1.ビデオ/ハウジングの選び方


 水中ビデオを始めようというきっかけとして、
1)誰かが撮ったビデオを見て自分もやってみたくなった
2)既に陸上でビデオを撮られている方がダイビングを始め、水中でも撮ってみたいと思った
3)ビデオカメラとハウジング一式を入手したのでせっかくだから撮ってみようと思った
と言った事があげられるかと思われます。このページでは1),2)の方を対象にビデオカメラやハウジングをどうやって用意するか/選ぶか?と言った事について書いてみたいと思います。ですので3)の方とりあえず機材がお手元にありますのでこのページは飛ばしてください。使ってみて買い換えようかな?と思った時にはまた参考にしてください。

1-1)誰かが撮ったビデオを見て自分も始めてみたくなった方
 機材を1から揃えられる事になるかと思いますが、ビデオカメラだけでも各社からいろいろな機種が出ていてどれを選んだらよいか迷ってしまう事でしょう。
一番参考になるのは既に使っている人が近くにいればその人に聞いてみる事でしょう。ただ、そういう方がいらっしゃる人はたぶんこのページを読んではいないでしょうから^^;いくつかアドバイスをしてみようかと思います。
 水中ビデオと言う観点から選ぶとすれば、まず高倍率のズームは必要ありません。オープンウォーターの講習で習ったかと思いますが、水中は陸上より光が早く減衰します。被写体に当たった光がビデオカメラまで届いて初めて撮影できますので、陸上よりも光が遠くまで届かない水中では高倍率のズームがあっても、ほとんど無意味を持ちません。ちなみにズームとマクロは同じようで違います。その一番大きな違いは最短撮影距離です。ズームは遠くの物を大きく写すので最短撮影距離はほとんど気にしなくて良いのですが、マクロは近くにある小さい物を大きく写すので最短撮影距離を気にする必要があります。例えばキヤノンのFV M1の最短撮影距離はいっぱいにズームした時には1mですが、パナソニックのGS200k等のマクロモードでは40cmまで寄れます。400mm相当のレンズで40cmまで寄れるのですからマクロレンズなくてもかなりの物が撮れる事になります。
 記録媒体はminiDVでしょう。もはやHi8を選ぶ理由は何処にもないですし、8cm DVD/MicroDVでは映像がMPEG2で記録されますので、編集時に若干難があります。
 水中と言う特殊な環境での撮影を考えると3CCDのビデオカメラが理想です。次点として1CCD機のうち原色フィルターを搭載した機種ですね。これらはビデオカメラとして水中だけでなく陸上でもその映像の綺麗さが評価されていますが、水中での撮影でも綺麗な発色をします。下手をするとビデオライトが無くても自分で見た色で撮れます。かといって原色フィルターを搭載していない1CCD機で撮れないのか?と言われれば撮れないことはありません。現に僕は原色フィルターを搭載していない1CCD機であるDCR-PC101kを使っています(2004.6現在)。しかし、前に使っていたPV1程色再現性は無く白とびも起こしやすいです。逆に技術の進歩でしょう、被写体と自分との間を他の魚が通ってもピントが戻るのが早いです。一般的にはCCDの大きさが大きい程ビデオカメラとしての映像は良くなります。ただ、最近のメガピクセルを謳うビデオカメラの中には静止画時と動画時で有効画素数に差がありますので、動画時の有効画素数での面積で比べる必要があります。
3CCD機としてあげられるのはソニーのVX2100/TRV950、キヤノンのXL1/XV2、パナソニックのGS200/120と言った機種があります。1CCD機で原色フィルターを搭載している機種はキヤノンの多くの物とソニーのPC300があります。映像の美しさだけを考えればソニーのVX2100、キヤノンのXL1/XV2と言ったあたりで撮るのが良いかと思いますが、大きく重たくなります。コンパクトさで考えればキヤノンのIXYシリーズがコンパクトです。コンパクトさではIXYには負けますがパナソニックのGS200/120とは3CCDを搭載し画質とコンパクトとを両立しているといえます。
 さて、MoterMarineやニコノスのようにそれ自体が防水加工されていると言った製品はビデオカメラにはありませんので、もう一つ水中でビデオ撮影に必要な機材として「ハウジング」が必要になります。ただ、残念ながらすべてのビデオカメラ用にはハウジングが用意されていません。大雑把に言うと既製品ではソニー用が多いです。半カスタムの製品ではある程度の機種用のものが揃っています。さらにカスタムであればほぼどんなビデオカメラのものでも作ってもらえます。
 ハウジングのメーカーとしては

といった会社があります。詳細は各社のページを見てください。
 ハウジングを選ぶ際に考慮する事として、ビデオライト、ワイド/マクロのコンバージョンレンズ等を使うかどうかを考える必要があります。ビデオライトを使うのであれば(オプション含めて)アームが取り付けられる様になっているか?ワイド/マクロのコンバージョンレンズを使いたいのであれば、それが付けられるようになっているか?それは水中で脱着できるのか?といった事を考える必要があります。ドルフィンスイムでイルカの鳴き声も録りたければ水中マイクも必要になるでしょう。
また、皆さんのダイビングスタイル、撮影フィールドも考えてみてください。ビーチエントリーが多い方にとっては、エントリー/エキジットの時に重たいビデオを持って入るのはどうでしょう?ためらわれる方もいらっしゃれば、波打ち際でちょっとくらいぶつけても平気な位頑丈でなくちゃという方もいるでしょう。ボートダイビングが主体と言う方であれば、エントリー/エキジットの時の事はそれほど気にならないでしょう。ダイビングに行かれる手段も考えましょう。電車で行かれるとか海外に良く行かれるという方にとっては重たいダイビング器材にさらにビデオの器材が増えますので、軽くコンパクトでリュックに入る物がいいかもしれません。自宅から現地まで車で行かれる方にとっては持ち運びと言う面ではそれほど気にしなくても良いでしょう。
 と言った具合に自分の撮影用途に応じて選ぶ事も必要ですね。「いい映像を撮るのにはやっぱり図体の大きなビデオがいる。それを運ぶためなら車も買ってやるぜ!」という方もいらっしゃるかもしれませんね^^;
 残念ながらビデオカメラもハウジングも種類が少ないわけではなく、また僕自身使った事がある物も限られています。さらにここでは水中での撮影、しかも動画の撮影をメインの目的として選び方を書いていますので、陸上でお子様を撮られたり、スキーやその他のスポーツでも撮りたいといった目的、静止画の性能と言った事は無視しています。これらの事も含めて最終的にはご自身で上に書いた事を参考にしてチェックリストでも作ってみてください。たぶん、それでも最終的にこれだと決めるのには勇気がいると思います。そうしたら一度実際に使ってみることをお勧めします。ご友人、お世話になっているお店、現地のサービス、ダイビング器材のお店、等でビデオをレンタルしてくれるところも有りますので、そう言うところで借りて実際に一度使ってみると良いでしょう。そうするとチェックリストも変わってくるかも知れませんし、逆にチェックリストに自身が持てることもあるでしょう(場合によっては悩みが増えますが^^;)。

 参考になるかどうかわかりませんが僕がビデオを選んだときのことを書いておきます。
 最初はSharpのVL-DH5000+DIVハウジングでした。お世話になっているお店のツアーでマブールへ行った時('96/5)にHi8+マリンパックを借りて使ったのですが、どうしてもあのビューファインダーを覗くのが嫌でした。また、当時はminiDVがデビューした頃でビデオカメラの主力はまだまだHi8でしたが、マブールのレセプション(?)に有るTVで(他の人が)VX1000で撮影された映像を見ているのを見て、その画質の違いに愕然とし、買うなら絶対デジタルだと思いました。
当時miniDVのビデオカメラはSonyのVX1000/700、PanasonicのDJ-1、VictorのDVM-1、そしてSharpのVL-DC1/DH5000の6機種しか有りませんでした。この中で液晶で撮れる物ということでViewcamになりました。(今考えてみると、Amphibico/Sea&SeaのVX1000用とかLight&Motionのハウジングとかで外部液晶が使える物も有ったのですが)
そしてVX1000の画質に驚いたので1CCDの機種ではなく3CCDのVL-DH5000を選択し、ハウジングはシャープの純正品もあったのですがハウジング用ウエイトやビデオ本体の重量を入れると10kgを超える重さになってしまいそうなものだったのでDIVで作ってもらいました。(水中で使っている写真です)
 そのViewcamも手もとを離れ、新しいビデオカメラの選定を始めました。候補に挙げたのは、画質面でSonyのTRV900、Panasonic DJ-100、(VL-DH5000がとにかく大きかったので最高画質だとはわかっていましたがVX-1000は却下^^;)、小型な物でSonyのPC-1、PanasonicのNV-C1/C2/DS7でした。TRV900はお世話になっているお店が買ったのと、そこのビデオの仲間がTRV9とマリンパックを持っていたのでその大きさについては確かめられたのですが、やっぱりでかい^^; あれこれ悩んでいたらPanasonicのDS9,CanonのPV1が発表され、結局、画質と大きさの両方を考慮した結果CanonのPV1を買いました(画質についてはビデオサロン誌の評価を採用しました)。
残念ながら既製品のハウジングは出ていないので、DIVに作成を依頼したのですが、残念ながら当時は液晶を開いた状態でのハウジングは作成できないということでした。その為1年ほど水中ビデオをやらない時期があったのですが、フィッシュアイで液晶を開いた状態でかつ大容量バッテリーの使えるハウジングを作って頂けるという事で作ってもらいました。(当時創立まもなかったジリオンフィッシュアイを通してAQLYSと言うブランドで販売していました)
 そのPV1が故障してしまい、新しい機材を探さなければならなくなったのですが、PV1の故障から2週間後には新しい機材がどうしても必要だったので、ハウジングがそれまでに間に合う物で選ばざるを得ませんでした。つまりハウジングありきで、それにあわせてビデオを買うと言う、普通とは逆の選び方をしました。結果、シーアンドシーVX-PC120/101なら間に合うと言う事で、泣く泣く液晶ファインダーでの撮影をあきらめました。ビデオカメラをDCR-PC120かDCR-PC101kかで迷ったのですが、製品として新しかったDCR-PC101kにしました。
 しかし、ピックアップファインダーになっているとはいえやはり液晶ファインダーでの撮影がいいなぁというのと、シーアンドシー のVXシリーズのハウジングはビデオカメラにワイドコンバージョンレンズを付けてハウジングの中に入れるためウミウシ等のマクロに弱くなってしまいます。外付けのマクロレンズも発売されているのですが、ワイドで広くした物をマクロで小さくすると言うのも無駄ですし、液晶ファインダで撮影できないと言うのもあってハウジングを変えようかなぁとも思っています。
 そう思い始めて約半年。ハウジングの中でビデオ本体を載せているステーがとれてしまいました。ハウジングの前面にあるプラスティックにビス2本で止まっていて、その上にビデオが載っているのですが、ドルフィンスイム等で撮影しながらスキンで潜ったりした時にビデオの重みでステーが揺れてねじが刺さっているプラスティックの部分が負けてねじ山が無くなってしまったようです。そう言う振動には弱いだろうなぁと言う感じの部分なので修理するかどうか迷ったのですが、Sea&Seaに問い合わせたところ、そういった修理は今まで聞いていないとの事。修理代は最悪フロントケース交換で15,000円くらいとはいわれたんですが、それで直してもステーの下にハウジング本体とステーを止めるような支えでも付けないと修理してもまたいずれ同じ事が起きるのは容易に想像できたので、ハウジングを替える事にしました。
新しいハウジングはアクリル製オーダーハウジングです。液晶で撮影できる奴です。そしてワイコンを水中で取り外しできる様にしてもらったのでマクロにも強くなっています。ハウジングの前面に当たるぞって所まで寄っても大丈夫です(^^)。(2004年12月現在)


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