いわゆる、他人に不快感を与え迷惑になる口臭は「病的口臭」と呼ばれ、通常ひどい歯周病や内科的問題からくる口臭なのですが、特徴は、本人は口臭を出していることに全く気がつかないことです。常に口臭がある場合は、本人は嗅覚として感じないからです。このような病的口臭もひどくなると、部屋中臭気がこもることがあるし、その人が去った後も口臭が残っていることがあります。それなのに、本人はまったく気がつきません。
ここの掲示板によくでてくる「いつも口臭がある」と訴える自覚のある人とは全く異なるタイプの口臭です。自分の口臭を自覚できる人は、口臭があったり無かったりしているために「いつもある」と認識します。また、たまに起こると自覚できます。一般の人も、普段は口臭はないのですが、時々、生理的口臭がある(他人にも分かります。)ので、そのたびに少し気になってしまいます。よく経験することです。一般の人は生理的口臭については、それほど気にしないので、条件が変わると問題なくなるので一過性に終わります。気にしだすと頻繁に口臭が引き起こされます。
したがって、周囲が迷惑するような病的口臭を持っている人に対しては、本人が自覚できないので適切な方法で教えてあげないといけないでしょう。
ただ、家族は気がついていて、本人に指摘する場合もあるのですが、本人が自覚が無いためにそれほど深刻に受け止めていない場合が多いのです。
「病的口臭」は、かならず、直接的な病的原因があって発生するわけですから、必ず原因治療によって短期で解決します。多くは重症の歯周病や、一般歯科的な問題が原因で、中年期以後では生活習慣病(成人病)が関与していることがあります。歯周病と生活習慣病は相互に密接に関係するために、両方を持っている人が多いです。
職場で、口臭を指摘されることは、その人の自尊心を傷つけたり、恥ずかしいものなので、誠意をもって指摘してあげると良いでしょう。本人が気がつかず、自分でも分らない以上、教えてあげる必要があるでしょう。
その折に、病的な口臭は、一般的歯科治療や内科的な治療で治ることを教えてあげると良いでしょう。また、自分の口臭が他人にどのように感じられているかは、知ることができないので、指摘された場合、その後において治療によって口臭がよくなってきている場合は、「口臭がよくなってきた」「ほとんど大丈夫です」と言うように、経過についてフォローしていってあげてください。問題が解消した時は、そのときも教えてあげてください。
しばしば、その人の性格にもよるのですが、病的口臭を指摘されて、問題を解決した後に、急に自覚できない口臭に対しての不安が募り、そのために、緊張時口臭や、自臭に悩まされてコミュニケーション阻害を引き起こしたり、自臭症に陥ったり精神的問題に発展させてしまう人が急増しています。
特に、中年以後の管理職や接客業や教職につく男性は深刻な事態になってしまうことがあります。