2000年 6月 |
アニの夢私のイノチ 津島祐子 講談社 |
津島祐子さんのエッセイ集。表題中の「アニ」とは作家の中上健次氏のことです。 最初の『二十歳』というエッセイを読んで、私は非常に驚いたとともに何とも言えない気持ちになりま した。私が東京に来る前に住んでいた北海道の地名が出てきたからです。 津島祐子さん、そのあたりを旅したことがあるんだぁ、と感激し、親近感を覚えたりしました。 私が全然知らない事に関してのエッセイもあるので、全部が面白いわけではありませんでした。 しかし『中上健次をめぐって』は良いです。 父である太宰治に関して「それにしてもなぜ、あんな死に方をしたんだろうね」と言った中上健次氏に 対して「「あんな死に方」などと気楽に言ってほしくない(中略)そんな言い方そのものが死者への冒 涜ではないか」等と全身を震わせて、どなり返したそうです。 |
斜 陽 太宰 治 新潮文庫 |
11回目。桜桃忌なので、また読みました。 斜陽を御覧ください。 |
思いでトランプ 向田邦子 新潮文庫 |
13の作品からなる短編集です。難しくないので読みやすいです。 『かわうそ』『マンハッタン』『犬小屋』が印象に残りました。 |
ルーアンの丘 遠藤周作 PHP |
遠藤周作氏の単行本になっていない旅行記と未発表の日記をまとめた本。 内容は、遠藤周作氏がフランスに留学した時のものです、 後の『沈黙』や『海と毒薬』に見られるような重厚な文章ではなく、軽快に書かれています。 日記の部分は人に読ませるつもりで書かれたものではないでしょうから、意味がわかりにくいのですが、 遠藤周作氏はモテたんだぁ、ということがわかれば十分なのではないでしょうか。 |
ヴィヨンの妻 太宰 治 新潮文庫 |
4回目。桜桃忌なので、また読みました。 太宰治の作品を御覧ください。 |
人間失格 太宰 治 新潮文庫 |
6回目。桜桃忌なので、また読みました。 人間失格を御覧ください。 |
2000年 5月 |
水辺のゆりかご 柳 美里 角川文庫 |
芥川賞作家である柳美里さんの幼少の頃から作家になるまでの自伝? 読んでいて、柳さんのことがとても可哀想になったし、いつか自らの命を絶ってしまうのでないかと恐 くなりました。 それくらい幼少からの頃の心情を率直に書いていると思います。 素晴らしい作品を書くのだから、絶対間違いは犯して欲しくありません。 |
ぼくはこんな本を読んできた 立花 隆 中公文庫 |
立花氏は「政治」の事を書いているかと思えば「脳死」の事を書いていたりして、幅広く、そして深く 掘り下げているので、どういう頭の構造なのでしょう。 この本を読んで、立花氏がいかに多くの本を効率的に読んで、知識を吸収してきたか、少しわかりまし た。とても普通の人に真似できません。 |
Amy Says 山田詠美 新潮社 |
山田詠美さんの痛快エッセイ集。 最近はエッセイをあまり書いていなので、次のエッセイ集は10年後くらいだそうです。 |
桜の園・三人姉妹 チェーホフ 新潮文庫 |
ロシアの作家、チェーホフの有名な作品。太宰治の斜陽』は『桜の園』を意識して書かれています。 戯曲なのと、そもそも日本語ではないので、和訳が今一で難しかった。 『桜の園』を読み、『斜陽』との関係をまとめてみようかと考えていたのですが、無理そうです。 |
愛の記憶 森 瑤子 新潮文庫 |
森瑤子さんの最後の講演録が収載されているエッセイ集。 読みやすい本ですが、この本は男性が読む本ではなく、女性が読む本だと思います。 |
A2Z 山田詠美 新潮社 |
この作品の出版に伴い山田詠美さんのサイン会があることを知ったため買いました。 まだ私には遠い世界の話ですが、山田詠美さんの作品はどんどん身近になっていくような気がします。 |
シンプルプラン スコットスミス 扶桑社文庫 |
1999年に映画化された作品。めっちゃ面白かったです。分厚い本ですが、一気に読めます。 墜ちた飛行機の中から440万ドルを見つけた3人が、そのお金をどうやって自分たちの物にするか、 「シンプルなプラン」を立てるのですが、シンプルなプランであったはずがどんどん悲劇になっていき ます。 最後の方は、どうなるのかがわかるのが恐くて読むのをやめようかと思ったほどです。それほど作品の 中に引き込まれ、主人公に感情移入してしまったと言えます。 全体の計画が「シンプル」なのですが、それぞれの計画も「シンプル」だったはずなのに、そうではな くなっていくという、、、よく出来ています。 |
2000年 1月〜4月 |
イエス・キリストの生涯 三浦綾子 講談社文庫 |
キリスト関わるレンブラントやミケランジェロの聖画44枚に、三浦綾子さんが文を添えた作品。 絵がまとまっていて良いし、三浦綾子さんの文も易しく読みやすい。 しかし、こういう作品は文庫だと絵が小さいので、単行本で読む(見る)べきでしょう。 |
敬語の使い方 太宰 治 新潮文庫 |
何年も前に買った本で、何回も読み始めては、途中でやめていた。。。(爆) 今回は全部読みました。なかなか勉強になりました。敬語は正しく使いましょう。 |
母 三浦綾子 角川文庫 |
警察に虐殺されたプロレタリア作家小林多喜二の母である小林セキの独白形式で書いた作品。 感動します。戦争は恐ろしいです。 |
返事はいらない 宮部みゆき 新潮文庫 |
6つの作品からなる短編集。表題作の『返事はいらない』がとても良いです。 他の作品はあまり印象に残りませんせした。 |
道頓堀川 宮本 輝 新潮文庫 |
武内親子のビリヤード対決で勝ったのはどちらでしょう。 面白かったのですが、感想を書くのが難しい作品、、、すいません。。。 |
ドナウの旅人 宮本 輝 新潮文庫 |
この作品を読んでドナウ河沿いを旅してみたいと思ったのは、私だけではないと思います。 ドナウ河に沿った外国の色々な街を舞台に、一行たりとも手を抜くことなく、緻密に構成されたストー リーです。どうなるのか心配したのですが、素晴らしいラスト。すごい作品。 |
夫婦善哉 織田作之助 筑摩文庫 |
初めて織田作之助の作品を読みました。6つの作品からなる短編集。独特の文体です。 表題作の『夫婦善哉』が良いですが、『放浪』が印象に残りました。 『可能性の文学』には、太宰治と坂口安吾と3人でバー「ルパン」で飲んだ話が登場します。 |
なくてならぬもの 三浦綾子 光文社文庫 |
三浦綾子さんの講演集。 誰でも人生で悩みを持っていると思いますが、この本を読むと元気が出ます。 |
スナーク狩り 宮部みゆき 光文社文庫 |
スピード感があって、一気に読めた作品です。でも、何か「出来過ぎ」という感じがあります。 |
火 車 宮部みゆき 新潮文庫 |
これまで読んだ宮部さんの作品の中で一番良かった。良かった理由を細かに書きたいところだが、ネタ ばれになってしまうので。。。1993年に山本周五郎賞を受賞した作品です。 最後の最後がとてもいいです。 |
母なるもの 遠藤周作 新潮文庫 |
8つの作品からなる短編集。 遠藤周作さんの宗教観がよく表現されており、藍沢氏が解説で「長編以上に、カトリック作家遠藤周作 の信仰の軌跡を知るうえで、より重要で興味深い作品群といえるかもしれない。」と書いています。 遠藤周作さんの留学体験を下敷きにしたと思われる『学生』が一番良かったです。 |
歴史への感情旅行 安岡章一郎 新潮文庫 |
随筆集。老練のなせる技とでも言うべきでしょうか。素晴らしく上手な文章で読みやすいです。 |
スローカーブを、もう一球 山際淳司 角川文庫 |
第八回日本ノンフィクション賞を受賞した8つの作品からなる本です。スポーツドキュメント。 名作『江夏の21球』が収載されているので読みました。 『たった1人のオリンピック』『スローカーブを、もう一球』も良いです。 |