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Note 2006.1.18



新車で買う意味

先日、Miniオーナーが集まる宴会で、「新車で手に入った人がうらやましい」という話を聞いて、
そういわれると、自分が新車で手に入れたのにも確かに理由があったなぁと思った次第である。

以前にもちょっとふれたが、「新車で納車された状態=異常がない状態」を維持しながら乗るということである。
新車を経験していれば、どういう状態がMiniにおける正常状態なのかわかるだろうということだ。
中古車が悪いわけではもちろんないのだが、
中古車の場合、「Miniはこんなもんです」という常套句とともに、
どれが正常状態なのかそうでないのかうやむやになるかもしれないという恐れを持ったのだ。

それもこれも、「万全なコンディションの中古車」というものの入手方法を知らなかったということに起因するのである。
ディーラーで新車納車されたその足で、ガレージミニに行き、「保証期間が切れたらお世話になります」と、
図々しい挨拶をしたくらいなので、スペシャルショップの存在やその仕事に関して全く無知だったわけでもないが、
無知に毛が生えた程度の理解しかしていなかったということであろう。
まぁ、たとえ「万全なコンディションの中古車」を入手できることがわかっていたとしても、
まだ新車を入手できた当時であれば、そうしたかどうかに関しては疑わしかったであろうが。

さらに筆者は、ディーラーで購入交渉時に値切る気満々ですらいたのであるから、無知ってのは恐ろしい。
なにせ、Miniといえども輸入車ディーラーであるが、輸入車はおろか国産車ディーラーですら購入交渉経験がない。
それどころか中古車すら買ったことがないのである。
Miniは「初めて買ったクルマ」なのだ。
そんな筆者に、ディーラーは値引きこそしなかったが、
後付パーツの無料提供取り付け○万円分という還元は提示してはくれた。

結果として、ディーラー独自の特別仕様車にしたので、
後付パーツの方はなしということになったのだが、
販促グッヅはずいぶんといただいた。
左の写真は、当時Mini生誕40周年を記念して作られていた販促グッヅのデイパックである。
じつは、これ、未開封のものがもう1個手元にあるのだ。
寝かしておくと「お宝」にならないかと期待しているが、
たぶんかなりの確率で「ゴミ」になるんだろう。

話が脱線した。

さて、「新車で購入すれば万全のコンディションなクルマの状態がわかるに違いない」
と思った筆者であったが、1週間もしないうちにその考えは完全に間違っていたことがわかった。

まず、納車直後から右フロントの車高がどんどん落ち始めた。
納車1週目の週末にディーラーを訪れて尋ねたところ、
「ちょっと様子を見て下さい」とのことであった。
ところがいよいよフェンダーとタイヤのクリアランスが3cmほどになり、
ちょっと大きめにストロークすると干渉する感じになってきた。
考えてみれば「様子を見た」からといって回復するわけはない。

当時ディーラーは札幌、こちらは天塩在住であったので、
ディーラーに行くのにも260km走らねばならない。
出来るだけ車両が大きく上下しないようにとんでもない徐行運転でディーラーまでたどり着き、
その場でクレーム修理を行った。
修理後のディーラーの説明は「ストラットが金属疲労で曲がっていた」という、素人にも納得できない内容であった。
置いてあるだけの新車がいつ疲労したのであろう。
そのときはじめて、自分で施工前の写真を撮っておかなかったことと、
納得できない説明に対しても質問・反論するだけのスキルがないことに無念さを覚え、
こんなことでは乗り続けられないに違いないと思ったのである。

その後、保証期間中に大きなものでは、
クレームでラバーコーン総取り替え、ワイパーモーター交換、フューエルタンクユニット交換などを行い、
灯火系不良、アクセルワイヤー整備不良、各種ガスケット経年劣化(!)による不良など、
納車直後に納車整備したのかよというものが大量噴出。
マイナートラブル、小さな交換数知れず。
むしろ完全な状態で走ったことなどないという状態であったが、
自動車というものは納車後のこうした作業で完全な状態になるもんだといえばそうでもあろう。


ところで、前述の右フロントのストラットの話といい、ガスケットの経年劣化による交換、
納車時からのアクセルワイヤーのささくれなど、この車両には不審な点が多い。
決定的なのは、新車時からオイル下がりの症状があった点で、いくらなんでもそんな新車はないはずだ。
納車直後にエンジンルームも見たが、その時点でエンジンが真っ赤に錆びており、
「こりゃなんだ」とクレームつけたことがあったのだが、
ディーラー側の説明は「船便で運んでくるので錆びる」というスットコドッコイなものであった。
だったら、エンジン錆びてないクルマはないよ。

プラスチック部品には製造年とロット番号が刻印されているものがあるが、
ステアリングコラムの刻印を調べたところ、97年前半であった。
99年車なのであるから、今この時代に在庫として部品を作り置きしたりしないことを考えると明らかにおかしいのである。
後に、エンジンのオーバーホール時に、エンジンをすでに一度下ろしていた形跡がわかり、
いよいよ不審さは高まるのである。
新車だからいいというものではまったくないという、かなり極端な例である。





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