「日本からの出張者が北京ダックを食べたいと言っている。でも、気の利いた話をできるわけでも、おいしい料理が何なのかもわからない。どうしよう」。こんな悩みも、このコーナーで解決!
北京ダックで一番おいしい場所は、ダックの皮の部分。そのため、一皿目はカラッと焼けた皮、二皿目は柔らかい肉、最後に皮と肉が一緒になった状態の腿肉をさばく。
また、ダックは普通、一〇〇枚前後に切る。古くは「一〇八枚に切れ」という調理人もいたようだが、それも、「一〇〇枚前後に切れ」という意味を強調しただけだったらしい。ダックは、その切った形から、大きく分けて「杏葉型」と「柳葉型」と呼ばれる二つの切り方があり、現在では「杏葉型」が主流。
大きく分けて三つの食べ方がある。最もポプラ―なのは、@の食べ方。
@ ダック+醤(たれ)+ねぎ+荷葉餅
最も流行している食べ方で、荷葉餅で巻いて食べる。
A ダック+醤(たれ)+にんにくおろし+荷葉餅
清の時代に特に好まれた食べ方で、荷葉餅で巻いて食べる。
B ダック+白砂糖
ねぎやにんにくが苦手な方向けで、ダックに白砂糖をつけて、そのまま食べる。
※ @Aには、この他、好みに合わせて、きゅうり、大根を添えても良い。
欧米人は、内臓料理を避け、米国人は一番おいしいとされるダックの皮にもあま
り興味を示さない。人気は、ダックでは、「ふろく」的存在の柔らかい胸肉の部分。
北京ダックは、ナツメの木(紅棗)を使うと一番おいしく焼けると言われ、ナシとリン
ゴの木も良い味が出る。しかし、三十数元、六十数元など、安価で北京ダックを提供
している店では、コストと労力削減のために、ガスで焼いているところが多い。ちなみ
に、ナツメの木は、一斤(五百グラム)で七角。
人気の北京ダック店の中には、昔「全聚徳」の看板を掲げていて、今はグループか
ら離脱しているところがある。その代表的な店舗が、団結湖公園の北側にある「団結
湖北京kao鴨店」、海淀区にある「北京九花山kao鴨店」である。西なら九花山、東なら
北京kao鴨店、中間なら前門全聚徳がおいしいと評判。ちなみに一昔前までは、中南
海からアクセスしやすかった九花山には、中国の政府高官がよく訪れていたという。
杏葉型の切り方
荷葉餅(右)の代わりに、芝麻焼餅(左)に北京ダックをはさんで食べることもある。
※「kao」は、「火」へんに、「鳥」