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自臭と他臭
◆ 意識すれば感じる自分の口臭・・自臭症の起こり始め・・嗅覚閾値と自意識・・どうすればいいか?
◆他臭症の深刻な事例は、自臭症の深刻事例と似てくる。口臭が家庭崩壊をもたらす危険性
◆自臭症について-口臭とは?
◆自臭(鼻臭)が起こるメカニズム
◆鼻臭が起こるメカニズムと対応(図入り)
◆自臭症の典型的なパターン
◆仮面他臭症
◆自臭症について
◆自臭症の謎と問題
◆仮面他臭症の考え方
◆他人の病的口臭について
◆仮面他臭症について
◆自分の臭気はわからないのに他人の臭気はなぜわかる?−自臭症の謎
◆妻の口臭
◆国民の大半の人は自臭(自覚的口臭)に不安がある。国民の大半はプチ自臭症
◆口臭患者の大半を占める自臭症とはなにか?その本質について
◆日本人はどのくらいの割合の人が歯周的問題を持っているのか?」
◆みんなが、気にしている口臭(自臭)は、多くの口臭外来では治療対象外!!
◆他人には理解されない自覚的口臭・・・・自分の臭気は他人は自分とは違うように感じている
◆他臭症の人はなぜ自分の臭いが認識できないのか?自臭症の人の口臭は、妄想なのか実在するのか?
◆自臭症の人は臭いを感じることが出来ても、他人はなぜわからないことが多いのか?自臭症の人の嗅覚の不思議
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自臭(鼻臭)が起こるメカニズム
(改訂版)
回答より。
(2000/06/14)
鼻臭を感じているとき、口腔内の状態は、普通の人が緊張時口臭を起こしているときの状態に近いです。これが長時間持続する、と考えてください。
そのとき、唇は閉ざされ、舌は緊張し、さらに舌先は巻いたような状態で、上前歯の裏あたりの歯または歯肉に位置しています。
この状態では、顎が静止したままになると唾液循環も止まり、舌表面を覆う液体層が変化します。リラックス状態ではサラサラした溶存酸素に満ちた唾液ですが、緊張時ではこの溶存酸素が全て消費されてしまい、嫌気的状況が作られてしまうわけです。口の中がネバネバしたり、舌表面が、口の天井に貼りついたようになります。
この状態が持続すると、それまで活性が無く休止状態だった嫌気性菌(健康な口腔内に普通に存在するもの)が活発に活動を開始し、その結果として、口腔内のわずかな隙間に腐敗ガスがたまることとなります。その様子は、ちょうど、寝ている時の口の中の状況に似ています
そのとき、口は閉じている訳ですから、どんどん蓄積されていく、これらのガスはやがて鼻腔の奥に到達し、そこにある嗅覚細胞を直接刺激します。この時に感じる臭気を、人によっては鼻臭と表現します。あるいは、喉の奥からの口臭と表現されるかたもいます。
この臭気を感じると、緊張はさらに増強され、精神科的にはパニックの状態が起こり、呼吸は浅くピッチの早いものとなり、やがては、過呼吸症候群を引き起こし、呼吸困難と嚥下障害(唾液が飲みこめなくなる=よくある訴えです。)を起こします。
この、唾液を飲み込むことができなくなる、という嚥下障害は、嚥下の生理的仕組みとメカニズムを考えたとき、咽頭相と呼ばれる段階で発生していると、私は推理しました。つまり、緊張のあまりに舌の根元の筋肉が硬直し、せりあがった状況でストップしてしまい、その次の段階である食道相に移行できないのです。
通常、唾液を飲みこむ時、軟口蓋(口の天井の奥の柔らかい部分)が中咽頭と上咽頭の間を閉じて、咽頭の筋肉が収縮して食物が食道へ送られる。この時声帯が閉じ、喉頭が挙上して喉頭蓋と舌根で蓋をされる。
というメカニズムがあるのですが・・(ちょっと難しいですが・・・)
この途中で、舌の筋肉が金縛り状態になってしまい、動きが止まってしまうために、唾液が飲みこみにくくなったり、呼吸が苦しいような気分になり、急いで、鼻で呼吸するようになる訳ですが、この呼吸がまた、緊張のためにやればやるほど苦しくなり、そのために鼻息は荒くなります。
結果として血液中の酸素濃度はどんどん上昇し、二酸化炭素の濃度が相対的に低くなるため、ガス交換ができなくなってしまいついには、失神します。(自臭症の患者さんでは、電車の中や人ごみで呼吸困難を訴える人が大変多いです)
この時、口腔内は、さらに緊張状態になり、蓄積されるガスがどんどん増え、ついには鼻息にも臭気が出るような錯覚を起こします。
場合によっては、そのような臭気は外へでるかもしれませんし、部屋が密閉状態の時には、鼻息を通して出た臭気が他人に感じられる可能性があります。
この状態で、しゃべったりすると、喉の奥の狭いところに蓄積していた腐敗ガスが一気に口から外に出るために、他覚的な口臭になってしまうのです。
でも、実際にガスが出るのは、しゃべる最初だけなので、このガスが全て出てしまうと問題はないのですが、自臭症の人は、この段階でさらに慌てます。(普通は、会話することやリラックス状態によって舌の運動と唾液分泌が開始し、それによって臭気は解消します)
そうやってさらなるパニックを引き起こし、口を閉ざしてしまうため、もっと悪い条件を作ります。
これが、抜け道のない、もがけばもがくほど口臭がひどくなって行く悪循環の実態です。こうなると、もう、自分ではどうすることもできなくなります。
これを回避する為に、私が編み出した解決策が「口をカチカチして、口の中で舌を回転させ、唾液を出しつつ、舌先を下唇に触れさせること」です。唇を完全に閉ざす事を避けつつ、そのまま舌先を引っ込める事で、舌先を下前歯の裏に位置付け、舌の上に空間をつくると同時に、舌の根っこの部分の筋肉の緊張を避けて、呼吸困難や鼻臭を起こさないという方法を、考えました。
さらに、下前歯の裏で舌先を小刻みに動かしつづける事で、サラサラ舌唾液の確保と、口呼吸も防止できます。
実は、文字で書くとても複雑そうですが、普通の人はごく考えなくても普通にできていることで、リラックス状態では必ずこうなっているのです。
この当たり前のことが、自臭症の人はできていないことが多いのです。
しかも指導しても、すぐにはなかなかできないことがあります。
唯一出来ている時は、一人でリラックスしていたり、お風呂に入っている時ぐらいです。
自臭症の人の口腔内状態は、常に重力に逆らった、とても無理のある体勢なんです。
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