シャシ−ブレーキ
●TAROXスリットローター(フロントディスク)
●bremboディスクローター(フロントディスク)
●EBCブレーキパッド・グリーンスタッフ
●グッドリッジ ステンメッシュブレーキホース
●TAROXスリットローター(フロントディスク)
メンテナンスフリーを第一に考えられているため、
国産車のブレーキは、ブレーキパットが主に摩耗し、ローターはほとんど摩耗しないように作られている。
したがって、車検毎にパッドは交換するが、チューン、あるいは事故や故障でもない限りローターを交換することは希である。
しかし、欧州車はブレーキに対する考え方そのものが違うようで、
パッドもローターも共に摩耗し制動力を得るように考えられている。
おかげで、年間35,000qほど走る筆者にとっては、パッドは毎年、
車検毎にローターも交換に迫られるのである。
2000年ころまではディスクローターは非常に高価な部品であった。
純正=APロッキードのローターは1個16,800円、これが2個必要。
それがスリットローターともなれば、安くても1個50,000円はした。
ところがその後、なぜか価格破壊が始まる。
2002年、最初の車検時にすでにローターの交換が必要になっていた筆者は、
ガレミニ旭川の46さんと、ミニフリーク誌別冊のパーツカタログを見ながら思案していた。
純正部品は非常に高価なのだが、
同じAPロッキードのものに焼き入れしたものが某ショップで2枚20,000円ほどで売られていた。
「ずいぶんと安くなったもんなのねぇ」と、
その場は隔世の感で、車検前にその部品を入手する方向で話は決まったのである。
ただ、そのカタログの同じページには、「TAROXスリットローター 一組12,000円」というものもあり、
「いくらなんでもこりゃ安すぎる。なんか裏があるに違いない。TAROXがこんな値段で出るわけがない」
と一笑に付されていたのである。
その後、車検前に網走のMINIショップ「B-WELL」さんにお邪魔したところ、
件のTAROXの実物があったので、お値段を聞いたところカタログと同価格、
それどころか道内は1万円以上は1割引、送料無料ときた。
問題の品質であるが、モノを見たがなんの問題もない。
当初の半額程度でTAROX、しかもスリットならなんの不満もない。
てなわけで、コイツの装着となった。
2002年、2004年と、結局2度の車検時にそれぞれこのローターを装着したが、
制動力は間違いなくノーマルよりはアップする。
スリットローターの装着には方向が2種類あり、どちらも試したが、
回転に対してスリットが内側に食い込む方向に装着した場合、効き重視となり、その制動力は絶大である。
左が進行方向(効き重視型)
この方向に装着した場合、パッドはおもしろいように減る。
とはいえ、年間1万q程度の走行であれば、たぶん車検毎の交換で済むと思うし、
この制動力をこの価格でと思えば、安いもんだろう。
ただ、あくまでもこれは一般道走行の話であって、
伝え聞いた話によると、サーキットで使うなら、ものすごい勢いでパッドが減るようだ。
まぁ、レースで消耗品が減るのは当然なので、性能より経済性を取ることはないだろうから、
これはあまり必要のない話ではあろう。
●bremboディスクローター(フロントディスク)
純正(3年)→TAROXスリット(2年)→TAROXスリット(4年)と使用してきたが、
上記TAROXスリットローターが使用限界厚さを超えたため、2008年の車検時に交換した。
TAROXが徐々に値上がりしたことと、初めてTAROXを装着した頃と比べて、他のローターの価格が下がっており、
リーズナブルな価格という意味では選択肢が増えたこともあり、bremboを選んでみたというところである。
このbrembo製も以前はとんでもなく高価だった記憶があるが、いまや左右2枚1組で15000円以下である。
このローターを装着してみてわかったのは、ローター制動性能はスリットの有無だけではないということである。
しかも踏力に対する効き方が非常に素直で、扱いやすく、
街乗りで減速するときなどのような、やんわりと踏むときなどにある、
スリットローター特有のパットを削ってるなというような引っかかりもない。
これで、きっちり踏めばTAROX以上にきっちり止まるんだから、なんの不満もない。
今後もこんな価格で入手できるのであれば、筆者は今後もこれである。
ただし、制動という点では絶賛するが、
ブレーキダストでホイールが汚れるという点は、スリットローターからの変更での大きなデメリットである。
むしろパッドが減ってダストがたくさん出ているのはスリットの方だと思うのだが、
そのダストがホイールに着くかどうかという点ではスリットは優れているのであろう。
このあたり、筆者は見た目はどうでもいいタイプなので、まるで気にしないのだが、
人によってはかなり気になるかもしれない。
●EBCブレーキパッド・グリーンスタッフ
一時、純正のAPロッキードブレーキパッドよりも安かったという、超価格破壊でありながら、
ブレーキダストがはるかに目立たなく、効きもいいという、ありがたいパッドである。
現在の実勢価格では、純正が安く手にはいるようになったのと、EBCの方が若干値上がりしたため、
常識的な入手価格になっているが、これとて高いものではなく、
一般的な使用としては、価格性能ともたいへんよろしいものである。
スリットローターを効き重視の方向で取り付けていると、
パッドの減りが早く、ブレーキダストで始終ホイールが汚れる。
純正バッドだとこの汚れがとんでもなく目立つのだ。
とにかくちょっと走っただけでも小汚く、ドラムブレーキのリアが汚れていないため余計に目立つ。
その点、こちらのブレーキパッドは格段に目立たない。
もうこれだけで純正品との差額を減価償却したと思えるほどである。
北海道では冬期間、路面に融雪剤を散布するため、
減ったパッドで走行していると、ブレーキのキャリパーピストンが錆びる。
ミニのフロントブレーキはいまどき見かけない対向2ポットなので、
ヤラレるときは2個ともヤラレ、オーバーホールで済まないことも多い。
ブレーキパッドが1年で摩耗し、毎年交換が必要な筆者は、
その点を考慮して、毎年冬シーズン直前に交換して、このキャリパーピストンの錆を防いでいるが、
それでもいままで2度のオーバーホールを行なっている。
●グッドリッジ ステンメッシュブレーキホース
北海道でも厳冬な地域では、日中穏やかな気候が続くとむしろクルマに冬ならではのトラブルが発生することがある。
日中の暖気で夜中から明け方にかけて降った雪が溶け、水が鍵穴に進入し、
これが放射冷却現象のため夜間から明け方にかけての冷え込みで完全に凍結してしまう。
こうなったらにっちもさっちもいかず、解錠するのは一苦労となる。
サイドブレーキを引いていると、同様の理屈でリアブレーキが凍り付く。
そして、こんな日が数日続くと、ミニの場合、普通では考えられないようなことが起るのである。
フロントサスペンション全体が凍結し、つららが垂れ下がってくるのだ。
北海道民でもこんな目にあった人はそうはいないだろうが、不幸にして筆者は毎冬の恒例行事であった。
こうなると、ゴムハンマーで叩いて砕くか、ドライヤーなどで地道に溶かすしかない。
この際、最もイヤなのは、ブレーキホースが氷の固まりの中に閉じこめられて、
サスペンションからぶら下がっている場合が多いということだ。
純正のブレーキホースはゴムである。
むやみに叩くわけにも、また過度の熱を加えるのもはばかられる。
しかし、ゴムの場合、軽く叩いても氷は剥がれてくれないのだ。
最終的にサスペンションから氷がとれたとしても、
ブレーキホースに固まりでぶら下がったりするので、お手上げとなるわけだ。
この対策として、ステンメッシュのブレーキホースを導入したのである。
氷そのものが剥がれやすい上に、そもそもホースに着氷しなくなったから、効果は絶大であった。
こういう目的でこのパーツを導入する人はまずいないと思うのだが、
同様の悩みをお持ちの方は、ぜひ試していただきたい。
さて、本来のこのパーツの役割は、
「ブレーキ操作時のホースの膨張を抑えることによって、ソリッドな操作感覚を得られる」ことであるが、
実際のところ、普段の運転でホースの膨張のためレスポンスが鈍いと思われるような事態があるだろうか。
かなりの踏力で素早く踏み込むような場面でなければ膨張でレスポンスが鈍ることはないはずで、
一般道では、緊急時でもなければそんなブレーキの踏み方をすることはまずない。
さらに言えば、その緊急時に操作感覚のおかげで助かったということもほぼなさそうである。
現実にこのパーツが必要になるのはサーキットやジムカーナなどであり、
純正のホースからステンメッシュに変えて効果を実感することは、普段はまずないといっていい。
あくまでもフルブレーキングを使うような車の使い方をする場合のためのパーツなので、
街乗りのミニにはまるで必要ない。