◇◆ブリティッシュ・エアライン機内食◆◇ |
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駆け足旅行では、かなりの時間を機内で過ごすことになります。 往路の夕食は2つのメニューの中から、牛肉メニューを選びました。狂牛病騒ぎで、イギリスの牛肉市場はまだ後遺症があるだろうなあと思いながら、固まりを口にほうり込んでみます。狂牛病対策の調理法なのか、加熱過剰。エキスも香りもすべて飛んでしまい、味覚の上からは牛肉であることは判別できません。「熱いので気を付けて」と声をかけてくれたスチュワーデス嬢がとびきりの美人だったので、まあいいか。男ならずとも、1万人に1人くらいの美人を間近に眺めれば、おばさんだって気分はバラ色になります。頼めば、いくらでもサービスしてくれる飲み物も一通り、飲んでみることにしました。ビール、ウィスキー、赤ワイン、白ワイン、トマトジュース、コーヒー、紅茶、ウーロン茶、機内には色々な飲み物が用意されています。ワインは、白はドイツ、赤はフランスのものでしたが、味を云々してはいけません。 復路の機内ではさすがにお米を食べたくなって、和食メニューを選びました。けれども、ご飯の他に、米は主食ではないという英国人の感覚からでしょうか、パンも付いていました。メニューに色々な冒険をしてみることはいいのですが、これは明らかにミスマッチ、寿司にサラダを取り合わせた寿司レストランを思い出してしまいました。食事では全体のバランスが大切です。食べたいものが順序よく出てくることが味覚を満足させるためには必須条件なのです。制限の多い機内食で、しかもエコノミークラスなのだから、仕方がないことでしょうが、セブンイレブンのお弁当の域まではもう一工夫です。 それにしても、復路で、ビールと頼んだのに、連れには普通のビール、私にはノン・アルコールビールが渡されました。おなかが膨れるだけのノン・アルコールビールなど私は好きではないのです。最近、売り出している「ファーストレディ」なんて女性向けのビールも、腑抜けた感じで嫌いです。ビールは、すっきりとした苦みがあり、アルコールは高めの方が好みです。ブリティッシュ・エアラインの日本人スチュワーデスのお嬢さん、どうか女にはノン・アルコール飲料なんて先入観は捨ててください。今時、飲んべえのおばさんは珍しくありません。
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◇◆ロンドンの食事◆◇ |
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ハンプトンコートの台所 当時の台所用品、食材などが展示されている。 燃料に木炭が置いてあった。 西洋でも木炭が燃料として使われていたことを初めて知った。
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体験してみて、なるほど、機内食などましな方でした。 極めつけは、ハンプトンコート内の食堂で食べた食事です。「こういうところでは、サンドイッチでも食べていた方が無難」とガイドをつとめてくれた青年の忠告を無視して、ポーク&リンゴのパイとみたことのない野菜の入ったサラダをトレーに載せて 席のつきました。ボッテリ重いばかりのパイはまだしも、サラダのドレッシングに使っているビネガーは強烈。食べ物を残すのは不遜なりという日頃の信念はみごとうち砕かれ、どうしても二口目の手が出ませんでした。 考えてみれば、食事がうまいのまずいのと言っていては、英国人は世界の隅々まで出かけていって大英帝国など築けなかったはずです。何でも食し、どこにでも順応する英国人の肉体と頭脳に脱帽です。 ロンドンの町で出会う人種は多様です。だから食べ物も各国の料理を食べることができます。ガイドブックでは、インド料理、中国料理なども紹介されていて、ロンドンの食の中ですでにひとつの領域を築いているように見えます。値段が安く、そこそこの味を提供しているのが人気の秘密かもしれません。中華街にある飲茶料理店では、したたかビールを飲んでお腹いっぱい食べても2,000円弱。東京の物価より若干安いかなという程度のロンドンの物価から考えると二重丸の価格です。
ロンドンには、和食を提供するお店もありますが、日本よりかなり高め。よほど、日本食に飢えているか、お金を全く気にしない人には、日本とほとんど変わらないメニューと味を愉しむことができます。スーパーのお弁当コーナーにもおにぎり弁当など置いてあります。これも、日本円で800円くらい。ジャポニカ種の米料理はロンドンでは高価なようです。 ホテルで食べたイングリッシュ・ブレックファーストは、他の食事に比べるとなかなかいけます。イングリッシュブレックファーストには、トマトのシンプルな加熱料理、焼きトマトが必ず入るようです。しっかり身のしまったトマトは英国産なのでしょうか、日本の八百屋のものより、はるかに美味です。卵、ベーコン、ハムとの相性のよさも手伝い朝から食が進みます。紅茶は、本場、安くておいしいですが、ミルクもグッド。ヨーロッパのミルクは、高温殺菌していないのでフレッシュな味が残っていて、日本のミルクよりはるかにいけます。また、ジャージー種のミルクならなおさらグー。 ロンドンの街角にパブがたくさんあり、お昼間から賑わっています。食べ物も少しは置いてありますが、ビールだけを飲んでいる人が多いようです。イギリス独特のビターという赤っぽい生ビール、これがイギリスのビールの味ということですが、冷たくないビールなので、のどが渇いている時に「一杯、キューっと」という飲み方には適していません。まさに、チビチビと時間をかけて飲むビールです。日本で飲む普通のビール、ラガービールもあり、これはよく冷えています。カウンターで、1パイントとか半パイントとか注文し、一杯飲む度に現金取引、値段も日本のビアホールの生ビールより、大分安めです。パブはロンドン子には、仕事仲間や友人とおしゃべりしながらビールを愉しむ場所のようですが、駆け足旅行者にも、アルコール拒否体質ではない向きには、ちょっとのどを潤しに気軽に立ち寄れるよい休息場所でした。
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◇◆バルセロナの食事◆◇ |
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スペインRIOJA(リオハ)の赤ワイン 左 Marques de Villamagna(1987) 右 Faustino J(1988) |
港のスペイン海鮮料理屋では、店先でエビやカニがデモンストレーションしていて、魚好きには入るときから食欲を刺激される仕掛けになっています。 バルセロナの魚の種類は日本でよく見かけるものが、ほとんどです。タイ、すずき、カサゴ、ホタル烏賊、ミズ烏賊、たこ。エビやカニは日本では見かけない種類ですが、味は良好。何という種類ののエビなのか分かりませんが、甘エビの10倍位の姿をした上品な味のエビは、レストランではボイルしたり、焼いたりして出されましたが、魚売場では、1キロ4,500円位の値段が付いていました。コックさんの話によると、相場が上がったときは10,000円近くになるとか。他の魚の値段から考えると、超高級魚のようです。日本人は、世界一エビを食べる人種で、世界各地から、エビをかき集めているそうですが、スペイン人もかなりのエビ好きのようです。ちょっと変わったタコの調理法で 、たたいて柔らかくしたタコをボイルポテトの厚切りの上に乗せたものがありました。ホタル烏賊の唐揚げも酒の肴にはなかなかいけます。これは、ホタル烏賊の時期に一度、試してみたい料理です。 シェリー酒、赤ワイン、ブランデー、飲み物の品質の良さも食事をいっそう楽しくしてくれます。赤ワインのラベルをみると、カベルネソーヴィニヨン85%、メルロー15%の表示。ボルドーの赤ワインと同じ品種のぶどうで、味も少しも遜色がありません。デパートでは10年ものの赤ワインで2,000円位の値段で売っていました。少々重くても、成田までぶら下げて帰る価値ありです。 いきなり飛び込んだ町の大衆食堂風の店のパエリアも、熱々の出来立て鍋の中には、魚介類が豊富に入っていて、味付けも丸。日本では、まずいと相場が決まっている観光名所通りの食堂も、そこそこの味を提供してくれています。バルセロナの食堂の抜き打ち検査の結果では、バルセロナ人の味覚は日本人よりレベルが高いと思われます。 バルセロナは果物も豊富。ちょうど、プラムやチェリーの季節で、町のフルーツ店で量り売りで安く買うことができます。プラムは10個で120円位。日本では、生鮮食料品はパック販売が一般的になってしまいましたが、1キロなんぼの量り売りは、昔の日本の市場を思い出し、うれしくなりました。 バルセロナは、ガウディやピカソ、ミロを生み出した芸術の町で、観光客の多いまちですが、食いしん坊にも十分楽しめる町でした。 |