とする 方法、「ギルド」「教会」「城」といったおなじみの名詞を付ける方法、「N HK」「AK−47」といった具合に、何らかの略称をもじってつける方法な どがあるだろう。それらのことを電話で相談したのだが、結局は「Nara H- oly Knights 」(奈良聖騎士団)という名前に決定した。
最後に、会場の予約について注意すべきことをまとめておく。まずは申込日 である。これは前述したように館によってばらばらなので、パンフレットなど で確認するのがいいだろう。また、代表は印鑑を持っていくことを忘れてはな らない。それに、使用料の支払いがいつなのかも確認しておくべき事項の一つ である。これらのことはパンフレットに全て説明されているし、もしわからな いことがあったら館に電話すればいいだろう。
さらに翌日の2月4日。この日は「奈良大学RPG研究会」の追い出しコン パがあった。そこで、その時に集まるスタッフ予定者に、企画書と スタッフ・アンケートを配付した。なお、スタッフ予定 者とは、コンベンショ ンの際にGMをやってくれるあるいはスタッフとして働いてくれるであろうと 思われる人物であり、それらを企画会議の席上ピックアップした。今回は全て 「奈良大学RPG研究会」の当時3回生で固めてみる。時期が春休み中という こともあり、スタッフ・アンケートと一緒に返信用封筒も入れておいた。
スタッフ・アンケートは後日8名から返答があった。それらの全てが、コン ベンションに対して好意的な反応であったことをうれしく思う。また、多くの 人がGMをやってもいい、と言ってくれ、テーブル数が予定よりも増加しそう だという明るい観測もできるようになった。現在そのアンケートを読み返して みると、GM希望者はだいたい最初の希望通りのゲームをやっている。
ただ、一部には「返信が遅れた」「アンケート自体なくした」という声も聞 かれた。そのようなことは本来こちらでは一切関知しないのだが、やはり大い に困ることに違いはない。書類管理は各人の責任においてもう少し丁寧に行っ てほしいと思う。
なおここに、スタッフ・アンケートの項目5(「コンベンションに対する質 問などありましたらお書きください」)並びに項目6(「コンベンションをよ りおもしろくするためのアイデアなどございましたら、お書きください」)の 内容をまとめてみたい。
スタッフ・アンケートの回答を見るかぎり、しごくまっとうな質問・提案が 多かったように思う。それは企画書に書き忘れた我々のミスである。また今回 は出来なかったことも多くあるので、それらは次回以降に反映させていくつも りである。
「追い出しコンパ」の翌日、案内状 (いわゆる「ビラ」)を作成す る。スタッフの一人が原盤をつくり、それをいくらか修正して完成版とした。
その際に留意したことは、「読みやすい」ということである。あまりごちゃ ごちゃとは書き込まず、それでも必要最低限のことは書き込むこと、地図はわ かりやすいこと、重要な部分はゴシック体にして下線も付けることなど、とに かく「読みやすい」ことを第一に考えた。また、右面が「参加申込書」になっ ていることも考え、左面にのみ事項をまとめるようにした。
なお何故右面を「参加申込書」にしたのか。それは、フォーマットが決まっ ているため参加者にとっては記入しやすく、主催者にとっても整理が楽などの 利点が多いと思ったからである。
ただし、この案内状には幾つかの重要事項が欠落している。
まず第一に、「TRPG」という文字が一つもなかったことである。それに より、一部「コンシューマーゲームの大会」と勘違いして参加申込みをしてき た人がいた。この人には、我々の非を謝罪し、また我々のコンベンションの趣 旨・目的を説明する手紙を送付している。
次に、当日のスタッフの目印が書かれていなかったことである。これについ ては、後日決定したため、書くことが出来なかったのである。目印については 「マスター・ピーアール《暫定版》」に書かれていたが、予約をしていなかっ た参加者には目印が分からなくなってしまった。次回以降はそのようなことが ないようにしたい。
それと、地図に「駅の出口番号」が書かれていなかったことである。これは すっかりと忘れていた。「近鉄奈良駅行基像前」ではなく、「2番出口」など と書くべきである。
原盤が完成したら、早速印刷である。
我々の場合、大学の自治会が所有する印刷機が使用できた。製版代60円で、 紙は各自持込みだが、印刷枚数は自由。こういう印刷場所は、案内状など大量 印刷を前提とするものの印刷に向いている。また少数の印刷でも、8円コピー などの店は探せば結構あるものである。そういったところで行うようにしたい。 ちなみに、今回我々は案内状を400枚印刷した。
なお余談であるが、いわゆる印刷所に頼んだ場合、500枚2000円程度 が相場のようである。印刷所のほうが当然ながら仕上がりもきれいだし、色も 結構自由に変更できる。そういった意味で、もし金銭的に余裕があるならばそ ちらも考慮に入れてみてはどうだろう。
次に、配付である。この配付にも、幾つかのパターンがある。
まず1)であるが、企画会議の席上、配付を予定していた店は「弁天堂」「Q P堂」「西田屋」「ホビット八尾」「アニメイト京都・布施・奈良・あべのベ ルタ・京橋」の9店舗であった。しかし、「アニメイトあべのベルタ店」にお いては用紙がB5サイズでなくてはならないという規定があったため、断念し ている。また「西田屋」は、場所が分からなかったため配付していない。
逆に、配付の途中で「駸々堂京橋店」に配付できることが判明し、後日配付 しに行くということもやっている。
なおここで、店舗配付の実際や留意事項をまとめておく。
店舗配付の際、「アニメイト」や「駸々堂」といった、来場者の多い場所に は50枚を一度に配付した。そしてホビーショップには30枚を配付する。ま た、店舗への確認には行ったほうがいい。場所によっては、あっという間にな くなってしまうこともあるからである。その場合には、当然ながらすぐさま補 充すべきである。また「アニメイト」などでは、左隅に穴を開けて紐を通して くることを要求されることもある。そのような作業は事前に済ませておくべき である。
次に2)であるが、これは「奈良RPG研究会」の協力を仰ぎ、彼らのコンベ ンションに参加した人達の住所一覧を貸してもらった。また、個人的な友人へ の送付などもあり、全体で40人程度に郵送した。アンケート結果によると、 これを見て参加した人が結構多かったようである。
そして3)であるが、今回はパソコン通信上における案内がどの程度効果があ るのかやや実験的な感覚で、2つのBBSに書き込みを行った。一つは「NI FTY−Serve」、もう一つは「語り部通信BBS」というTRPG専門 の草の根ネットである。それぞれから1人ずつ、書き込みを見て参加した人が いたため、一応の効果があったものと思われる。
外部への宣伝が始まると同時に(できれば事前に)、内部での体制を整えた ほうがいい。我々が「マスター・ピーアール《暫定版》」を完成させたのは3 月11日。かなり遅い。スタッフへの連絡が遅れたのと、幾人かが用紙を無く して〆切を大幅に破ったためである。
「マスター・ピーアール《暫定版》」のフォーマットは 資料6にある ようなものであった。これは「完成版」でも変更ない。また隣には「マスター ・ピーアールについて」と題する説明 資料5も添えてあった。これにより、 各GMが必要最低限の事項を記入し、しかもその中で個性あふれた紹介ができ たものとある程度満足している。ただし、今後も変更の余地は充分にありそう である。
そうして完成した「マスター・ピーアール《暫定版》」は、早速申込みをし てくれた人全員並びに「奈良RPG研究会」会員に配付された。ちなみに、何 故「暫定版」を配付したのか。それは、予約者に対する参考資料の提示、並び にコンセプトの一つ「参加者の期待を煽る」ためであった。この試みはかなり 成功している。予約者の多くが「参考になった」と答えているならば、次回以 降も続けていきたいと思う。
「マスター・ピーアール《暫定版》」と比べて、幾分評価が微妙なのが以下 の「招待状」である。
「招待状」とは、写真がプリントされた葉書サイズの厚紙に、コンベンショ ンの日時、場所、そして「お誘い」の言葉などを簡潔に書いたものであった。 本来ならば、「マスター・ピーアール《暫定版》」とは別送にして送付したか ったのだが、「郵送料がかさむ」こと、「POST CARD 」と書かねばならない手 間を考え、やむなく「マスター・ピーアール《暫定版》」に添付した。
ただ「招待状」に関しては、1つ過ちを犯している。28枚用意したのだが、 そのうちの多くを「奈良RPG研究会」の会員に対する手紙に入れてしまった ことである。本来ならば一般参加者に添付すべきものを、うっかりして先に送 付した会員宛の手紙に添付してしまったのである。次回は、もっと「招待状」 の企画自体を練り直して考えねばならないと感じている。
アンケートの結果を見る限り、かなり不評だったのがこの 予約券 である。アンケートの中でも、「小さい」「役に立たない」といった意見 が噴出していた。これについてはこちらの浅慮というほかはない。
ただこの問題は、「予約者への特典」とも絡んでくる。予約者に対し特典を 付けるとした場合、「予約券」は必要不可欠のものであるが、今回のコンベン ションにおいては予約者と当日参加者の差別化は一切図られなかった(当日参 加者にも当日参加券が渡されている)。不要論が 出ても仕方なかろう。
しかしこの「予約券」に対しては、現在名札の代わりにするというアイデア がある。名札をもっと大きくし、半券の部分の裏を名札に使用してもらうので ある。そこには事前にプレイヤーの名前を書き、ゲーム開始までと閉会式まで はその名札を付けてもらう。そしてゲーム中は、会場で配付した名札の台紙に 自分のキャラクター名を記入してもらうのである。これについてはもう少し結 論を先送りしたい。
「名札」の話が出た。丁度いい機会なので、ここでまとめてみたいと思う。
「名札」システム自体は、わりと多くのコンベンションなどで実践されてい るように思う。プレイヤー名(あるいはキャラクター名)を名札に書き、当日 の目印とするのである。この方法は、コンセプトの一つ「つながりのできるコ ンベンション」とも密接に関わるため、企画段階から導入が決定されていた。
ただ、我々は名札を買うだけの資金力もないし買ったとしてもコストパフォ ーマンスが高くなる。そこで、「奈良RPG研究会」に、後述の名簿・アンケ ートと一緒に借りる約束をしたのである。借りる約束自体はすっきりと行った。 ただ、両者の関係はその場ではっきりとさせておくべきであろう。「奈良RP G研究会」では、我々「Nara Holy Knights」を彼らの派生団体と考えて いるようである(「NHK」のスタッフのほとんどが「奈良RPG研究会」の OBであることを考えると仕方ないかもしれないが、我々はれっきとした独立 団体である)。こういったことははっきりさせておかないと、後々トラブルの 元となりかねないので注意が必要である。次回からは、名札を有償で借りるこ とも考えている。
ともあれ「名札」は借りることが出来た。そこで、あとは名札の中に入れる 「台紙」である。これは文具屋へ行けば購入できる。早速スタッフのうち数人 が集まり、文具屋で台紙を購入してきた。参加者の好みも考え、色を4種類用 意した。
ただ注意しなければならないのは、当日の挨拶のなかでこの「名札」システ ムの意義を説明することである。会場では名札を見えにくいところに付けたり、 付けていなかったりした人も幾人か見受けられた。私の手落ちである。
「奈良RPG研究会」から借りたものは、「名札」以外にもある。「名簿」 と「アンケート」である。
「名簿」は、「奈良RPG研究会」が行ったコンベンションに参加した人の 住所録である。それを基にして、我々は「マスター・ピーアール《暫定版》」 などを送付した。これについて「名簿を流用されて不快だった」といった反応 が少なかったのは幸いである。
そして「アンケート」とは、「奈良RPG研究会」が行ったコンベンション でとられたアンケートの原盤である。これにより、我々はコンベンションでの 問題点などを洗い出し、検討した。
さて、いよいよコンベンションの直前である。4月5日、私はスタッフに対 し、 最後のお願いと題した紙を配付した。内容は、 当日の集合 場所と時間、GMとスタッフに対するお願い、金銭に関することなどである。 が、これでは不十分だったことがコンベンション当日判明する。スタッフの多 くが、入場料や会場整理などについて戸惑うという事態が発生したのである。
これは純粋かつ完全に、私のミスである。あまりにも私が1人で事を決しす ぎたために、末端に情報が充分行き渡らなかったのである。このようなことを 防ぐには、「スタッフの話し合いの励行」以外になかろう。次回への痛烈な課 題である。
スタッフ集合は、午前9時、近鉄奈良駅2番出口上であった。当日の朝方は しとしとと雨が降るあいにくの天候であったが、この時間になるとほぼ雨はあ がっていた。さらに日中には晴間も広がった。
私は、集合時間のちょっと前に近鉄電車を使って奈良駅に向かった。理由は ただ一つ。荷物が多かったからである。
当日、私が用意していったものは非常に多岐に及ぶ。旅行鞄1つとショルダ ーバック1つ、さらにナップサック1つ分と言えばおわかりだろうか。が、そ の中身のうち代表が持っていかなくてはならないというものは、実は少なかっ た(事前にスタッフに振り分けておけばよかっただけである)。ちなみに、当 日の鞄の中身は、
さて、そのような大量の荷物を抱え、偶然出会ったスタッフの1人とともに 私はコンビニへと立ち寄った。ジュースを購入するためである。当時私は、お およそ成立するテーブル数は7テーブルと見ていた。そこで、予備も含めて8 本のペットボトルを購入する。その種類は、できれば多岐に渡っていたほうが いい。なお、ペットボトルはゴミの処理に困ることがある。専用のゴミ袋を用 意したほうがいいかもしれない。
なお、スタッフの中には前日徹夜したものもいた。また、朝食を摂ってこな かったものもいる。スタッフの体調の不備による失敗は、決して許されないこ とを理解しておいてほしい。
さて、スタッフが揃ったところで、我々は奈良県文化会館に移動した。まず 受付に「文化会館使用承認書」を提示する。鍵を借り受けたら、早速使用する 「集会室A&B」の鍵を開ける。ちなみに、集会室は会館の2階にあるため、 参加者の中には場所が分からずとまどった人もいたようである。「案内状」に 会館内の地図も添付すべきであろう。
鍵を開け、とりあえず荷物を置く。9時15分ごろ。じつはこの段階で、参 加者が1人来ていた。開場は10時となっていたが、急遽その場で開場してし まう。「開場時間」の問題は、その意味で難しい。今回のコンベンションを見 ていても、10時前には幾人もの人が来ていた。そういった人を廊下に待たせ ておくのは気が引けるし、会館にとっても迷惑であろうから、開場を早くした。 しかし、実際には会場準備が整ってから開場したほうがよかったのではないか。 スタッフの中にはそこで朝食を摂っていたものも大勢いたし、受付その他への 指示もできていない。第一、会場設営すら始まっていないのである。そういう 状態での一般参加者の存在は、はっきりいって邪魔である。ただし、「手作り コンベンション」というコンセプトからすれば、そういった一般参加者にも会 場設営を手伝ってもらったほうがよかったかもしれない(ただし、スタッフが 一生懸命働いていることが前提。スタッフが動かないのに参加者に動いてくれ とは言えまい。これも、事前連絡を欠いた私の致命的ミスであった)。
受付を数人に任せるが、連絡不備のまま任せてしまい、大いに失敗すること になる。受付は参加者の第一印象だから、しっかりと連絡をしておくべきであ った。ただし、決してそこに代表が座ってはならない。なぜなら代表は、会場 設営・送迎班の手配など、いろいろと心を砕くべき問題が存在するからである。 代表はあくまでも全体の統括者であることを忘れてるべきではない。
テーブルは、最初に格子状に並べた。最初からテーブルを間引く必要があっ たかもしれない。が、あとからテーブルを動かす手間を惜しまなければ、その 方が参加者にとって開会式までのあいだに座るスペースが増え、良かったのか もしれない。これはどちらともいえない問題であろう。ともあれ「荷物置場」 は最初のうちにつくっておく方がいい。あちこちに乱雑に荷物を置かれるのは、 雰囲気的にも空間利用の点からもあまりよろしくない。
次に、「送迎班」について書いておく。今回は、「旗」と「Nara Holy Knightsコンベンション」と書かれた紙を持って、駅前に立ってもらった。参 加者のうち会場までの道のりがわからない人などの役に立てばという配慮であ る。が、目印について今回「案内状」に記入できなかったせいか、あまり効果 はなかったようである。また、参加者の立場からすれば「結構恥ずかしい」も のらしい。しかし、案内は配置したほうがいいだろう。実際、スタッフを遠巻 きにしながら、その後ろにこっそりついてきた参加者もいたようである。なお、 スタッフや参加者にとってみれば、「紙」を持って立つスタッフは結構嫌なも のらしいので、次回からはスタッフの腕章と旗を併用し、それを「案内状」に も記載するようにしてみたい。
それと、入場した参加者についてであるが、中には1人で来て1人でぽつん と座っている人もいた。そういう参加者に対しては、スタッフの余裕のある範 囲内で他の参加者との会話を促すなどの行動をしたほうがいいのではないだろ うか。検討してみたい。
11時ちょっと過ぎ。いよいよ開会式が始まる。
まず、代表並びに当日のGM全員が前に整列する。そこで手を打ち鳴らし、 会場を静めてから開会を宣言する。「ファンファーレ」や「ブザー」といった 演出も考えたが、今回は見送った。
開会宣言のあと、代表挨拶。これについては、決して長すぎてはいけない。 要点を簡潔にまとめ、かつはっきりとしゃべるように心掛けたほうがいい。そ のためにも、要点をまとめたメモ程度は用意すべきである(完全に下書きしろ とは言わない。下手にそのようなことをすると視線が下がってしまうため、参 加者に対し良い印象を与えない)。なお話した内容は、いわゆる時候の挨拶、 参加に対する謝意、当コンベンションのコンセプト等である。
次に、諸注意を行う。これは単に、この後「マスター紹介」があり、その直 後に参加者に各テーブルへと分かれてもらうため、先に済ませておいた方がい いと考えたからである。ここで話したことは、単に一般的な常識程度のことで ある。詳しく言うと、
それからもう一つ。今回は代表が「開会宣言」「代表挨拶」「諸注意」「マ スター紹介の司会」などを行ったが、これは参加者から見てだらだらとした進 行に見えなかっただろうか。心配な事項の一つである。「開会宣言」「代表挨 拶」などは当然代表が行うべきであるが、「総合司会」が存在してもよかった のではないか、等と考える。総合司会によりプログラムが進行したほうが、引 き締まってみえたのではないか。今後検討してみたい。
諸注意が終わって、次に各GMによる「マスター紹介」が行われた。
基本的には、今回用意したテーブルのGM全員が前に出てきて、自己紹介と ゲーム紹介を兼ねて30秒程度話してもらう、というものである。「マスター ・ピーアール」だけでは分からないGMの人柄やゲーム内容などを、参加者に 理解してもらう一助になればと思い導入した。
ここで各GMに注意したことがある。今回のGMはほぼ全員がスタッフ(ゲ ストGMは1名のみ)であったため、「内輪受けギャグの禁止」「内輪の突っ 込みの禁止」を厳命した。内輪ネタは基本的に内輪でだけ盛り上がり、参加者 が逆に白けてしまうからである。また、今回はGMの多くがGM経験の豊富な 人物であったため特に影響はないものと判断し、「初心者だから……」「拙い 腕ですが……」という言葉も禁止した。これも参加者に不快感を与えないよう にとの配慮である。ただ、本当に初心者のGMに対してまでもこれを適用する のは酷という気もする。そこで次回からは、「マスター・ピーアールには『初 心者』という記載をしてもよい(マスター紹介では禁止)」あるいは「マスタ ー紹介のときに、初心者GMコーナーを設けてそちらで言ってもらう(初心者 コーナーなのだから、やはり『初心者だから……』という台詞は禁止)」など という改善をしてみようかとも思う。
「マスター紹介」の時に思ったのだが、「開会式」並びに「閉会式」におい て、マイクは必需品である。声が後ろまで届かず、後ろのほうに座っていた参 加者が苦労していた。今回は用意しなかったのだが、会場側でワイヤレスマイ クを有料で貸してくれる。次回からはそれを用意するようにしたい。
「マスター紹介」が終わったら、GM全員に広がってもらい、参加者に「参 加したいテーブルのGMさんのところへ行ってください」と言う。当然わっと 分かれるのだが、GMが全員前に並んでいるのでは非常に混雑する。部屋の壁 をぐるりと取り囲むような感じで広がったほうがよいだろう。また、「どのG Mが何のゲームをするのかわかりにくい」という声も聞かれた。これは大いに 改善しなければならないだろう。
テーブルに分かれてからのことだが、その場ですぐに決まってしまうことに ついては果してどうだろうか。15分程度の移動許可時間を決めて、プレイヤ ーに自由に各テーブルを移動してもらい、取捨選択してもらった方が親切では なかろうか。ただし、この方法は「会場が混雑する」ことと「時間の無駄が多 い」こと、さらに「GMがいつ参加者を区切ったらいいのかわからない」とっ たデメリットがあるため、あまり薦められるものではないようにも思える。
代わりに、こういう方法を考案した。開場したときに、各GMは既にテーブ ルに座っていてもらう(そこが実際のテーブルになるわけではない)。無論、 どのようなゲームを行うのかは明示しておく必要がある。そこを、各参加者は 自由に移動してもらい、じかにGMや他の参加者とも会話をしてそのテーブル 並びにGMの雰囲気を掴んでもらうのである。これだと、「マスター紹介」後 に移動する方式に比べよりスムーズ且つ内容のあるテーブル選択が可能になる だろう。さらにこれには、「早く来た参加者を退屈させない」「マスター紹介 よりも効果的に各GMの人柄などがわかる」といった利点があるし、突き詰め れば「マスター紹介」すら不要なシステムとまでなるのではなかろうか。これ については、大いに議論を重ねてゆきたい。
さて、参加者に各GMの下へと分かれてもらった。ところが、ここで大いに 問題となるのが、「中途半端な参加者数のテーブル」の問題である。今回は半 ば強引に私のテーブルを解散して参加者に移動してもらったが、これについて 効果的な解決方法は未だ考えつかない。なお、参加者人数などの要望があるG Mについては、特に主催者側としては何も用意しないほうがいいように思える。 「マスター・ピーアール」や「マスター紹介」などの折りに、自主的に申し出 るようにしてもらいたい。
何とかテーブルへの割り振りが終了した。が、各GMは最初に自分が座った 机にそのまま座り、準備を始めた。これは私も後から気づいた問題であり、参 加者に対して全く申し訳なかったと思っている。つまり、「隣のテーブルとの 距離が保てない」という問題の解決を失念していたのである。
今回のコンベンションでは、7テーブルが成立した。一部では、近くにテー ブルがなく伸び伸びとプレイしていたテーブルがあったのに、別の一部ではテ ーブルが隣り合い、お互いの音が混じり合ってしまったテーブルが存在した。 これについては、会場のスペースの利用方法を間違えた(あるいは調整しなか った)ミスである。次回からは、成立したテーブルでキャラクターシートなど を広げる前に、テーブルを移動してもらうなどの対応をしなければならないと 考えている。
参加者に対して、我々はペットボトルのジュースをサービスとして提供した。 多くのテーブルではそのジュースを午前中に消費してしまい、午後からは飲み 物がない状態になっていた。また、会館内並びに会館近くに、自動販売機も存 在しない。そこで、急遽ペットボトルのジュースを購入に走った。午後の分は、 後ほど買いに行ったほうがいいだろう。会場に冷蔵庫がなく、また自分達で冷 蔵された状態を維持することは難しいからである。なお、ジュースのサービス については、テーブルを順々に廻って「お好きなものをお選びください」とい う方式を採用したが、他にも「テーブルで協議の上取りにきてください」とい った方式や「ここのテーブルはこれにします」という強制式などがあるだろう。 しかし、前者はテーブルのゲームプレイを中断させてしまうし、後者は参加者 からの不満がくすぶることになりかねない。とはいえ、我々が採用した方式に おいても「最後のほうには選択権がない」というデメリットがある。一番良い 方法は、午前の部はともかく午後の部においては、「テーブル毎の協議で自分 たちのテーブルのジュースを決める」方式であろう。ただし、店の都合などに より必ずしも希望に沿いかねるところもあろうし、また今回は会計への圧迫を 避けるため「安いもの」をある程度優先して購入してきた。そのようなことを 総合して、今後検討しなければならないだろう。
次に、「庶務」である。
ここで言葉を強くして言っておきたいことがある。「受付スタッフと代表は GMをやってはならない」ということである。少なくとも私はそう信じる。そ んなに人数はいらない。受付も1名専属がいれば充分である。何故なら、代表 はコンベンション全体の統括者であり、時間管理やトラブルへの責任ある対処、 その他庶務の監督をしなければならないからである。代表がGMをやっていた のでは、とてもそのようなことはできない。「そのような仕事は手の空いたス タッフがやればよい」という考えもあろう。が、最終的責任者はやはり厳密且 つ明確に決定しておいたほうがいいし、いつ発生するか分からないトラブルや その他あらゆる庶務を円滑に処理していくためにも、最終責任者はGMをやら ないほうがいいだろう。「受付」もそうである。コンベンションにおいて、遅 刻してくる参加者は必ずいる。また都合があって早退する参加者もいよう。そ ういった人々に対し丁寧な応対をする「受付」は絶対に必要であろう。この受 付専属スタッフは、できれば当日の受付責任者として開場から閉場までの受付 業務を統理するのが望ましい。
また、その他の手の空いたスタッフは、2〜3名を除いて参加者の足りない テーブルに加わることが望ましい。スタッフが何人も開場の一角に溜まってい る姿は、はっきり言って怠惰以外の何者でもない。その際には、スタッフとし ての仕事を行う必要はない。各テーブルのゲームに専念すべきである。そして、 2〜3名の残ったスタッフは、代表と共に動く庶務係となることが望ましい。 GMをしないからといって、仕事が全くないわけでは決してないのである。手 の空いたスタッフは、代表と一緒に庶務を行い、トラブルに対処していかねば ならない。また、代表が会場を離れることはあまり望ましいことではない。今 回はスタッフの手が足りなかったため代表自らが午後のジュースの買い出しに 行ったが、このような事項も他のスタッフが行ったほうがいい。
さて、次に休憩である。テーブル毎に分かれ終わったのが11時30分頃だ ったから、休憩などは各自バラバラに取ることとなった。早いところでは12 時前に休憩を取っていたし、平均では1時頃から、中には「休憩を挟む間もな かった」というテーブルもある。
休憩時間は、基本的に各テーブルの都合で決めてよい。ただし、「つながり のできるコンベンション」というコンセプトから考えるに、休憩時間は他のテ ーブル参加者との親睦を深める絶好の機会であろう。ならば、休憩時間として 各GMに「午後0時から午後2時までの間に、休憩を1時間挟むこと」といっ たお願いをするべきであったかもしれない。それと、休憩は各テーブル毎で必 ず取るべきである。トイレへ行く人や食事をする人が困るからである。
また、参加者からの要望に「会場周辺の地図が欲しい」というものがあった。 会場周辺の地理に不慣れな人達が会場の外へ食べ物を買いに行ったとき、道に 迷わなくとも済むように、あるにはどこに何があるのか見当がつくように、そ ういった用途の地図を作成してほしいというのである。これについては、次回 以降かなり前向きに検討していきたい。食べ物屋やコンビニ、あとはちょっと した娯楽関係の店(ゲームセンター、本屋、レコード店など)を紹介するのも いいだろう。
まず寄せ書きであるが、 これは各テーブル毎に好きなこと を好きなように記入してもらうという趣旨で作成したものである。ただ、最初 のうち配付を忘れていて、午後に慌てて配付する(そのため、各GMにも充分 な説明がなされていない)という手痛いミスを侵してしまった。スタッフの側 としては「必要ない」という意見もあったが、どうやら参加者の側からはなか なか好評のようだったので、また次回も行いたい。ただし、次回行うとしたら、 各GMに対し「今回の予定されていたシナリオ」並びに「今回の展開」を書い てもらい、寄せ書きと見開きにして印刷・製本するようにしたい。そうした方 が、他のテーブルの実態がよくわかっておもしろいだろう。
次に、「冒険の記録」欄である。これは、同じテーブルの参加者が、当日の 自分のキャラクター名並びに自分に対する一行メッセージを書き、他の参加者 (GM含む)のキャラクター名・プレイヤー名・住所(任意)・一行メッセー ジを記入してもらうというもので、言わば「セッション・カード」の代わりと して用意したものである。「つながりのできるコンベンション」という趣旨に 沿って用意したものだが、これはすごぶる好評であった。今後も続けていきた い事項の一つである。
閉会式は、5時からの予定であった。が、テーブルによっては早々にゲーム が終了してしまったところもある。そういうテーブル用に、私はトランプとカ ードゲームを1組ずつ用意しておいたのだが、これはすぐに貸し出され、なく なってしまった。幸い今回は別のスタッフが何組か持ってきてくれていたので 足りなくなることはなかったが、各GMが何も持ってきていなかったのには驚 かされた。もし自分のテーブルが閉会式までに終了した場合、その間をどうす るつもりだったのだろう。
ただ、カードゲームにも問題点がある。トランプと違い、様々な使用方法が できないカードゲームは、それ独自のルールを知っている人が参加者中少なく とも一人は必要ということである。幸い今回はルールを熟知している人がいた からよかったものの、さもなくばカードゲームは使用できないところであった。 次回からは、各GMが責任を持ってトランプやカードゲーム、簡単にできるR PG(「RPG福袋」など)を持ってくるように心掛けてもらいたい。
また、テーブル終了後閉会式までは、終わったテーブル間でならば移動を自 由にしたい。流石に終了していないテーブルに遊びにいくのは迷惑だが、終了 したテーブルなどでトランプやRPGを行っている場合には、そこに別のテー ブルの参加者が加わってもいいだろう。今回見ていると、何故かそのテーブル の参加者だけでかたまってしまっているので、できればより開放的にトランプ などを行ってもらいたいと思う。
なお、この時間は「冒険の記録」欄や「寄せ書き」の記入時間ともなってい た。また、「アンケート」に答える時間ともなり、ゲームの余韻覚めやらぬ中 参加者はわいわいと記入していたようである。
最後に、時間以内に終了しなかったテーブルが少数ながら存在した。延長時 間は大したことなかったが、できれば制限時間内に終了してもらいたい。もし かしたら、早く帰らねばならない人がいたりするかもしれないからである。
5時ちょうど。私は「後片付け」を行うよう全員に頼んだ。スタッフにでは ない。スタッフを含めて、参加者「全員」にである。
これは、コンベンションのコンセプト「手作り」に基づくものであった。参 加者全員で会場の後片付けをする。それにより、「手作り」のコンベンション として参加者の連帯感を高めようという狙いがあった。また、後片付けの際に 参加者が会話に夢中で、それら参加者を疎ましく思いながらスタッフだけで後 片付けをする、というコンベンションで時折見かける図式を変更したいという 思惑もあった。ただ、終了間もないテーブルなどでは「寄せ書き」や「冒険の 記録」の書き込み作業が続けられており、決して全員がすんなりと動けたわけ ではない。また、会話を続けて片付けの邪魔になる人が全くいなかったわけで もないが、それは仕方のないことであろう。むしろ、スタッフへのコンセプト の不徹底が、ここでも問題となった。こういった場面においては、スタッフが 率先して活動すべきであろう。
閉会式は、5時20分頃から始められた。元通りに並べた椅子に、参加者に 着席してもらう。そしてその後は、「マスター講評」が行われた。
「マスター講評」とは、各GMが自分のテーブルのプレイヤー1人を連れて 前に出、まずはGMから、今回のシナリオ展開や名(迷?)場面について短く 語ってもらい、次にプレイヤーから同じように視点を変えて話してもらうもの である。なかなか好評なので続けていこうと思うが、やはりこの際にもマイク の必要性を痛感した。後ろのほうには聞こえにくいのである。
次に、他サークルからの宣伝などのコーナーがあった。今回は「奈良RPG 研究会」の宣伝のみであったが、その宣伝を行ったのが「奈良RPG研究会」 の代表から委任された「Nara Holy Knights」のスタッフの一人であった のは大いに問題があったように思える。如何に宣伝内容に対し我々は責任を負 わないとしたところで、やはり何かのトラブルが発生することは極力防止した い。そこで、次回以降からは「代表、あるいは代表委任者(そのサークルに所 属している者に限る)」あるいは「代表の書いた原稿を代読する」という形の みにしていきたい。無論、スタッフの関与は一切禁止すべきであろう。また、 その「宣伝コーナー」については、「マスター・ピーアール」などでもほとん ど触れられていないため、その存在をしらなかった参加者も大勢いたのではな いかと推測する。次回以降は案内状の段階から「宣伝コーナー」の存在を明記 し、その活性化を図るべきであろう。
そして最後に、「代表挨拶」が行われた。これについても、原稿を作ってお くべきだったと非常に後悔したが、話した内容は基本的に、今回のコンベンシ ョンのコンセプトとその結果についてである。そして最後に、「閉会宣言」を 行い、今回のコンベンションは終了した。
「閉会宣言」の後も、実はいろいろと仕事があった。
まず、参加者につけてもらっている「名札」の返却についてである。これは、 帰り際に出口でスタッフに渡してもらうこととした。同時に、部屋に残ってい た参加者に対してはスタッフが直接回収して歩いた。
次に、「二次会」についてである。二次会には、会館近くのカラオケ屋を選 択した。ただ、予約を行わなかったために、後々非常に苦労することとなる。 カラオケ屋などの二次会の会場には、予約をしてから行くようにすべきである。 また、別の二次会などを行いたい人がいたかもしれない。その場合は、「宣 伝」のコーナーなどで触れてもらえるようにしていこうと思っている。
それと、厄介な問題の一つに「ゴミ」がある。分別回収したゴミだが、会館 においてはその処理は「有料」である。そこで我々が行った方法は、「缶・ビ ン類」は近くの自動販売機の空き缶捨場に捨て、それ以外のゴミは近くのゴミ 集積場に捨てるということを行った。あまり薦められる方法ではないので、代 表はゴミの処分方法も考えておくべきだろう。
そして最後に、会場の退館である。我々は、終日(午前9時から午後9時ま で)会館の利用許可を取っていた。が、会館を後にしたのは午後6時であった。 理由は、「二次会に行くグループの退館」並びに「遅くまで会場に残ることに よるトラブルの発生防止」並びに「片づけた会場が再び汚れることの防止」で あった。
「二次会に行くグループの退館」についてであるが、我々はスタッフ数が少 なく、しかもその多くが二次会に参加することになっていた。そのために、会 場に最後まで責任を持って残れるスタッフがいなかったのである。
「遅くまで会場に残ることによるトラブルの発生防止」並びに「片づけた会 場が再び汚れることの防止」とは、根を同じくしている。夜遅くまで会館に残 っている場合、スタッフもそこに残っておらねばならず、当然トラブルが発生 した場合の対処なども行わねばならない。遅くまで残ってその帰りに何らかの トラブルが発生した場合には、我々とても幾分の責任があろう。また、会場は すでに後片付けも終了しているので、新しくテーブルを組んだり部屋での飲食 は慎んでもらいたかったのである。
以上の見地から、6時前に会場を閉め、二次会へと向かったのである。ただ 気をつけたいことは、「部屋から参加者を追い出す」ようなことはしてはなら ないということである。昔とあるコンベンションで、スタッフが参加者を強引 に部屋から押し出すという場面に遭遇したことがある。そのようなことは決し て行いたくなかった。そこで、参加者に事情を説明し、会場を閉めたのだが、 今から思えばもっと丁寧に応対すべきだったかもしれない(閉会式の中で触れ るなど)。次回以降はもっと考えようと思う。
今回のコンベンションで、我々はアンケートを2回とった。「開会前」並び に「閉会後」である。これは、「Nara Holy Knights」のコンベンション についての参加者の意見を伺うためである。必要な事項などを吟味し、それな りに意義のあるアンケートになったことと思われる。詳しい事項は、資料をみ てもらうことにして、以下このアンケートについてまとめてみたい。
この「開会前アンケート」は、参加者の第一印象や当日までの動向を調査す る目的で行われた。参加者に、受付と同時に渡し、各テーブルでゲームが始ま る前に各GMに回収してもらった。
これをみてわかることは、「店頭で『案内状』を見た」という人が意外に少 ないということである。ただしこれについては、「店頭でも見たが郵送されて きた『案内状』があるから取ってこなかった」という人や、「友人・知人が取 ってきて、それを見せてもらった」という数が入っていないため、店頭での案 内が一概に「全く効果がなかった」とはいえないように思える。
その「郵送」についてであるが、多くの人が「不快・迷惑」よりも「うれし かった」と答えているのがうれしい。「案内状」に添付した私信に、「奈良R PG研究会のご協力で……」という一文を添えたせいであろうか。
また、今回のコンベンションの時間についてであるが、これだけは「閉会後 アンケート」でも触れた質問である。何故なら、「開会前の意識」と「閉会後 の実感」の違いを明確にしたかったからである。それによると、今回のコンベ ンションについては、幾人かが開会前ではこれでよいと思っていたが、閉会後 には変更したほうがいいと感じていることがわかった。特に、開会時間を一時 間前の午前10時からとしてもらいたいという意見が目立つ。実際、ゲーム時 間が短いという意見は多かったので、次回からは時間枠も変更するものと思わ れる。
「マスター・ピーアール」は、暫定版・完成版ともに大変好評であった。こ れにより当日のゲームの種類並びにGMの人柄がわかったという意見が多く、 中には「目玉商品になる」とまで言う参加者もいた。これについては次回以降 も行う予定である。
それに比べて「予約券」の評判は芳しくない。理由は 予約券に 書いたとおりである。これについては、「予約券」並びに「予約者」への付加 価値を付けることで対応したい。
また、今回のコンベンションにおいては各GMにそれぞれ自分の好きなゲー ムを行うように言った。よって、特にスタッフ内で協議したことはない。お蔭 で、一部で「マイナールール・コンベンション」とまで言われたが、アンケー トの結果を見る限りそんなに不評ではないようである。ただ、初心者などへの ゲーム内容による配慮があればよいという指摘もあった。しかし、我々が何故 そのようにしたのかという理由は、「普段参加者がやっているゲームとは異な るゲームの魅力を感じてもらう」ことであった。コンベンションは、いつもの GMやいつものプレイヤーとは異なった人々と一緒に、いろいろなルールでゲ ームをすることが魅力なのではないだろうか。そのような観点から我々は「ソ ード・ワールドを禁止」して、「各自好きなゲームを選んでほしい」という指 示を出したのである。そのような意味合いから見て、今回のゲーム選びはよか ったと言えるだろう。ただし、次回以降はもっと検討を重ねたいと思っている。
「閉会後アンケート」は、各テーブル終了後に書いてもらったものである。 その内容は、コンベンション全体の印象や各テーブルの印象などを聞くもので あった。アンケートを見るかぎり、多くの人が満足しているように思われる。 ただこれを見る限り、「会場の雰囲気がよかった」とか「大したトラブルもな く進んでよかった」「何となくこんなものだろう」といった発想による得点が 多いように思える。我々の目標は、「2.まぁ良かった」を「1.非常に良か った」に変えていくことであろう。
私が特に注目しているのは、「スタッフ」に対する回答である。ここの部分 のみ、「2.まぁ良かった」という回答数が多い。これがどういうことである のか、私はいま一つ考えあぐねている。ただ言えることは、スタッフの対応は これから重点的に検討していかねばならないということである。
ではここに今回のコンベンションの収支並びに支出 を報告する。 見てのとおり、大変な赤字である。が、コンベンションを行うにあたって利潤 を追求するのは、果していいことだろうか。もし今回の参加人数で利潤が出る ようにするならば、参加料を1000円以上にしなければならない。そのよう なことは、コンベンションを行う上でまさに本末転倒な行為といわざるをえな い。なお今回は、赤字分のうち代表並びに中心スタッフ2名が5000円ずつ を支払い、残りのスタッフが2000円を負担する(端数は代表負担)という システムを取った。これについてもいろいろと批判・不満が出た。大まかな会 計見積もりは、企画の段階からやっておいたほうがよい。
ただ言えることは、次回以降はもう少し支出が減少するだろうということで ある。まず「旗代」がなくなり(恐らく「腕章代」が増えるだろうが、大した 額ではない)、手紙代が大幅に減少する見込みだからである。今回は春休みと いうこともあり、「奈良RPG研究会」やスタッフに対する連絡も手紙に頼っ た部分が多かった。そのような手紙がなくなる分、手紙代の大幅な減少が見込 まれる。また印刷代その他も、より効率のよい方法をとることにより減少が可 能であると私は思う。よって、今後赤字幅は減少するだろう。
それでは、これからは今回の問題点とそれに対する次回以降への展望につい て触れてみたい。これらの問題は複合的に絡み合い、決して単体で述べられる ものではないため、総合的に述べてみようと思う。
まず、今回の最大の失敗点は、「コンセプトの不徹底」であった。コンセプ トについては、私自身の内部ではいろいろと考え、検討し、そして深めていっ たのだが、それを他のスタッフに対し説明しなかったことがそもそもの問題で あった。スタッフ内部で徹底できていないコンセプトが、外に向かって発信で きようはずもない。次回以降は、企画段階からスタッフの連絡・参加を密にし、 コンセプトの徹底、並びに「手作り」の追求を行いたい。
そこで、次回以降のことであるが、スタッフの新規採用を行うつもりである。 「奈良RPG研究会」とは全くの別組織である「Nara Holy Knights」と して、新規にスタッフを募集するのである。それにより、より種類の多いゲー ムの用意が可能となり、かつよりきめの細かいスタッフ対応が可能になるだろ う。
その「手作り」についてであるが、今回は代表自らがいろいろとやりすぎた ように思う。無論、代表が行うべきことはたくさん存在する。しかし、代表が 行う必要のない事項も、非常に多かったのである。例えば、「マスター・ピー アール」の編集・製本作業や手紙の発送作業などはそのいい例であろう。これ については、次回以降は各スタッフの役割分担を決め、それにより動いてもら うつもりでいる。
そのようなことを行うにあたり、当然に要求されるのが「マニュアル作り」 であろう。細かく作る必要はないが、要点をまとめ、いちいち代表が指示をし なくとも各人の作業が可能な環境の創造を行うべきである。そしてそれにより、 同時に「きめ細かい問題点の洗い出し」並びに「それの解決」を図るべきであ ろう。
では、会場の問題と時間の問題である。
会場については、近鉄奈良駅という交通条件を主に考える必要がある。近鉄 線の終点であるため、どの方向から参加するにしてもやや遠いという印象は免 れえない。また、これにより参加者数が伸び悩むのではないかという指摘もあ った。しかしこれについては、全く問題ないように思う。何故なら「奈良RP G研究会」のコンベンションには、同じ会場で60名弱の参加者が存在したの だ。要は、宣伝の仕方なのではないだろうか。
時間についても、今回はまったく足りなかったことを鑑み、次回以降は1時 間繰り上げて午前10時から始めるということにしたい。
次に、内部で検討されてきた「MTS」の問題並びに「大規模コンベンショ ン」についての展望並びに問題点を述べてゆきたい。
「MTS」についてであるが、これについては純粋に「経験不足」としかい いようがない。私個人としては、コンベンションにおいて大いに目玉的存在と なりうる企画であると信じているし、よって非常に強く企画を支持したい。が、 スタッフの中にはこれについてかなりの温度差が存在することもまた事実であ る。ならば、一度内部で検討し、馴染みの深い「奈良RPG研究会」のメンバ ーあたりを参加者として、小規模にテストプレイを行うべきではないだろうか。 それにより、「MTS」に対する問題点も明らかとなろう。それからコンベン ションに導入するか否か、導入するならば参加予定人数はどうするかという実 質的な話を初めてもいいように思える。
それと「大規模コンベンション」についてである。これは、「100名から 150名程度の参加者を要するコンベンション」という企画である。が、果し てこれが実行可能な企画なのかという点においては、私個人としては大いに疑 問を感じるし、また同時に不満も多い。まず第一に、それだけのコンベンショ ンを行う上でのスタッフの確保である。それだけ大規模なものとなると、当然 ながら「Nara Holy Knights」だけでは不可能である。が、他のサークル に協力を要請するとしても、まず我々の内部で充分な協議も行われていない状 態で一体どのように協力を要請しようというのか。また、他サークルに協力を 要請するならば、当然我々がその総代表として大いに活動しなければならない が、まず我々自身そこまでの統率能力を有しているのか。同時に、他サークル との連絡・協力体制をかなり密にしなければならないだろうが、果してそれが 可能なほど我々に時間が存在するのか。「Nara Holy Knights」の主たる スタッフは、ほとんどが大学4年生である。そのようなことをするほど時間的 に余裕のある主要スタッフが、果して存在するのか。それに、「大規模コンベ ンション」が企画された底流には、「スタッフ・参加者がともに少ないから、 スタッフの金銭的負担が大きすぎる」という考えがあった。しかし、次回から はスタッフが大幅に増え、同時に参加者の増加も見込まれる現在、そのような 考え方は意味がないのではないだろうか。また、個人的な話になるが、私の理 想とするコンベンションはあくまでも「手作り」である。「大規模コンベンシ ョン」にそれを反映させることが、果して可能なのであろうか。
そのあたりを考えるとき、「大規模コンベンション」は我々の手にあまる存 在として、企画を却下したほうが無難と思われる。
最後に、コンベンションとは何かを、ここで改めて問いたい。
コンベンションとは、参加者が金銭を払ってまでRPGをしに来る場である。 そこにおいて、我々スタッフがその参加者に報いるよう精一杯の努力をするこ とは当然である。が、努力して作り上げたものが、単なる「入れ物」では、こ れほどつまらないものはない。それならば、参加者が自宅で知り合いとRPG していることと何も変わらないではないか。私は、コンベンションはそこでし かできないこと、そこにしか存在しないものを追求するための場であり空間で あると信じている。同じ趣味を持った人々と知り合うこと、他の人のプレイス タイルを知ること、自分の知らないゲームに参加すること、そしてそれらを通 じ、より自らを切磋琢磨し今後に活かしていくことが、コンベンションに来る 参加者の目的であり同時に醍醐味でもあろう。
それを考えるとき、自然我々「Nara Holy Knights」が目指さねばなら ない結論は現れているのではないか。そして我々は、それを具現化するため、 コンベンションを行うのではないだろうか。
我々はこれでいいとは考えていない。より素敵な、より理想的なコンベンシ ョンがあることを信じ、今後もそれを実現すべく努力していくだろう。
以上、かなり好き勝手に書いてきた。これについて様々な感想を持たれたこ とと思う。共感もあろうし、反感もあろう。それは結構なことである。ただ、 できればこれに対する感想・意見など、大いに聞かせていただきたい。私はそ れについて、最大限耳を傾けるつもりでいるし、今後に大いに反映させていく つもりである。
1996年5月8日 「Nara Holy Knights」代表 菅原 信道 NIFTY-ID :VEJ06030 語り部-ID:SW0105 【Special Thanks 】 柿田 克巳 木村 滋計 小石 敏之 近藤 潤也 坂井 洋一 島田 哲郎 常盤 真樹 中村 竜樹 林 清己 松友 征司 宮村 篤史 「奈良RPG研究会」 (敬称略) 【参考文献】 『女の子だってRPGしたいんだもん!』冒険企画局、1995年、 富士見書房 『やっぱりRPGが好き!』近藤功司/冒険企画局、1992年、富士見書房 『粋なゲーマー養成講座』朱鷺田祐介、1996年、アスペクト 『おこんないでね』田中としひさ、1996年、アスキー