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「ミニには鉱物油」なのか?


「ミニには化学合成油より鉱物油を」
こんな話を巷でよく聞く。
ホントにそうなのか?

まず最初にそういう主張をする方の論拠の一部を挙げてみよう。

「設計が40年前で、当時鉱物油しかなかった。
鉱物油を使うように設計されているのだから、鉱物油で大丈夫なはず」
この主張はある面で正しい。
しかし40年前と現代のモータリゼーションは同じではない。
40年前にミニで高速道路を通行することを想定していただろうか。
当時も競技車両は高速で走行していたではないかという人もいるが、
それは競技用オイルを使用していたからであって、
当時の一般車両の走行速度は現代のそれとは大きく異なるのは想像に難くない。

「化学合成油のほうが鉱物油より分子が小さいから漏れやすい」
これは小学生レベルの迷信であろう。
確かに化学合成油は成分の大きさは揃っているが、
鉱物油は原油からナフサなどを取り出した残りを精製したものであるから
成分の大きさは揃ってはいない。
しかし、一様に化学合成油の分子が小さいというのは単なる直感的な感覚に過ぎず、
仮にそうだとしても、分子レベルの大きさでオイルが漏れるわけでもない。
オイルが漏れるのはむしろその粘度の問題である。

では、鉱物油より化学合成油を使った方がいいということか?

それもまた、そうも言い切れないのだ。
あくまでもお互いの特性を理解した上で、
自分に合うものを選べばよいとしか言えないのである。

あくまで経済面を考慮に入れなければ、
エンジンオイルとミッションオイルを兼用させられることを考えると、
単純にその性能からは化学合成油の方が圧倒的に優れていることには疑いはない。
ところが、問題は化学合成油がエステルだということなのだ。

化学合成油のベースとなっているのはPAO(ポリアルファオレイン)をはじめとする、
エステルと総称される化合物である。
さらに粘度やオイルの性能を決定するために添加される添加物の多くも、
エステルであることが多い。
このエステルはエンジンのシールへの攻撃性が高いのだ。
もちろんエステルの種類によってその攻撃性の強弱に違いはあるのだが、
現代のクルマのシールはそういう攻撃性に対して
高い耐油性をもった材質へと改良されているので特に問題はないわけである。

しかしながらミニはこのシールの材質が製造年のころのままであり、
もっと問題なのは、仮にそのエンジンをオーバーホールしてシールを交換したとしても、
現在手に入るミニ用のシールは現代の材質に改善されていないという点だ。
したがって、高年式のミニであればそうでもないが、
古い年式のミニはいよいよオイルによるシールへの攻撃に弱いのである。
このため、化学合成油だとオイル漏れが起きやすいというのは
結果的に正しいことになるのである。
この漏れは化学合成油のシールへの攻撃で起こるわけであるから、
ひとたび漏れるようになったら、鉱物油に入れ替えても漏れが収まるわけではない。

したがって、筆者のように年間走行距離が3万キロを超えるような者は、
エステルによる経年的なシールへの攻撃による劣化より早く、
エンジンをオーバーホールする必要が生じるため、
化学合成油によるシールへの攻撃を気にする必要がないわけだが、
年間走行距離が少ないような人は、ピストンリングの張力低下より早くシールが劣化するような形、
つまりシールの劣化によるオイル漏れのためオーバーホールするというようなことを避けるために、
化学合成油を使わない方がよいという話が出てくるわけである。
しかしながら、もちろん鉱物油にだって添加剤は使われているので、
鉱物油なら攻撃性はないというわけでもないわけである。

さらに、鉱物油は化学合成油よりシールには優しいかもしれないが、
エンジンそのものに対する性能は劣るのだから、
エンジンやギヤボックスの劣化を考えれば、一概にこちらの方がいいとも言えないわけである。
このあたり、長いスパンでの話になるので、どちらがどうとは言い難い。
あくまでも自分がミニをどう乗り、どうつきあう気かで大きく判断が分かれるところである。
オーバーホールまでして乗ろうとは思わない人もいれば、
常にベストパフォーマンスを求める人もいるであろう。
しかもこの選択には一般的に「化学合成油は非常に高価」という、
経済的要因が加わるから、いよいよことは複雑化するのである。

さらに、善し悪しに関する概念も人それぞれで違う。
支障なく動いていればそれでいい人もいるだろうが、
10年、20年と乗り続けようと考えているなら、
今動くことに支障がないことが必ずしも正解ではないこともあろう。
そもそも(不適当な粘度でもない限り)入れたとたんに不調になるオイルなど、
今のご時世でそうはお目にかかることはない。

シールへの攻撃性と、ギヤボックスを含む潤滑性能、そしてそれらに対するコスト、
さらにオーナー各々の使用条件とそれに伴う要求する性能とを勘案して、
各々が結論を出すべきことであり、
これがいいというようなアドバイスはなかなかできるものではないということだ。






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